三十話 聖羅、探の家に到着
「こ、これが探くんの家…………」
探の自宅に到着し、聖羅は念願だった男子の家というものに胸を高鳴らせる。同時に想い人の自宅ということもあって緊張していた。
探とさくらがそれぞれの駐車場にバイクを止める。
「なにやってんの、行くよ」
「あ、うん」
さくらがぼーっとしている聖羅に声をかける。
探が自宅のドアの鍵を開ける。
「ただいまー」
家族に帰宅の挨拶をする。
「お邪魔しまーす」
さくらがいつもやっているように慣れた様子で入る。
「おじゃま、します……」
聖羅は緊張したまま中に入った。
奥から探の母親が現れる。彼女は穏やかな母性溢れる雰囲気を纏っていた。
「あらおかえりー、いらっしゃいさくらちゃん。あ、もしかしてその子が………」
母親が探とさくらに挨拶をした後、聖羅に目を向けた。彼女が来ることは探から事前に聞いていたためもしや彼女こそが探から聞いた調辺聖羅なる人物かと思ったのだ。
「はじめ、まして。調辺聖羅です」
視線に気づいた聖羅がたどたどしく名乗る。
「あら礼儀正しいのねー。探の新しい女友達出来て嬉しいわ、良かったら息子と仲良くしてちょうだい」
母親が挨拶を返した聖羅に上機嫌になる。
「はい、喜んで」
聖羅もそんな探の母親に頬を染めて返した。
「ちょっとお母さん」
さくらが探の母親を呼ぶ。彼女は母親である年齢だがおばさんなどと呼ばれるととても不機嫌になるのだ。ゆえにさくらは自分の母親ではないが彼女をお母さんと呼ぶ。
「なに、さくらちゃん?」
さくらに呼ばれ探の母親がリビングに行く。
「ちょっとあの子やばいって。最近何があったかわかんないけど急に今日探にアピールしてるのよ」
さくらが他の二人に聞こえないようささやく。
「あらいいじゃない、それはそれで」
探の母親はさくらの心配とは裏腹に能天気に頬を当てる。
「え、でもあのままだとあの子、探のこと取っちゃうよ?」
さくらが聖羅の行動を危惧した。
探の母親は目を見開いた。このままでは危ない、探が取られてしまう。それだけは避けなくては!探の母親は焦り始めた。
「さくらちゃん、あの子に探が取られないよう見張っておいてくれる?」
そしてさくらに指示を出した。息子というのは母親のものだ。それを変えることは簡単にはいかないのである。
「ラジャー!」
さくらは勢いよく敬礼した。
「お待たせ二人ともー。じゃ、行こっか」
話が終わりさくらが探と聖羅の元に戻る。
探はなんだったんだと首を傾げた。先ほどからずっとこちらの様子をチラチラ伺う聖羅にも首を傾げる。
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