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魔導奏者サグル  作者: 兵郎桜花
フェーズ4 妹の大切な音楽、わたしの大切な妹

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六十四話 お前はお前を信じろ!姉ちゃんもお前を信じてやる、だから思いっきり弾け!




また別の日、探は特訓を終えると闘華に聞いた。


「で、聖麗さんには何か言ったんですか」


「いや、まだだ」


「おい」


「だってさぁ、あいつ話す度よそよそしくて距離感掴めないんだぞ。この間なんかふりかけ取ってくれって言ったら『ごめん、自分で取って』なんて言うんだぞ。どうしろって言うんだ」


闘華が現状の聖麗への不満をぶつける。


「ヘタレかよ」


春樹が突っ込みを入れる。


「ヘタレで悪かったな」


「でもいいのか、このままだとずっとスランプのままじゃないのか?」


探が聖麗を心配する。


「それはまずいな」


闘華は危惧感を覚えた。そろそろコンクールだというのにこの状態は流石によくない。


「無理にかっこつけなくてもいい、あんたの正直な気持ちを聖麗さんに伝えたらいいんじゃないか」


「 潜縷………そうだな、そうするよ」





ピアノコンクール当日、闘華と聖麗、二人の父親は参加者控え室にいた。


今の聖麗は拳を膝で震わせ緊張を露わにしている。そんな彼女に闘華は覚悟を決めて助言する。


「聖麗、お前はお前の弾きたいように弾け。余計な音など気にするな、むしろそれすら自分の音楽としろ。そうすれば今よりいい音楽ができる」


「今さらそんなこと言われても………」


聖麗の不安は拭えない。


「とにかく、お前はお前を信じろ!姉ちゃんもお前を信じてやる、だから思いっきり弾け!」


それだけ言うと闘華は恥かしくなって控え室を出ていった。


聖麗はその言葉を飲み込むにはまだ不安過ぎた。





聖麗の番になり彼女はピアノの前に座った。まだ彼女は不安だ、だがやるしかないのだ。もう時は来てしまった、今さら逃げるわけにはいかない。


鍵盤に触れる手が震える、その時だ。


「 お前はお前を信じろ!姉ちゃんもお前を信じてやる、だから思いっきり弾け!」


この言葉が脳裏に響き、鍵盤に触れる力が強くなった。


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