二十話 聖麗の姉はアンダーウィザーズの関係者
探はコードネームゼロで検索するとその姿と彼女が街の魔法使いを倒していることと非常に戦闘力が高いことに加え格闘、主に拳で戦うことが記されていた。
問題は最後だ、その部分で探は怪訝な表情をした。
「探? 」
「どうしたのよ」
さくらと聖麗が顔の変わった探を気にかける。
コードネームゼロの説明に書かれた最後の文、それはこれ以降は何者かに閲覧制限がかけられているというものだった。なんとも言えず、探はそのまま伝えることにした。
「閲覧制限?魔法なのに?」
さくらが首を傾げる。
「誰がそんな真似!誰がわたしのお姉ちゃんのことを秘密にしてるの!」
聖麗が荒らげて探に詰め寄る。
「お、落ち着いてください聖麗さん。ここ喫茶店ですよ?みんな見てますから」
探は聖麗をやんわりとなだめる。
「ご、ごめん………」
探は健四郎のこと、健四郎がゼロのことを話したことを話した。
「なんでアンダーウィザーズがお姉ちゃんのことを知って………」
聖麗は魔導システムの商人が自分の姉を知ってると聞いてショックを受ける。
「もしかして、あの人たちと関係があるとか?」
さくらが自分の考えを言う。
「その考えはあるね、なにしろ俺の魔法が効かないから。魔法が効かないってことは組織が何か意図を持ってその情報を隠してるんじゃないかな」
探がさくらに補足をつける。
「意図ってなによ?」
「知られたらまずいことを隠す」
「まずいこと?」
「まずいことって、あいつら元から悪いことしてるじゃない」
聖麗が怒るように言う。魔導システムを売りその力を悪用する魔法使いを増やすアンダーウィザーズは悪である。
「まあ話は最後まで聞いて。他の一般組織員にバレたら彼らに後ろ指さされるような悪いことって意味ですよ」
探はしかめっ面をしながらも答える。
「そこまでのことっていったい………」
聖麗は闘華が何かとてつもなく悪いことをしてるのではと不安になる。
「もしかして、改造人間を作ってるとか?」
さくらが特撮ヒーローの古いタイプに影響されて言う。
「改造人間て、冗談でしょ?てっきりお姉ちゃんが悪いことしてると思ったのに」
聖麗が信じられないという顔をした。
「そっちですか。まあ、どちらにせよそうでないことを祈りますよ。あなたのお姉さんは行方不明の時期がある、その間に改造されても違和感はないし情報を隠すような非人道的行いでもある」
探が再びさくらの言葉を補足する。
「そんな………」
聖麗は複雑な表情をする。
「お姉さんが聖麗ちゃんを覚えてないのは?改造されただけじゃ記憶喪失にはならないでしょ」
さくらが指摘する。
「なーに言ってるの、体いじる時に記憶も消してるに決まってるじゃん。そんなことも分からないのかよ」
探が馬鹿にして言う。
「うるさなー、そんなの言われなくも分かってるよ」
さくらもつい反抗的に返してしまう。
「お姉ちゃん……」
聖麗は俯いてスイーツにフォークもつけないでいる。
「聖麗さんすいません、せっかく落ち込んだのを直すのにスイーツ食べに来たのに俺のせいでまたあなたを傷つける羽目に……」
そんな彼女を見て探は気まずくなる。
「いいのよ気にしなくて。それよりも、お姉ちゃんに会わないと!」
聖麗が椅子から立ち上がって言う。
「え?」
「意味わかんない。さっきお姉さん聖麗ちゃんのこと知らないて言ってたじゃん。また同じこと言われるに決まってるよ!」
聖麗の言葉に探は言葉を失い、さくらは全力で否定する。
「でも会いたい、わたしのお姉ちゃんだから。覚えてるとか覚えてないとか関係ない、わたしはお姉ちゃんに会いたい。ただそれだけなの」
聖麗の決意は変わらない。探とさくらは顔を合わせわけが分からないという顔をした。
★
スイーツを食べ終えた三人は店を出る。
「それじゃあ探くん、例の検索能力でお姉ちゃんの居場所探してよ」
聖麗が言う。
「いや、その必要はありませんよ」
探が顔を向けるとその先に件のゼロがいた。
「お姉ちゃん!」
聖麗はゼロの元に駆ける。だが待っていたのは痛い歓迎だった。
ゼロの腕が聖麗に伸びた。
「お姉ちゃん?!なにを………」
いきなり首を掴まれ聖麗は戸惑う。
「見つけたぞ女。お前は、お前はわたしのなんなんだ………」
ゼロはギロっと聖麗を睨む。
「え?」
聖麗はわけが分からなくなった。なんだこの姉は、先ほどは冷静だった彼女がひどく憔悴している。なにがあったんだ。
「探、なんかあれ変じゃない?」
遠くから見ているさくらも異変に気づき言う。
「聖麗さんそいつやばい!離れて!」
探が叫ぶが聖麗は首を掴まれ簡単に抜け出せない。
「さっきからお前と知らない子供が頭で重なって離れない。わたしを苦しめる、わたしを痛めつける………答えろ、お前は誰だ!」
ゼロが怒りに顔を歪ませて言う。
「わたしは調辺聖麗、あなたの妹よ!」
聖麗は首を掴まれながらも声を張る。
「せい、れ………」
聖麗からゼロの手が離れよろめく。
「ぐ、あ、ああああああ!あたまがぁ、いたいぃ………」
ゼロが頭を抱え悶える。 すると聖麗を鋭い目付きで睨んだ。再び彼女に手を伸ばす。
ガシッ!だがその手は横から伸びた探の手に阻まれた。
「そこまでだ、妹に対してそれ以上のおいたはないんじゃない?」
探が魔法使いの姿でゼロに言う。
「どけ、わたしはそいつを殺す。わたしを苦しめるそいつを殺す。邪魔をするな」
ゼロが返した。
「ころす?なんで、なんでわたしのこと殺すのお姉ちゃん?わたしのこと知らないんじゃなかったの?」
聖麗は姉に自分を殺すと言われて声を震わす。
「ああ知らない、だがお前の存在は不愉快だ。だから殺す」
ゼロはあくまで冷たく言う。そこには相手が妹だという自覚はどこにもない。
バキュンバキュン!探が銃を出してゼロに撃った。ゼロが衝撃で後退する。
「探!なにやってるのよ!その人はわたしのお姉ちゃんなのよ!撃ったらだめよ!」
聖麗が探に訴える。
「やつは本気だ!本気で君を殺そうとしてる。本当に君のお姉さんで、君を知ってるんだ。けど今は君の知ってるお姉さんじゃないからその差に苦しんで原因である君を殺そうとしてるんだよ」
探がゼロの状態を推測する。
「でも、どうして………お姉ちゃんは無闇に暴力を振るう人じゃないのに」
聖麗はそれでもゼロの行動が理解できない。
「変わったのは身体や記憶だけじゃない、心まで変わったてことだよ」
探がとどめの推測をする。
「そんな………」
「お姉さんは元に戻るの?」
さくらが探に言う。
「さあね、今は聖麗さんを殺さないように止めるだけだよ」
「ほう、わたしの前に立ち塞がるか」
聖麗が探に目を向ける。
「待って」
聖麗が震える声で言う。そして叫んだ。
「わたしが戦う。これはわたしとお姉ちゃんの問題。だから………わたしがお姉ちゃんの怒りを、苦しみを受け止める!」
「いいのかい?あの人は強いよ、普通じゃ勝てない」
探が忠告する。
「それでもやるわ、わたしはお姉ちゃんの妹だから」
聖麗の決意は揺るがない。
「分かった、好きにしなよ」
探もそんな聖麗の決意に頷き身を引いた。
「ほう、お前も魔法使いなのか」
再びゼロの目が聖麗を睨む。そんな目に聖麗は目を逸らしそうになるが前を見て離さなかった。
「わたしが相手よ」
今回もお読みいただきありがとうございます。ブックマークや評価お願いします




