六十一話 聖麗とさくらのお茶会(ピアノのスランプ編)
聖麗はさくらとカフェにいた。聖麗は友人と一緒にも関わらず暗い顔でスイーツを食べている。
「どうしたの聖麗ちゃん、どこか悪いの?」
さくらが彼女を心配する。クールビューティな彼女がこんな暗い表情を取るなどありえない。
「ええ、実はわたしピアノやってるんだけど………」
言われて聖麗が悩みを話し出す。
「ええっ、聖麗ちゃんピアノやってるの!?」
ピアノという言葉にさくらが食いつく。
「え、ええそうなの。小さい頃からやってるんだけど最近スランプになっちゃって………」
「やっぱりどこか調子悪いんだよ、元気がないからピアノもスランプになっちゃったんだよ」
さくらが断定する。
「別に身体はいたって健康よ、どこも悪くないわ」
聖麗が不服そうに言う。
「じゃあなにか不安があるとか」
「コンクールを控えてて入賞できるかが不安ね」
「ピアノ関係じゃなくてそれ以外でなにかない?」
さくらは期待した答えと違い苦笑いする。
「ピアノ関係じゃなくて?」
聖麗は考えると一つ心当たりが出た。だがそれを他人に言うのは少しはばかられたのだ。
「もしかして、言いづらいことだったりする?」
黙っている聖麗にさくらが気遣った。やはり人には他人に言えない事情があるのだろう。
「いえ、別にそうってわけじゃ………」
聖麗は迷ったが事情を話すことにした。
「お姉ちゃんが、お姉ちゃんじゃなかったの」
「へ?お姉ちゃん?お姉さんっていうとこの間会ったパンチがすごい魔法使いさんだよね」
さくらが闘華の印象を思い出す。彼女とは一度しか会ってないのでこの程度の印象しかないのだ。
「ええ、でもその後お姉ちゃんの知り合いに会ってお姉ちゃんとわたしは血が繋がってないって言われたの」
「お姉さんが、義理のお姉さんだったってこと?」
さくらが聖麗の言葉を解釈する。
「まあ、そうなるわね」
そう言うと聖麗はため息をついた。
「もしかして、それで距離感掴みかねてるとか?」
さくらは聖麗の状態を察する。
「うん、最初はあまり気にならなかったけどやっぱり、ね」
姉であったものが実はそうではない。その事実が彼女を今も苦しめていた。以前のように甘えたり気兼ねなく接することが出来ないのだ。
「血は水よりも濃い、水は血より薄いから繋がりは薄い、ていうか水だからそもそも繋がりはない」
「なに言ってるのあなた」
さくらの意味不明な言葉に聖麗があ然とする。
「水と水は混ざりあい、やがて一つの水になる」
さくらは構わず意味不明な言葉を続ける。
「だからなにを言ってるの?」
「とにかく!本当の姉妹じゃなくてもずっと一緒にいたんだから本当の姉妹くらい仲がいいはずだよ!」
さくらが強気に言う。
「そういうものかしら」
聖麗は納得いっていなかった。




