十話 聖麗はなぜ探を助けたか
「セイレーン?」
「セイレーンじゃなくて聖麗、聖なるに麗しいと書いて 聖麗よ」
聖麗が探の間違いを訂正する。セイレーンとは海に現れる歌を歌う怪物である。
「それで、どうして 聖麗さんは俺達を助けてくれたんです? 」
「多勢に無勢じゃ卑怯でしょ?それだけの話よ」
「 聖麗さんはこの大学の人なんですか?」
「いえ、むしろ高校生よ」
「高校生がどうしてこんなところに?」
探とさくらも人のことは言えないが高校生が大学に一人でいるのは妙である。
「んー、近くを通りすがったら魔力の気配を複数感じたのよねー」
『魔力の気配?』
二人は聞きなれない単語に首を傾げる。
「魔法使いはね、近くで他の魔法使いが力を使ってるとそれを感じることが出来るのよ。君、知らないの?」
聖麗は説明すると探に疑問の目を向けた。
「最近魔法使いになったんで色々分かんないんですよ」
「へえ、道理でこの前も苦戦してたわけだ」
聖麗が合点が行ったと頷く。
「この前? 」
今度は探が怪訝な目をした。
「あ、いや、あれはたまたまなんだけどね、君がクモ男の魔法使いと戦うの見ちゃって。助けようかなって思ったけど自力で倒しちゃったから出る幕なかったんだよね、あはは」
聖麗は気まずそうに言った。
「 聖麗さんは力を楽しんだりしなんですか?」
探が言う。
「どういうこと?」
「あの時のクモ男が言ってました、この力を持つ人はみんな力を楽しんでるって。いえ、彼はそもそも俺を殺す気で来ました。さっきの連中だってそうです、あなたは違うんですか?」
「ちょっと探!この人はあたし達を助けてくれたんだよ?なに言ってんの!?」
探の殺伐とした問いにさくらが困惑する。
「わたしは力を楽しまない、わたしは彼らのような悪い魔法使いを倒したい、そう思ってるわ」
探はそう答えた 聖麗を少しばかり見つめるとフッと笑った。
「なら安心です、あなたはいい人だ」
「そう思ってもらえてわたしも嬉しいわ」
聖麗も微笑んだ。
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