四十話 闘華には家族などいない
「妹?今あんた、妹て言ったか」
妹という言葉にゼロワンが反応する。
探は攻撃が止んでほっとしたと同時に違和感を覚えた。
「そうだけど、なにか変?」
家族くらい誰にだっている、中には姉妹や兄弟がいても問題はないはずだ。
「その女にはなぁ、妹どころか家族なんていねえよ。そいつはそもそも研究所で実験動物として育てられたんだ。妹どころか、親すらいるわけねえんだよ!」
ゼロワンが闘華の事情を告発した。
探は以前闘華に関して検索した内容を思い出す。彼女は元々調辺家の人間でなかった。以前はどこか別の家で育てられても違和感はないのだ。
「なに言ってるの、お姉ちゃんは昔からわたしのお姉ちゃんに決まってるじゃない!お父さんもお母さんもちゃんといるわよ!」
だがその事実を知らない聖麗はそうではないと抗議する。
闘華はそんな聖麗に気まずく唸った。
「お姉ちゃん?」
聖麗は闘華の煮え切らない態度に気づく。
「残念だがわたしとお前は姉妹ではない。元々わたしは施設にいたんだ、相当昔だが記憶もある。詳しい理由は忘れたがたまたまお前の家に世話になっただけだ。だからやはりお前は妹ではないんだ」
闘華が自身の口から聖麗の家族ではないと告白する。
「そんな………」
聖麗は姉だと信じていた人物が姉ではないと知りショックを受ける。
「どういう意味だ、それ………。まさかいなかった十年間に親が出来たとでも言うのか」
ゼロワンが信じられない顔で闘華を睨む。
「ああ、仮初だがな。長いのか短いのか分からないが楽しませてもらったよ」
闘華が調辺家の生活を噛み締めるように言う。それを聞いたゼロワンの肩が震えた。
「ふざけるな…………。俺たちは親もいない、兄弟も友もいない、その、はずなのに………なんで、なんでお前は普通の生活が出来てるんだ!」
ゼロワンが怒りに魔弾を展開する。
探が身構える。
「え?」
だが予想に反して魔弾は探を狙わなかった。大量の魔弾は闘華だけを狙ったのだ。
「はあっ」
闘華は拳から複数の魔弾を発射して迎撃する。
「ぐああああ!」
闘華に魔弾が直撃して吹っ飛ぶ。
「闘華さん!」
探が叫ぶ。
「う、くうう………」
闘華は痛みに立ち上がることすらできない。なんだこの威力、わけが分からない。ゼロワンの予想だにしない攻撃力に困惑した。
「まだ息があるのか………」
ゼロワンが再び闘華を狙う。今度こそ動けない彼女にとどめを刺す気である。
「まずい!」
探が前に立ち塞がり魔弾をロックオン、複数の的を同時に捉えた。
「マルチロックオン完了、いける!」
魔弾が来ると同時に銃のトリガーを引き命中させていく。強化された探の力は相手が勢いよく発射される弾丸だろうと追尾して狙うのだ。
ドンドンドン!幾多もの弾丸と弾丸がぶつかり衝撃が広がる。
「ぐ、やっぱこれ数が多い……」
探は飛んでくる弾丸の数が減らず、歯ぎしりした。
「邪魔しやがって……」
ゼロワンもまた闘華の前に立ち塞がる探を忌々しく睨みつける。
「ふっとべー!」
怒号と共に魔弾の量を増やす。
「やられるかよ!」
探も負けじと魔弾の量を増やす。爆発の衝撃が増えて二人を巻き込む。
「やってられるかよ」
ゼロワンは埒が明かないと見て爆風の中逃走した。
「気配が消えた?いや、逃がすか!」
探はゼロワンの魔力が消えたことに気づくと一度だけ魔弾を発射した。




