十九話 ゼロは聖麗の姉か
ゼロは戦いが起きればその気配を感じて風のように現れるが常に高速で移動してるわけではない。普通の人間と同じスピードで歩くのが常である。
そしてそんな彼女を目撃する二人がいた。 聖麗とさくらである。
「うわ、なにあのかっこうー。五月なのに昼間からコートとか受けるー、しかも色オレンジで下ショートパンツとか不良グループ倒した魔法使いみたいじゃん」
さくらが馬鹿にして言う。
だが聖麗の反応は違った。
「おねえ………ちゃん」
「へ?」
さくらは彼女の言っていることが分からない、だが確かに彼女はゼロを見ておねえちゃんと呼んだのである。
「お姉ちゃん、てさっき言ってたお姉さんのこと?」
さくらは確認するが 聖麗から返事はない。
「ねえ、ねえってば!」
さくらは 聖麗を揺するがやはりぼーっとしていて反応がない。それどころか 聖麗はゼロに向かって歩いて行く。
「やっぱりお姉ちゃんだ」
「はあ?!」
聖麗の言葉にさくらは声を上げた。 聖麗は噂の魔法少女と同じ姿をした(と本人は思っている)相手を自分の姉だと言ったのだ。
聖麗はゼロに近づく。
「ねえ、お姉ちゃん覚えてる? わたし、聖麗。あなたの妹よ」
ゼロが 聖麗の方を向く。
「誰だお前は」
ゼロは 聖麗のことが分からない。
「え?」
聖麗は衝撃に目を震わす。
「 聖麗だよ!思い出してよお姉ちゃん!いつも一緒に遊んでたよね!ねえ?!」
聖麗は再び確認する。
「 思い出すも何もお前など知らないし遊んだ覚えもない」
ゼロはさくらの言葉に戸惑う。
「え、う…………」
さくらはショックを受けて何も言えなくなる。
「ふむ、人間とは他人に対して変わった接触方法を取る者もいるのだな」
ゼロは顎に手を当て関心する。
「まあいい、お前が遊びたければいつでも来てやる。じゃあな」
ゼロはそう言って立ち去った。
残された 聖麗は失望に目を伏せるしかなかった。
「えっと………他人の空似とか歳取った時の印象がイメージとか違うあるよね、あはは………」
さくらは励ます言葉が足らずから笑いをした。
「うん。なんかまた心配かけちゃったね、ごめん」
聖麗がさくらに謝る。
「ううん、それよりまたスイーツ食べにいこ。やけ食いてやつ」
さくらが提案する。
「そこはやけ食いじゃなくて気分転換て言いなさいよ」
聖麗は苦い顔で言うと思わず笑ってしまった。
「あれ、さくらに聖麗さん。二人揃ってどうしたの」
探が魔法使いの姿で現れる。
「探こそどうしたの、そんな格好して」
さくらが探の格好を指さす。
「あ、いや、ちょっと悪者退治をね」
探は適当にはぐらかす。
「まあいいや、ちょうどいいところに来た。今から 聖麗とやけ食いやるんだ、一緒に来ない?」
さくらは探を誘う。
「やけ食い?なんの?」
探は文脈が分からない。
「だから、気分転換て言ってるでしょ」
聖麗はさくらの言葉を訂正する。
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一方、 ゼロは 聖麗のことを思い浮かべていた。彼女に妹などいない、いないはずなのだが…………。 ゼロには記憶にある幼い少女の姿と聖麗が重なったのだ。
「なんだ、あいつは………」
ゼロはそのことが不愉快になり顔を歪めた。彼女はそんな人間など知らない、知るはずないのにその少女の記憶が蘇った。そして先ほど会った聖麗と重なった、それがたまらなく不愉快なのだ。
そして記憶の少女がゼロをお姉ちゃんと呼び自分と親しくする映像が現れる。
「だまれ、黙れ、黙れー!」
ゼロは苦痛に頭を抱え悶えた。
「あの女………いったいなんなんだ。わたしの……なんなんだ………」
ゼロの憎悪が聖麗に湧く。この苦痛、この苦しみ、やつのせいだ、やつに会わねば消えることはない。
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「へー、それでやけ食いというわけですか」
さくらからゼロと聖麗の会話を聞いた探が言う。
「だからやけ食いじゃないて言ってるでしょ!」
聖麗がテーブルをダン!と叩いて否定する。
「はいはい」
探は聖麗の言葉を信用出来なかった。なぜなら彼女の前には大量のスイーツが並んでいたからだ。直前になんらかのショックを受けてないならただの大食いだが先ほどの話を聞く限り明らかにやけ食いという状況だからだ。
探はケーキを食べながらブレスレットの魔法で調辺聖麗の姉を検索する。
「なにやってんのきみ」
探が空中に指で他人には見えない画面を操作するので聖麗が不審がる。
「ちょっと黙っててくれます?今忙しいんで」
探は聖麗の質問には答えず軽くあしらう。
「ええ………」
聖麗は雑に扱われ少しショックを受ける。
探の検索結果が出る。それによれば調辺聖麗には闘華という姉がいたが実の姉ではない、両親が友人の稟童晴彦から預けられて育てた子である。六年前から何者かに連れ去られ現在も行方不明になっている。と出ており写真も一緒に現れる。
さらに記憶にあるゼロの顔と照合する。オレンジのコートにショートパンツの少女など滅多にいない、先ほど聖麗とさくらが会った少女とゼロは同一人物と見て間違いない。闘華が消えたのは六年前で成長した場合ゼロの顔と同じになるか見るのだ。すると顔の基点となるパーツが一致、同一人物という文字が探の視界に現れる。
その事実を知ると探は難しい顔をした。
「どしたの探、難しい顔して」
今度はさくらが声をかける。
「さっきのオレンジの人だけど、聖麗さんのお姉さんで間違いないよ」
探は検索結果を伝える。
「間違いないてなんであんたにそんなことが分かるのよ」
聖麗は闘華の顔も自分が会った闘華に似ている少女の顔を知らないはずの探が二人の同一性を言えるのが不思議だった。
「あ、もしかしてこの前の魔法!」
さくらが文芸サークルの顧問の部屋を探した時のことを思い出す。
「ピンポン」
探が一本指を立てて答える。
「あなたの魔法て固有魔法のこと?」
聖麗も思い当たる節があった。魔法使いは基本的に固有の属性や武器を持ち、それを戦いに利用する。だが中には探のように戦い以外に使えるものもあるのだ。
「そう、俺の固有魔法は指定した事柄や画像を検索すること。それを応用して二人が同一人物か調べたんだ」
探は自分の魔法を説明する。
「そんな便利な魔法があったのね。でも、なんでお姉ちゃんはわたしのことを知らないなんて言ったのかしら」
聖麗は探の魔法に関心すると同時に闘華にされた反応にますます困ってしまう。
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