六十五話 ピアノコンクールを壊す魔法使い
控え室を出た闘華は魔力を感じていた。なにをするか分からないが確かめる必要がある。
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魔法使いの少女はピアノコンクールの会場を睨みつける。衣装は聖麗と同じ形だが色は黒と赤で邪悪なオーラをまとっていた。彼女はピアノというものに深く恨みを持っている。
「こんなもの、こんなものがなければ………」
コンクール会場を壊してしまえ、そうすればピアノを弾く必要がなくなる。彼女はそう思っていた。
ザッ、闘華が彼女の前に靴音を立てて現れる。
「あなた、そこを離れた方がいいわよ。さもないと……」
「危ない目に合う、とでも言うんだろう?」
少女が闘華に警告すると闘華はその先を読んだかのように言った。
「お前、なにをするつもりだ」
闘華が少女を睨みつける。
「なにって、ここを壊すの。そうすればもうピアノなんて嫌なもの弾かなくて済むでしょ?」
少女は建物を壊すという言葉を笑顔で言う。
「ほーう」
闘華の目がスウッと細まる。
「だ、か、ら、どいてくれないかな?」
少女は小さい子供が親におねだりするような声で言う。
「断る」
スッと闘華が懐中型の魔導システムのデバイスを取り出す。
「魔法演奏」
ボタンを押すと魔法陣が現れ闘華の姿を変える。
「あなた、魔法使いなの?」
少女も闘華を睨みつける。
「貴様もやる気になったようだな」
睨みつけられたことで闘華は不敵に笑う。




