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魔導奏者サグル  作者: 兵郎桜花
フェーズ2 調辺聖麗の章、行方不明の姉は今

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二十二話 聖麗は姉とは戦えない




「すごい、当たってない!」


さくらがゼロの動きに驚く。


「いや、それはどうかな」


探がさくらの言葉を否定する。聖麗があのまま単純な攻撃を続けるとは思えない。


「はぁっ」


聖麗の放つ線は屈折してゼロを狙った。


「なにっ!」


ゼロは対応出来ず線の攻撃をいくつも食らった。ピシンピシンと線がゼロに叩きつけられる。


対応に遅れ、連続で食らう。攻撃の波は止まず、攻撃を食らいながら対応するのは至難の業だ。


「おおー、聖麗ちゃんすごい!」


さくらが今度は聖麗に関心する。


「なんだけどねぇ………」


探は釈然としない音を出した。


「なに、やっぱりお姉さんが勝つっていうの?」


「あいつは強い、あの程度で勝てるとは思えない」


探の目はゼロを見て離さない。


「知ってるの?あの人のこと」


「さっき他の魔法使いと戦うとこ見た」


「さっきも!?なんで?」


ゼロが二度も魔法使いと戦ったと聞いてさくらが驚く。


「バトルマニアだから魔法使い狙いで戦ってるんじゃない?」


「あ、そう」


「はっ!」


ゼロはその場で対応することを諦め、攻撃の合間に大きく後ろに飛んだ。


「逃がさない!」


聖麗が追う。その間にゼロは曲がる線の攻撃の対応を考える。


ゼロに線が飛ぶ、彼女は一面から来たそれらを一気に把握する。


「そこか!」


線を狙い、連続で魔力を込めた拳を叩き込む。その速さたるや、同時に飛んだと思わせるほどだ。ピシンピシンと拳に線が弾かれる。


その線は聖麗の方に返ってきた。聖麗は自分の攻撃がまさか弾き返されるとは思わず声もなく驚いた。それが対応に遅れを生じさせた。


「きゃー!」


聖麗は自分の攻撃に飛ばされた。


「聖麗ちゃん!」


さくらが名を呼び、探が息を飲む。


「ぐ………」


聖麗は痛みに耐え立ち上がる。そんな彼女にゼロが歩いていく。


「はあっ!」


聖麗は今度は同時に二方向から線を飛ばした。同時に来られてはゼロもどちらに対応するか迷い、対応が出来なくなる。


今飛ばした線は攻撃ではない、ゼロの身体を包み拘束したのだ。


「捕まえた!そのままやっちゃえ!」


さくらが腕を振り上げる。やっちゃえと言ってるがやる相手は知り合いの姉である。


「はああああ!」


聖麗は腕を動かしてゼロの身体をきつく縛る。


「ぐああああああ!」


ゼロが痛みに悲鳴を上げる。その悲鳴が聖麗を苦しめた。


姉を苦しめるなんて自分には出来ない、聖麗はゼロを縛る力を緩めた。


「それで勝ったつもりか?」


ゼロがニヤリとした。腕に力を込め、ググっと線を押す。


「はぁぁぁぁ」


気合いと共に魔力が身体を包み腕の力が上がる。プチッ、プチッと線が切れていく。


ゼロは拘束を脱出し聖麗に歩いていく。聖麗は動かずただ辛くゼロを見詰めるだけだ。


「はっ!」


ゼロが拳を振るい聖麗を狙う、聖麗はバリアを作りそれを防いだ。


「もう、もうやめようよお姉ちゃん!わたし達が戦うなんて間違ってるよ!」


聖麗が悲痛な叫びをした。


その顔を見た途端ゼロは頭を抱えた。また幼い少女が頭に現れた。その少女はいつも現れる通り泣いていて、それがまたゼロを苦しめた。


「まただ、またお前か………」


ゼロは目の前の聖麗を見てるのか頭に浮かんだ少女を見てるのか分からなくなった。


「おねぇ、ちゃん?」


そんな様を見て聖麗がゼロを心配する。


「お前はっ、誰なんだー!」


ゼロは魔力を腕に溜め聖麗のバリアに叩き込んだ。


「あっ」


聖麗は割れたバリアごと吹っ飛ばされた。ゼロは追い討ちをかけ、聖麗は腕を交差させて自分を守る。聖麗にはバリアを作る余裕はなかった。


ガッ、ドゴッ、何度もゼロの拳が聖麗の腕を打つ。


「答えろ!お前は誰だ!なぜわたしの中にいる!お前はわたしの、なんなんだ!」


ゼロが苦しみに叫ぶ。


「やめてお姉ちゃん!わたし、お姉ちゃんにこんなことされたくない!お姉ちゃんと戦いたくない!」


聖麗もまた苦しみを上げた。


「うるさい!いいから答えろ!お前は誰なんだ!」


ゼロは聖麗の言葉などまるで聞かない。ただお前は誰だと問うだけだ。


強い一撃が飛び聖麗が大きく後退する。聖麗はゼロの猛攻に耐えかね膝をついてしまう。


「うあー!」


ゼロが咆哮と共に飛び上がって聖麗を狙う。


もはや聖麗が誰かということなどどうでもよかった。ただ目の前の敵を倒せばいい、倒せば頭の中のイメージが消える。消えてしまえという思いだけがゼロの頭を支配した。


「聖麗ちゃん避けて!」


さくらが叫ぶ。聖麗は体力を消耗して腕でガードすることすら出来ていないのだ。このままではゼロの拳が直撃する、その時探が動いた。



今回もお読みいただきありがとうございます

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