二十五話 ゼロは全てを思い出した
「わたし、は………」
ゼロの中で記憶の波が沸き起こる。そうだ、こんなことが昔あった、あんなやつらと一緒にいたことがあった。いくつも、いくつも、いくつも浮かんだ。楽しいこと、嬉しいこと、笑えること、いい思い出ばかりだ。
だがそんな記憶は終わりを迎えた。そうだ、自分は何者かに連れ去られたのだ。わけのわからない施設、いや、当時はそう思っていた。そこで頭に何かを被せられ記憶は途切れた。
そこからは実験動物の扱いだ。この力を使わされ、物を破壊し、人を破壊した。壊して、壊して、壊し尽くしたのだ。
「これが戦いか。戦いの痛みか、ふふ、フハハハハハハハハ!」
破壊に慣れた彼女はいつしか戦いに快感を覚え、より戦いたいと思うようになった。
そしていつしか施設での戦いに飽きてくるようになった。こんな戦いではつまらない、こんな敵では退屈してしまう、そう感じたのだ。
結果、彼女は施設を脱出し、魔法使いを狙って戦うようになった。それがアンダーウィザーズに魔法使い狩りと言われた由縁である。
ゼロ、いや闘華は中に浮いた映像達から目を逸らした。
「お姉ちゃん、どこ行くの?!」
聖麗が闘華がここを離れようとしてることに気づき声をかける。
「お前とわたしは相容れない、相容れてはいけないんだ」
闘華は悲しい顔で返した。
「どういう意味?だってわたし達は姉妹でしょ、相容れないてなに言ってるの?」
聖麗は闘華の言葉が分からない。
「じゃあな」
闘華は質問には答えず、ただ微笑んで去っていった。
「お姉………ちゃん」
後にはただ消えゆく姉を見つめる聖麗が残された。
「はあ、はあ………もう、いいよね?あの人記憶戻ってるしこれ仕舞っていいよね……」
探が地面に転がり空中に出現させた映像を消した。
「ねえねえ、あれどうやったの?」
「うわあ!」
探は眼前にいきなりさくらが現れ驚いた。あまりに驚いたために地面を転がった。
「わっ!」
さくらも探の声に驚いて声を上げる。
「びっくりさせないでよもう」
「びっくりしたのはこっちだって。で、あれなに?」
さくらが聞き直す。
「そうよ、すっごい恥ずかしかったんだから」
聖麗も探に迫る。
「人の思い出とか記憶に関係するものを検索して同時に複数のものを頭にインプット、それを空中に持ってきただけ。大したことないよ」
探はさきほどの技を説明した。
「記憶とか思い出て検索出来たの?」
「やってなかったからやってみただけ、大分疲れたけど」
「空中に持ってくてのは?」
「それもやってみただけ、やっぱり体力使うけど。しかも複数で両方の要素あるからすんごい疲れた」
「それは……すごいね」
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