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50/110

50、めぐるんの評価。

 おっさんらしさ。

 私はどんなおっさんをイメージしているのか。


 おじさんではないところから親しみやすさを強調したいのだと思う。

 かっこいいおじさんやかわいいおじさんではなく、親しみやすいおっさんがなりたいものだ。

 小汚いおっさんやこすいおっさん、意地の悪いおっさんではなく親しみやすいおっさんなのだ。


 頼れるおっさんもなりたい。頼れるおじさんはなんか違う。

 人間らしさを私はおっさんから感じているのだろうか?


 おっさん。

 私はそこに自身の理想を詰め込んでいるのかもしれない。


 立ち居振る舞いがダメなのだろうか?

 さっきも女らしいだとか言われていた。


 背筋を伸ばし姿勢をきれいに保つよう努力している。

 猫背は肺を圧迫したり、背骨を傷めたりと悪影響が多いので注意している。

 小学生ぐらいの時口臭いと言われたような記憶があり、それ以来手で口元を隠す癖がついてしまった。

 歯磨きやガムを噛んだりよくするのでたぶんもう臭くないはず……なんか怖い。

 匂いを気にするのもここから始まっている。

 私の鼻はあまり信用していない。匂いを感じなくてもしているかもしれない。

 カバンに忍ばせた消臭グッズは割と頻繁に使っている。


 あとは何だろう……。


 かわいいものやきれいなものが好きだったりするのは別にかまわないよね?

 そんなのは普通のはず。

 じゃなければ女の人が好きになれない。


 身だしなみは重要。

 PTOを弁えた衣服を揃えるのは当然の義務。

 アクセサリーは最低限でOK。ネックレス1つ着ければ割と目立つ。

 飾り立てすぎれば下品でみっともない。

 意識を引き付けたい場所にワンポイントでおしまいがいいと思う。

 金属などの光物は布や肌と違うから目を引き付けるからね。

 何もつけない場合目を引き寄せにくいので隠れたい時は便利。

 これも男女関係ない普通のはず。


 アクセサリーを身につければ人目を惹きやすい。

 人に見てもらうことが出来れば知り合いになれる可能性も高い。

 気づかない人と知り合うのは難しいしの。


 足腰の悪い人や身体に障害を持ち不便そうにしている人を助けるのも普通。

 道に迷っている人に道を教えるのも普通。

 困っている人に手を差し伸べるのも普通。

 道端にゴミが落ちてたら近くのゴミ箱に捨てるのはきれい好きとしては当然のこと。


 割れ窓理論のようなもの。

 前例があればあっという間に汚れていく。

 汚れがない場所を汚すより汚れている場所を汚す方が気分が楽。

 1つの汚れは数十の汚れの原因になりうるのだ。

 それを防ぐこともまた重要。


 食事は味わうべし。

 余計な音を立てて食べるのは気が散ってしまう。

 食器に食器をぶつけないよう注意してる。


 あと何かあるだろうか……。

 ここまで別に男性でもおかしくないことしかしていないと思うのだけど……。

 分からなければ人に聞くのがいいか。

 もう私に思いつく点がない。


 とりあえず休み時間職場の同僚に聞いてみよう。

 何かわかるかもしれない。


~~~~~~~~~~~


 お昼休憩。

 私はいつも自分の机でお弁当を開く。

 今日は普通に話が出来る?沼木さん(5話参照、同僚女性)をお昼に誘ってみた。

 少し悩み事があってね、と頼み込んでみると了承してくれた。

 沼木さんはなんだか先輩風を吹かすようなドヤ顔をしていた。

 なんかこう頬を突いてみたい。セクハラになりそうだからしないけど。


「めぐるんが女らしいって言われたの?」

「うん、まぁ、そうかな……」

「なんか分かる」

「そっかぁ……。

 私はこう親しみやすいおっさんみたいな人になりたいのだけど」

「おっさん……ムリじゃないかな」

「いや、まぁ、現状程遠いだろうけど」

「くやしいけど私よりも女子力高いよ?」

「さすがにそれはないでしょ」

「じゃあ、カバンチェック」

「別に大した物入ってないし構わないよ」

「では見ていきましょうか!」


 私のカバンは青に白いドッドラインの入ったトートバッグだ。

 仕事の資料などを入れるファイルなどを入れている。


「ファイル、筆箱、消臭スプレー……、ガム、ボックスティッシュ、濡れタオル、弁当箱、サランラップ……、ハンドタオル、消毒用アルコール、折り畳み傘、タオル、小物入れが3つね。

 ボックスティッシュはプラスチックカバーを付けて潰れないようにしてるんだ。

 小物入れの中には絆創膏、軟膏、殺菌剤、ガーゼ、ハンドミラー……、リップクリーム……、ハンドクリーム……」

「肌が荒れたら割と危ないと思うよ」

「もう1つはのり、はさみ、ホチキス、セロテープ、修正テープ、ホチキスの針、文房具入れね」

「備えあれば憂いなし」

「最後は……ねぇ、これって裁縫道具?」

「だよ。衣服が何らかの原因で破れたとき直せなかったら困るでしょう」

「とりあえず1言言わせてもらうとこれ、準備がいいってレベルじゃないでしょう」

「対応できる事態に対応できるようにしておくことは割と重要だと思うよ?」

「いや、あのね。たぶん、女でもそこまで用意している人そんなにはいないよ?

 男ならなおさらね」

「そっかぁ……」


「小物の柄がパステルカラーのチェックが多いね」

「きれいでしょ?」

「女子」

「……」

「カバンの中身、机に並べて見てそこに男の持ち物らしさが欠片でもあるかしら?」

「あんまりないね……」

「ほとんどないでしょ。弁当箱もサイズ小さい」

「……そこまで量は必要ないから」

「まずカバンからも分かる通りおっさんらしさなんてない」

「ぐはー」


「立ち居振る舞いだけどなんだかなよなよしてるんだよね。

 いや、ぬるぬる?するする?」

「?」

「音を立てずに歩いたり、動きに角がないのも原因かな?」

「それも?」

「なんかこう円を描くように動いているよね」

「そうかな?」

「めぐるんの動きを見ると舞を見てるような気分になるよ」

「え?」

「1連の動作が流れるように連なっているし止まるときはきれいにピタッと止まるんだから」

「そ、そうなんだ……」


 止まる動作はエネルギーを使う。

 また音を出す行為も余分なエネルギーを使う。

 なので止まる回数は少なく音は出さないように動くと必要エネルギーは減る。

 中高生時代の食糧不足生活で出来る限りエネルギーを使わない動き方を習得していた。

 それが原因の1つか……。


「私が気付いているめぐるんの女っぽいところはこんなところかな?

 あと声が高めだとか女顔だとか童顔だとかは変えられないね」


 あいつ(母親)の遺伝だ。

 あいつが私にかまうのは私があいつに非常に似ているからだったのだろう。

 容姿は割と似ていた。女顔しているのはしょうがない。

 性格も割と似ている部分があった。意地っ張りとか。

 意地の張り合いで生活困難になる経験はあいつにもあったらしい。

 そんな経験を遺伝しないでくれ。


「ありがと。少し注意してみる」

「別にめぐるんはめぐるんのままでいいと思うのだけど?」

「変わらないと先に進めないから!」


~~~~~~~~~~~~


 小物類と動き方かぁ。


 ゲームの中では動き方が見られていたのかな?

 だとすれば本当に染みついてしまっているようだ。

 おっさんになるためにはカクカクした動きを意識しないといけないかな。

 あと筋肉つけるべきか……。

 けっこうぷにぷにしてるし健康に悪い影響を与えそうだ。

 体重も165㎝で53キロ程度だ。

 170㎝くらいの同僚が80キロ程度の体重があると聞いた。

 筋肉質なのだろう。

 私より1周り体が大きかった。


 おっさんらしさの前に男らしさも足りてない。

 割と問題だなぁ……。


 ボッチの解消は長い道になりそうだ。








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