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魔導奏者サグル  作者: 兵郎桜花
フェーズ3 吸血鬼ゼロワンあらわる

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四十四話 闘華は研究所に造られた


闘華は廊下で歩いていた探とヴェレインを見つける。


「待たせたな」


後ろ姿の二人に話しかける。


「いや、ちょうどいいくらいさ」


ヴェレインが答える。


三人は別の場所で話をすることにした。


「で、なんの話だっけ」


探が言う。


「わたし達では勝てないと言っていたな」


闘華がヴェレインに言われたことを思い出した。


「ああ、勝てない。やつは覚醒してる上にそもそもが君と同じ研究所出身だ、プロトタイプの君では太刀打ちできないだろう」


ヴェレインが理由の概要を説明する。


「わたし達のことを知ってるとはな、何者だ」


闘華はその知識から彼女がただものではないと感じた。


「魔法使いの先導者とでも言っておこう。魔法使いに関してはアンダーウィザーズのしたっぱよりは詳しいよ」


「研究所?プロトタイプ?」


探は聞き慣れない言葉に首を傾げる。


「彼女達は魔法使い研究所で造られた人工生命体、魔法使いになるべく作られ、育てられた存在さ。彼女はそのプロトタイプなんだよ」


ヴェレインが説明する。


「造られた?」


探はその言葉の意味がよくわからない。人間を造るとはどういうことか。


「平たく言うと遺伝子操作を受けて人工的に体外受精により生まれた存在さ。その後魔法使いとして戦えるよう訓練を受けたり薬物による強化を受けるんだよ」


「だめだ、さっぱりわからん」


探はますます首を傾げる。


「要は、戦うために造られた存在ということだ」


「あ、なるほど」


闘華の説明で納得した。


「でもなんでそんなことをしてるんだ?」


ヴェレインに聞いた。


「ただの人間を魔法使いにするより強い遺伝子の人間を改造訓練する方が強いだろう?つまり人類の進化ということさ」


「またそれか、研究所ってのはアンダーウィザーズの仲間なのか」


探は嫌悪するように言う。人類の進化というのはいかなる倫理に反しようと構わずやることに反感を抱いたのだ。


「仲間ではないな。アンダーウィザーズは普通に暮らしてる人間が使うからこそそれゆえの複雑な精神が進化をもたらすと考えているが研究所は違う。あそこは遺伝子レベルで強い生命体を造ることで進化としている。そもそも方針が違うんだよ」


「どっちも一緒だろ」


探がヴェレインの説明を一蹴した。その発言にヴェレインがよろめいた。


「話聞いてたかな。アンダーウィザーズが普通に暮らしてる人間を魔法使いにして、研究所は赤ん坊の状態から強い魔法使いになるよう育てるんだよ」


「でも、結局両方魔法使いだろ」


「まあ、そうだが……」


ヴェレインは探との会話に疲れを感じ始めた。


「プロスポーツ選手は幼少期から訓練を受けているとよくワイドショーでやってるだろ、あれと同じだ」


「あ、そういうこと」


ここでも闘華の説明で納得した。アンダーウィザーズにより魔法使いになった人間はアマチュア、研究所により造られた魔法使いはプロということである。


「彼女はそのプロトタイプ、試作品ということさ」


ヴェレインが闘華を指して言う。


「てことはお前も戦うために………」


探が闘華に憐憫の目を向ける。


「同情は不要だ、あの家でそれなりに楽しませてもらったからな。それに今日から家に戻る、また楽しませてもらうよ」


「わるい、余計な世話だったか」


「ふん」

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