二十八話 聖羅はさくらなんて呼んでなかったのにさくらも来て怒った
探とさくらは待ち合わせの時間よりやや早く所定の場所に現れた。
「あ、聖羅ちゃんだ。聖羅ちゃーん」
さくらが聖羅に手を振る。
それを見た瞬間、聖羅の顔が固まった。てっきり探が一人で来ると思っていたのだ。なのにさくらという余計なものがいては期待反面、がっかりである。
「どしたの聖羅ちゃん、元気ないね」
そんな聖羅の気も知らず、さくらは気軽に話しかける。
「なんであんたがいんのよ、探くんのお兄さんの写真見せてもらうのにあんたがいたってしょうがないでしょ」
期待を裏切られた気持ちから聖羅は怒ってさくらに言った。
「分かってないなー。探はね、典型的なブラコンなの。お兄さんへの愛を語ろうと思ったら語り尽くせなくなっちゃうからわたしがわかりやすく要約してあげる必要があ、る、の」
さくらが勿体ぶって言った。
「いや、そこまでブラコンじゃないし語り尽くせないてわけでもないから」
探はさくらに反論した。
「でもお兄さんのことになるといつも話長くなるよね」
「あ………」
だがさくらに言い返されて思い当たる節があったため頷くことになった。
「それでもいいわ。わたしは探くんの話が聞きたかったの。あなたの話なんてこれっぽちも聞く気ないの! 」
聖羅が強い口調で言った。
探とさくらはいつにない聖羅の態度に戸惑った。初対面だともう少しクールな性格だったが今の彼女とはかなりかけ離れている。
「どうしちゃったこの子」
「さあ、朝ごはんでも食べ損ねたんじゃない?」
探にとって女性の変化というのは朝食を食べていないゆえに空腹が招いた結果に過ぎなかった。
「朝ごはん食べないだけでああなるかなぁ」
さくらは疑問である。朝食を食べなかっただけであんな癇癪を起こすなどありえない。癇癪そのものはともかく、その中で言った言葉がどうも気になったのだ。
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