三十三話 吸血鬼の噂
「ねえ探、吸血鬼て知ってる?」
学校の昼食時、さくらが探に話しかける。
「吸血鬼くらい知ってるよ、血を吸う人型の怪物だろ」
探はさも当然と答える。
「で、その吸血鬼なんだけど………いるんだって」
「は?」
次に出たさくらの言葉に惚けた声を出す。いるんだって、つまりこの現実に吸血鬼なる存在がいるということだろうか。そんなファンタジーな存在がいるなど到底にわかには信じられないことである。
「だから、ほんとにいるらしいよ。吸血鬼」
さくらが再び吸血鬼の存在をほのめかす。
「はあ?」
やはり吸血鬼の存在を信じられない探は疑問の声を出した。
「まああくまでこれは噂なんだけど、最近女の人が吸血鬼に襲われてるらしいんだよ」
さくらが話の本題に差し掛かる。
「女の人……」
探が頷く。吸血鬼には若い女を狙うという逸話がある。
────襲われた人はみんな血がカラッカラで中には死んだ人もいるみたい。それでね、その人が言うには吸血鬼に襲われたんだって。向こうに人影がいたと思ったらいきなりバサーて来て首元にズブリ、血を吸われちゃったみたい。牙の跡もしっかりあるんだって。
という内容の説明をさくらがした。
「吸血鬼ねえ」
探は具体的な話に流石にありえないと一刀両断する気にはなれず魔法使いのブレスレットを付けた。吸血鬼や襲われた、女性などの言葉を入れていくとそれらしき事件の新聞記事やテレビの映像、ネットの記事が現れた。
それらの内容はさくらの話したとほとんど合致する、どうやら彼女の言葉は本当らしい。しかも探やさくらの街やその周辺で被害は出ている。探はもっと新聞やテレビを見るべきだと思った。
「どう思う?ホンモノの吸血鬼とかすごくない?」
さくらが好奇心に目を輝かせて言う。
「すごいっていうかお前夜中出歩けないな」
「え?」
さくらは探の言葉が理解できなかった。
「だってその吸血鬼、この辺りに出るらしいじゃん。お前も被害に遭うだろ」
探が吸血鬼の出現場所を指摘した。
「うわー、やだなそれ」
さくらが怪訝な顔をした。
「だとしても、俺が守ってやるよ」
「え、ほんとに?」
「守るっていうか、検索能力で近くを見張ってて出たら倒すみたいな」
魔法使いの力が吸血鬼に敵うかは不明だがさくらを逃がすこと程度なら可能だ。
「すっごい探!じゃあ、吸血鬼の家に行って直接倒すでのも出来るかな」
さくらが能力の可能性を聞いた。
「いや、それは流石に無理かな。知らない人の家は探れないかな」
探はそれを否定した。
「ちぇー、不便な能力」
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