五十八話 吸血鬼を射抜け
「あの魔法使い、どこ行った」
ゼロワンが周囲の魔力を探すがビルが入り組んでいて探も魔力を探知出来ない。
「待たせたな」
そこへ探が自ら姿を現す。
「今度は逃げねえんだろうな」
「ああ。逃げも隠れもしない、ここで決着をつける!」
探がスナイパーライフルを構える。遠距離ではなく中距離でのスナイパーライフルの使用はもはやスナイパーライフルではない、ただのロングライフルだ。
引き金が引かれ弾丸が飛ぶ。
「やられるかよ!」
ゼロワンも弾丸を出して迎撃する。
「なにっ!?」
だが探の弾丸はゼロワンのそれを貫通してゼロワンに届く。
「ぐああっ!」
だが次に来た弾丸を横に移動して回避する。
「だったら!」
ゼロワンは探の魔弾ではなく探本体に直接魔弾を飛ばした。探も対応して魔弾をかわしながらゼロワンを狙う。
「ぐ、やっぱり数が多いか」
探は一旦ビルの影は隠れる。隠れたかと思えばすぐにビルの反対側から狙撃する。
「ぐああっ!」
探は超スピードで影に隠れては連続で狙撃してゼロワンを追い詰めていく。
「ぐ、ぐうぅぅ、馬鹿にしやがって………」
ゼロワンの怒りのボルテージが貯まる。
「その邪魔なビルごと吹っ飛ばしてやる!」
「な、あの数は流石に反則だろ!」
ゼロワンは探が驚くほど大量の魔弾を展開した。ドン、ドンドン!その魔弾は近くのビルに次々と当たり穴を開けていく。
「なんて無茶苦茶な………」
周囲の被害に眉を潜めた。
「ぐあっ!」
探はかわしきれず攻撃を食らってしまう。
「うわあー!」
野次馬らしき人間の悲鳴が飛ぶ。
「く」
探はそちらに目をやると野次馬の前に飛んで魔弾を迎撃する。
「早く逃げて!」
「は、はい!」
探に言われ野次馬が逃げる。逃げる間も魔弾が当たらないよう撃ち落とす。
「だめだ、この数は………対応しきれない!」
魔弾ではなくバリアでの対応に変更する。だがそのバリアもやがてピシッ、パシッとヒビが入る。
背後を伺うと野次馬はまだ逃げきれていない。
「まだだ、まだまだ!」
探はさらにバリアを張って耐える。
「野次馬なんか守っちゃってさあ、ほんとにっ、正義の味方なんだなあっ!」
ゼロワンが他人の盾になる探を揶揄するとさらに魔弾を探の方向に集中させる。
「うわあああ!」
ゴロゴロと探が転がる。
「もう終わりだぜ?」
ゼロワンが勝利宣言をして魔弾を展開する。
「ああ、終わりだ」
探のエネルギーが翼や衣装の半球体から通り発光しスナイパーライフルに伝わる。
バキューン!強大なエネルギーがゼロワンの発射した魔弾に飛ぶ。二つのエネルギーがぶつかり周囲に余波を撒き散らす。
「ぐっ」
「ちいっ」
エネルギーはやがて爆発し二人を吹っ飛ばす。
「はあ、はあ……」
探は息を乱しながら立ち上がる。魔力も体力もこの一撃で使い果たしてしまった。これ以上戦うのは無理があった。
「たく、最後にとんでもないの見せてくれるなぁ。でも、やっぱりそれが限界か」
爆風が収まり探を見つけるとゼロワンが言った。
探が眉を潜める。いったいどういうことだろうか。
「てめえは俺みたいに元々魔法使いになるための身体になってねえ。だから魔力も体力も長くはもたねえんだよ!」
ゼロワンは勝ち誇ると巨大な魔弾を出現させた。ゼロワン自身もかなり消耗したが探を仕留めるには十分だ。




