表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
91/110

91、ゲームしていること知られました

 スマホが鳴った。アラームだ。

 今日のところはこれでおしまい。

 次のログインでは何しようかな?


「あ、時間になってしまいました。

 すみません、私はこれで落ちますね」

「あー……。うん、楽しかったよ!ねぇねぇ?今日はこのままいぬくんを貸してくれないかな?

 もう少しもふもふしていたいんだ」

「いいですよ」


 私はスマホを操作して貸与を可能にした。


「ではお先に失礼させていただきます」

「お疲れー」


「ではまた今度です、お疲れ様でした」

 ギルドチャットの方にも書き込み、お返しの挨拶を確認しつつ、ログアウト。


 いつもお返しの挨拶をしてくれるボスやこんさんなどの初期からの人、ギルドチャットでおしゃべりをしている人、最近加入した元気のいい新人さん多々いるけれど、いくつもらっても嬉しいですね。


 なおお返しの挨拶のマナーとして個別チャットで送ること。

 でないとギルドチャットに快速列車が走ってしまいログが流れて読めなくなるから。

 覚えておきたいログは印をつけられるので別枠に入るので大丈夫なのだけどね。


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「めぐるさんって普段帰りに何してるの?」


 唐突に沼木さんが帰る準備をしている私に話しかけてきた。


「はい?」


 私は驚きとぼけた声が出てしまった。


「いや、私ね、実はめぐるさんの降りる駅のスーパーで買い物することあるんだ」

「そうなんですか?私は普段、帰りに駅の近くのスーパーには寄ることそこそこあるのですが知りませんでした」


「家の近くのスーパーで買いたい物がなかった時に行くくらいだから滅多に行かないの」

「はぁ……」


 私はその前置きに戸惑いながら話の先を促した。


「でね、一昨日、私が帰りにそのスーパーに買い物に行った時なんだけどね」

「私の姿でも見ましたか?」

「そうそう、めぐるさんって普段何してるのか、あまり知らなくてそのまま見てたんだけどね、駅の近くのネット喫茶に入ったよね?」

「えぇ、入りましたよ」

「ね、何して遊んでいるの?」

「ゲームですね」

「それはわかるよー、で、何で遊んでいるの?」

「RSOっていうRPGですね」

「!それ知ってる!」


 急に沼木さんは大声を出した。

 視界の端にうつる同僚達は特に視線を向けていたりとかはしなかった。

 沼木さんの声はあまり注意をひくことはなかったようだ。


「ごめん、急に大声を出しちゃった」

「いえいえ、大丈夫ですよ」

「そのゲーム、私の姉がはまってるんだ」

「そうなんですか」

「そうなんです」


 沼木さんの目がすごく泳いでる。

 会話の糸口が切れてしまってどう繋げよう?と悩んでしまっているのだろうか?

 なんとなくそのまま見てみた。

 沼木さんの口が開いては閉まって、目線がこうめまぐるしく辺りを彷徨う。


 私は思う。

 戸惑う人ってなんだか見てると可愛くて面白い。

 戸惑う人って見てると落ち着く。

 混乱している時私よりも混乱している人がいると落ち着くのってなんでだろう?


 お化け屋敷で隣にすごいビビりな人がいると落ち着いて楽しめるのと同じ理由かな。


 まぁ、このまま悩ませているのもかわいそうだし、そろそろ助け船を出そうか。

 別にゲームをしていることがばれたところで、生活に支障はでないだろう。


「美香さんの姉さんがRSOが好きなの?」

「そうだよ、それでお母さんもはまっちゃって、いろいろ話を聞くんだ」

「そっか」


 つまりRSOの話は聞くけど自分はやっていないと。


「RSOって楽しそうだけど、大変そうだね」

「そうだね、リアルさが売りだから、出来ることは多いけど時間もかかる。

 時間といってもゲームをしている時間よりも、調べ事をしている時間の方が長い気がするけどね」

「調べ事?」

「現実と同じくらい精密に作られているから、料理を作るにしても現実でレシピを探して使えないか模索したり、生物学を復習したり……ね」

「RS……本当に現実規格だね……」

「何もならないデータとしての経験値を稼ぐために時間を使うというより、自分の現実の能力を上げるために時間を使っているみたいなゲームだよ。

 そこが楽しいんだけどね」

「ゲームの中で何をしてるか、聞いてもいい?」

「私は……生産というより、売り子と講義をしますね」

「それ……ゲームなの?」

 

 話はお互い駅で別れるまで続いた。


 沼木さんの姉と母は私と何らかの関係はないよね?


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 ログインしました。

 ギルドチャットに挨拶を入れるとチャットが飛んできた。

 シルク……?知らない人だ。

 サモンモンスターを貸し出ししていますか?というチャット。


 変な人だったら困る。

 話してみないと貸し出しはあまりしたくない。

 アニマルセラピーを目的とした人とか、一緒に戦うことを目的とした人じゃない場合。

 例えば人じゃないからと言って囮役にし殺される、罠を踏ませて解除するために先導役にするなどの行為を行う人であれば貸したいとは思えない。

 そんな人に貸してしまった場合私は悔やんでも悔やみきれない。

 貸してしまったサモンモンスターをまともに見ることが出来なくなってしまうだろう。

 他のサモンモンスターを見てもそのサモンモンスターを思い出し……、そうなってはまともにゲームをするのは心苦しくくなる。

 うん、よく知らない人には貸せない。


 貸せるとしたらどういう人だろうか?


 ボスが紹介してくれた人なら信用できそう。

 以前のクマさん達みたいに動物が本当に好きなんだなって見て取れる人もいいね。

 となるとボスに紹介状をもらうか私が会って話し大丈夫そうだと判断できる人なら貸そうかな。


「すみません、レンタルは誰かしらから紹介してもらうか、大丈夫だと判断できる人にしかしたくないのです」

「そうなんですか……」

「申し訳ありません、いないとは思いたいのですが、ゲームということもあり、非道なことをしてしまう人を警戒しているのです」

「わかりました、いきなりすみませんでした」

「あの……もし私のところのギルドマスターのフォロさんと知り合いなら、1度フォロさんに紹介をしてもらえると嬉しいです」

「ギルマスですね!」

「ボスなら判断は確かだと思いますし安心できますから」

「わかりました!ちょっと話を聞きに行きます!」


 元気の良さそうな人だなぁ。

 ギルドチャットを見て連絡がきたということは同じギルドの人だと思う。

 今もボスがギルドの各地を転々としているなら、あの人もたぶんボスと知り合いなのだろう。

 私みたいなあまり人付き合いのない人とも関わる程ギルド全体を見回っているのだ。

 知り合いじゃない人は少ないんじゃないかな?

 それとシンプルな名前だった。ああいう名前は早めに使われてしまう。

 そう考えるとあの人は大分初期からゲームをしていたことだろう。

 なら私が知らなかっただけで有名な人かも。

 まぁ、知らないものはしょうがない。


 今日はどうしようかな?


 今後しないといけないのは講義。お店の売り子。それと狩りと生産。

 売り子は日々やっていくとして、講義の内容を決めるためにも狩りと生産活動をやらないとだ。


 とりあえず後で売り子をする日のシフトを組んでおかないと。

 お店の開店時間が分からないなんて事態はお客さん来ること出来ませんもの。

 まぁ、それは現実の仕事と相談しないと組めない。


 じゃあ、今日はモンスターを狩りに行きましょうか。

 講義の資料としてインスピレーションを求めるのです。

 新しいサモンモンスターも欲しいです。

 あ、先の街にも行かないと。

 たぶんそこの魔法協会?でサモンモンスターに魔法を覚えさせることが出来るはず!

 じゃあ、その方面に向かって行こう!














評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ