五十六話 試作機は完成品に勝てない
ゼロワンの身体が満月の明かりに呼応するように発光し、魔力を上昇させた。
「パワーアップした?」
探がゼロワンの変化に驚く。
狼男は月に満月に反応して本性を表すというが吸血鬼も満月から力をもらうようだ。
「それでぇ、倒したつもりかー!」
吸血鬼が叫びと共に立ち上がり周囲に魔弾を形成する。
「こいつ、まだやる気か!」
闘華が増える魔弾に警戒する。
大量の魔弾が飛び闘華はバックステップで回避する。
「っ。この量、やはり多すぎるっ」
闘華は弾丸の数に恐れた。
「やっぱあいつだけじゃ駄目か」
探はそう判断するとライフルの引き金を引いた。
「ぐはっ」
弾丸は難なくゼロワンに当たり怯ませた。
「どこだ、どこから撃ってきた!」
とっさのことでゼロワンはどこから弾が来たか分からずさらに弾丸を食らう。
「あいつか、余計なことを」
探の仕業と気づいた闘華が忌々しさを覚える。
やがてゼロワンは探の位置を把握する。
「そこかっ!」
探がいるであろう場所に魔弾を発射した。
「気づいたか!」
狙われた探はその場から離れる。
「お前の相手はっ、わたしだっ!」
その隙を逃さない闘華ではない、彼に向けて拳を振るう。
隙だらけの相手を狙う渾身の一撃、外すわけがないと思われた。
ガシイッ!だがゼロワンはその一撃を受け止めたのだ。
「な………」
渾身の一撃を止められ闘華は言葉を失う。
「おいおい、天下のゼロ様がその程度の力しか持たないのか?」
ゼロワンが闘華を嘲笑う。
「馬鹿に………するなぁ!」
闘華は拳に込める力を上げゼロワンの平を押し出す。
だがそれが彼女にとって大いなる隙だった。ゼロワンがもう片方の手から魔弾を形成して闘華に連続で当てたのだ。
「ぐああぁぁぁ!」
闘華は至近距離から魔弾を食らってしまう。
「ふん」
「ぐはっ」
怯んだ隙にさらに蹴や頭突きを食らう。
ゼロワンは闘華の首を持って言う。
「どうやら俺はお前より強くなっちまったみたいだなぁ、あはは。命だけは助けてやる、痛い目見ない内に帰りな」
そして首ごと強引に闘華を倒した。
どうやら様子見もここまでか、探が本腰を入れてゼロワンと戦おうとした時だ。闘華が再び立ち上がったのだ。
「そんな、まだやるのか。てかあいつあんなタイプだっけ」
探が闘華に驚く。今までならよく言っていた戦いやその痛みへの快楽を口にしていないのだ。
「ふざけるなよ、わたしは魔法使い研究所で造られた第試作機だぞ。そのわたしが貴様のような後から造られたやつに負けると思っているのか」
闘華が高いプライドを口にする。
「分かってねえなぁ」
ゼロワンが再び魔弾を連続で食らわす。
「ぐああぁぁぁ!」
防御も出来ず闘華は吹っ飛んでしまう。
「妹の仇なんて家族ごっこみたいな真似してるからあんたは弱くなるのさ。俺みたいに一人で力を楽しまないと」
ゼロワンが闘華の頭を踏みつける。




