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魔導奏者サグル  作者: 兵郎桜花
フェーズ2 調辺聖麗の章、行方不明の姉は今

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十五話 不良グループの争いとオレンジの魔法少女




調辺聖麗、彼女には姉がいた。幼い頃から正義感に溢れ、 聖麗がいじめに遭うたびその犯人をこらしめていた。 聖麗が困っていたらいつも助けてくる優れた姉である。学校の宿題も手伝ってくれたし遊び相手にもなってくれる生活面でも頼りになるのだ。


だがその姉はある時突如としていなくなった。学校からの帰り道、突如消えたのである。近所の人が言うには怪しい車が通学路を行き来していたらしい。家族に捜索願を出された警察は当然その車で何者かが彼女を連れ去ったと見たが犯人の特定には至っていない。


姉はどこへ消えたのか。それは聖麗には分からず、ただただ姉がいないという事実と寂しさだけが彼女を襲った。そしてそれは六年経った今も変わらない。



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



人気のない駐車場、不良グループが二つ集まり縄張り争いによる喧嘩をしていた。ただの喧嘩ではない、魔導システムを使った人智を超えた喧嘩である。


ガキン!バキュンバキュン!と剣や銃弾の音が幾重にも響く。


「おらおら、ぼさっとすんな!この駐車場を使うのは俺達のへのへ組だ!」


背中にのへのへと書かれた白い特攻服を着たグループのリーダーが仲間に発破をかける。


頭はリーゼントで、いかにも自分は不良であると主張していた。


「いいや!この駐車場を使うのは俺達もへじ組だ!お前ら、負けんじゃねえぞ」


もへじと書かれた特攻服のグループのリーダーも負けじと言い返す。


こちらは長い髪をツンツンに逆立てて勇ましさを見せている。


『おおおおおおおおおおおお!』


男達の怒号が飛び交い、争いは激化する。もはや先ほどまで持っていた武器など捨てている。男が本気になる時は武器などいらず、己の拳だけで戦うのだ。


戦いの音もバキッ!ドゴォ!というものに変わる。


そこへ何者かが風のように現れた。それは男達の戦場に無謀にも突っ込み、彼らを吹き飛ばしたのだ。


単なる風圧や体当たりではない。拳や足を自在に使い、より強い打撃を与えて吹き飛ばしたのだ。その間、不良達の打撃を受けることなく、首や身体を反らせて躱している。


「な、なんだ?なにが起こった?!」


「嵐でも起きたのか?」


不良グループのリーダー達も困惑する。


「女?」


一人が不良達の真ん中に立っている人影を指して言う。


女というが正確には少女だ。オレンジのロングコートにショートパンツの派手な衣装だ。


「なんで女がこんなところにいやがる!だいたい、これは俺達のケンカなんだぞ!邪魔すんじゃねえ!」


一人が少女に向かって叫ぶ。


ギロリ、少女がその不良を睨みつけた。


「な、なんだよ、文句あんのか?」


彼の声は震えていた。彼女の姿は不良にはほど遠い、格闘技をやってる風にも見えない。だが彼の声は震えていたのである。


彼女は普通ではない、彼の直感がそう告げていた。


「てめえ、俺達のケンカに割って入るとはいい度胸だな。覚悟は出来てんだろうなぁ?ああ?」


のへのへ組のリーダーが少女を脅す。


少女がニヤリとした。


「お前、強いのか?」


「当然だ、俺は不良グループのリーダーだからな。強いに決まってる!」


のへのへ組のリーダーが答える。


彼は内心動揺していた。なんだこいつは、俺の脅しに屈さないどころか笑ってやがるだと?なにもんなんだ?


「お前は?」


今度はもへじ組のリーダーに聞いた。


「俺もあいつと同じ不良グループのリーダーだ、だがあいつより弱いなんてことはねえ、俺のが上だ!」


「ああ?強いのは俺だ!お前じゃねえ!」


するとのへのへ組のリーダーが噛み付いた。


「いいや俺だね!」


「俺!」


「俺だ!」


「おーれ!」


その後もずっと言い争いが続く。


やがて少女が口を開く。


「どっちでも構わん。お前達全員、楽しませてくれるんだろう?」


少女が顔を逸らし、挑発するように言う。


「上等だ、お前らやっちまえ!」


『おー!』


のへのへ組のリーダーが仲間に指示を出す。


「やつらに送れを取るな!俺達もへじ組も行くぞ!」


『おー!』


もへじ組のメンバーも少女に向かって走り出す。


幾重もの拳が同時に飛び、少女を狙う。だがそれは少女の敵ではなかった。拳はかわされ、不良達は互いに互いを殴り合うことになった。


「てめえらなにしてやがる!」


「ちゃんと狙え!」


リーダー二人が仲間を叱る。


「てえ………おい、あの女は?」


不良の一人が辺りを見回して言う。彼の視界に少女の姿はなかった。


「おい、上だ!」


一人が指さすとそこには遥か上空から迫る少女がいた。


「迎え撃て!」


リーダーの言葉に不良達が飛び上がる。


「もう遅い!」


少女は無数ものエネルギーの拳を発射して自分に迫る不良達に当てた。


『ぐはー!』


不良達は回避出来ず、攻撃を直撃して地面に叩きつけられてしまう。


「なんだ今の?拳が飛んでなかったか?!」


少女に向かわなかった一人が叫ぶ。


「ありゃあ、魔法か?」


「てことは俺達と同類かよ」


「マジか。どっちにしろあの人数に攻撃するとかおかしいだろ」


不良達が口々に言う。先ほどの一撃で不良達に動揺が広がっていた。


「おい、俺達やばいやつと戦ってるんじゃねえか?」


「逃げた方がいいんじゃないか?」


さらには逃げ腰になる者も現れた。


「おい、なにビビってやがる!相手は女一人だぞ!」


「そうだ!さっさとあいつを倒せ!」


だがリーダー二人は高いプライドから少女を恐れていても発破をかけることしか出来ない。


「悪いがリーダー、俺は抜けるぜ」


「俺もだ」


「お、おい!」


だが二人の発破も虚しく、その場を離れる者達が現れた。


「戦う気力のあるやつはこれだけか」


少女が数の減った不良達を見渡す。


「こんだけいれば充分だ、やっちまえー!」


「行けー!」


リーダー達の号令で再び不良達が少女に向かう。だが先に肉薄したのは少女の方だ。


「ひぃっ!」


近づかれた不良は怯えて手が出なくなる。いや、少女は手の出るいとまなど与えない。一瞬の隙に腹部に拳を叩きこんで飛ばし、別の標的に向かう。


さらに足を使い同時複数人に打撃を与える。後ろから近づいた者達には回し蹴りで撃退する。さらに目にも止まらぬスピードで拳を当てていく。


するとどういうことか、ものの数分経たぬ内に不良達は地面に伏すことになった。そのダメージは強く、立ち上がることが出来ない。


「もう終わりか?」


地面に倒れたままの不良達を見て少女が言う。


「やるじゃねえか、次は俺の番だ!」


のへのへ組のリーダーが走り出す。


「いいや俺だ!」


先を越されまいともへじ組のリーダーも少女に向かう。


二方向からの同時攻撃、だが少女は迷わなかった。まずのへのへ組のリーダーの顔に正拳突きをかまし、その勢いを乗せたままもへじ組のリーダーの裏拳を炸裂した。


「おわっ!」


「ヴェアッ!」


二人は時間差がほとんどなく倒れた。


「中々悪くない、勝負だった。また遊びに来よう」


少女はそう言い残して消えた。


「なあ、あいつ……なんだったんだろうな」


しばらくして起き上がったのへのへ組のリーダーが言う。


「知るかよ。でも、また来るとか言ってたな」


もへじ組のリーダーが起き上がって答える。


「おもしれえ、今度は返り討ちにしてやろうぜ」


「倒す気かよ」


「相手が強ければ強いほど俺達は燃えるのさ」


「言うじゃねえか。なら今度はどっちが上手くやるか勝負しようぜ」


「なら今度あいつが来るまでに特訓でもするか?」


「いいな、やろうぜ!」


かくして二つの不良グループはオレンジの魔法少女打倒のためタッグを組むことになった。



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



さくらは聖麗と共に駅前のカフェに来ていた。特別な話をするわけでも魔法使いの話をするわけでもない、ただ二人でスイーツを食べに来ただけである。


さくらが 聖麗に話し出す。


「 聖麗ちゃん聞いた?のへのへ組ともへじ組が抗争中に魔法少女に襲われたんだって。どんな子なんだろー」


さくらは楽しそうに話すが 聖麗は淡々といちごパフェを食べるだけだ。


「あ、のへのへ組ともへじ組っていうのはこの辺りを騒がせてる不良グループでことあるごとに喧嘩してて近所の人も迷惑してたんだって。その二組を一気にやっつけちゃうなんてすごいよ。不良グループも魔法使いだったらしいけどどうやって倒したんだろ」


「お姉ちゃん………」


聖麗がぼそっと呟く。


「え、お姉ちゃん?不良グループて、 聖麗ちゃんのお姉ちゃんがやっつけたの?」


「不良グループ?なんの話?」


聖麗が首を傾げる。


そこでさくらは聖麗が自分の話を全く聞いていないことに気づいた。


「話、全然聞いてなかったんだね………。ていうかいちごパフェもあんま食べてないし。あれ、美味しくなかった?この店一番のメニューなんだけどな」


さくらが 聖麗を心配する。


聖麗はいちごパフェを食べてはいたが食べるスピードはかなり遅かった。


「別になんでもないわ、大丈夫よ」


聖麗はあくまで平静を装う。だがその顔には憂鬱が見えていた。


「本当に?なにかあったら言っていいんだよ?わたし達、友達でしょ?」


「友達…………うん」


聖麗は友達という言葉に少し嬉しくなった。


「いやね、ほんとに大したことじゃないのよ。ただ、お姉ちゃんどうしてるかなって………」


「 聖麗ちゃんてお姉さんいたんだ、一人暮らし?」


「わからないわ、六年前にいなくなってそのままだから。ずっと会えないままなの………」


聖麗が寂しく言う。


「行方不明……」


さくらの顔にも影が表れた。


「ごめんなさい!わたし、悪いこと聞いちゃった………」


さくらが謝る。


「いいのよ気にしなくて、心配しくれてありがとう」


「 ねえ、聖麗ちゃんのお姉さんてどんな人なの?」


「優しい人、わたしが困ってたらいつも助けてくれた、泣いてるといつも手を差し伸べてくれる優しいお姉ちゃん」


そう言う聖麗の顔は優しいものだった。


「お姉さんのこと、ほんとに大好きなんだね」


「ええ。ふ、さくらにお姉ちゃんのこと話したらお腹空いてきちゃった」


「いちごパフェ、まだたくさんあるよ」


さくらが聖麗のいちごパフェを指さす。


「じゃあ、これ食べちゃいましょうか」


「あ、どうせならもっと他のスイーツも食べようよ」


さくらが提案する。


「いいわね、食べましょう!」


聖麗もその提案に乗った。

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