二十九話 聖羅はさくらのバイクを断って探のバイクに行く
「じゃ、行くか」
「おー!」
探の誘いにさくらが腕を上げる。
「よし!」
いよいよ探の家に行ける。その事実に聖羅はガッツポーズを取った。
探とさくらはここでも聖羅に疑問を持ち首を振った。
三人は別の駐輪場の前に移動した。
「ちょっと待ってくださいね」
探とさくらは駐輪場の中に入る。
「ここって、駐輪場よね」
聖羅が目の前を確認する。
二人がバイクを引いて駐輪場から出る。
「ていうわけで、乗ってく?」
さくらが聖羅に言った。
「乗らないわよ、なんであたしがあんたのバイクに乗らなきゃならないのよ」
聖羅がさくらの誘いを断る。
「えー、でもここから探の家まで遠いよ?歩くのはちょっとなー」
さくらが歩くのはやめた方がいいと言う。
「え、そうなの………」
どうしよう、聖羅は困り果てた。
「じゃあ………俺の後ろ、乗ります?」
探が控えめに言った。機嫌の悪い聖羅に対して彼は強気に出れなかった。
ただでさえ男の子が彼女でもない女の子にバイクに乗って俺の後ろ乗るかい?なんて気の利いた言葉は言えないのにこの状態では無理がある。出来るのは口の軽い男か二枚目の男ぐらいだろう。
「いいの!?」
聖羅の目が爛々と輝いた。探の後ろに乗れる、その喜びでいっぱいになった。
「いいっていうか…………乗るんですね。じゃ、ヘルメットを………」
探は聖羅からの予想以上の食いつきに戸惑ったがバイクの足を道路で止めてヘルメットを渡すことにした。聖羅は元々さくらが乗せる予定だったのでこのヘルメットはさくらのバイクに仕舞われていた。色は青で柄は女子力を表すハートだ。
「乗るに決まってるじゃない!さあ、行きましょ」
聖羅がさくらからヘルメットを受け取って探のバイクの後ろに乗る。
うわ、なにこの子、あからさまにほどがあるでしょ。さくらはその露骨な態度に辟易することになった。
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