5、ゲームログアウト中
調理スキルを持つとスキルにより調理器具が呼び出し可能になるようです。
包丁もまた呼び出し可能ですね。
熟練度によって使える調理器具が増えるようで、しばらくは包丁とフライパン、まな板しか出ません。
ちなみに包丁が戦闘で使えるのは調理中にモンスターが襲ってきた時だけです。
普段は使えないので耐久値無限の武器にはなりません。
耐久値といえば杖がボロボロだったので鍛冶屋で治しました。
新しい装備は?買うお金がありません。
モンスタードロップの装備の方が補正がつく分、店売り装備よりいいですね。
プレイヤーメイドはしばらくは補正が弱いので、買う意味が薄いでしょう。
プレイヤーメイドでも手動作成なら、見た目がいいものは作れるんでしょうけど。
今はまだ熟練度が低いので使える道具も少ないだろうから、見た目も微妙になりやすいのかな?
薬品は作成レシピに載ってるもの以外作れないだろうからあまり興味ない。
HP回復用アイテムは消費が激しいから薬屋で買うよりプレイヤーから買う方が安い。
今はまだ素材がどこで採れるかとかも出てないはずだから売りはいないだろう。
んじゃ、もう用はここにないよね?
アラームが鳴りスマホを確認すると次のクエストが来ていたが同時に時間切れも示していた。
今日のところは上がらないといけない。
スマホを操作しオプションからログアウトを選択して私はゲームを離れた。
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ゲームから意識が戻った私は首に巻いていた読み取り機と頭につけていたヘルムを外し枕元に置いた。
それぞれを充電器に据えるとマッサージ機から体を起き上がらせた。
ダイブ機器の話をしよう。
ダイブ中は体にいく信号のうちを姿勢を変える信号を読み取り機がジャックしゲームに送る。
体に送られる信号が遮断され動かなくなるので筋肉が固まったりしてしまう。
この状態は体温が下がったり体が動かせなくなったりと危ない。
そこでダイブ中体に悪影響が出ないようにするのだがマッサージ機の会社が本気出した。
安い物はただダイブ中体の調子をとるためだけの体温を下げないように調整する程度のマッサージチェアでしかない。
しかし高い物は別格だ。
お風呂のような温い液体につかり体全体の血行を良くし体の凝りをほぐす。
電気信号で筋肉を動かし代謝を上げる。
汗など掻いて液体は汚れるため、使用後は排水を行い掃除が拭くだけで終わる。
管理がとてもしやすい仕様だ。
更に机での仕事が多い人向けのシェイプアップメニュー。
ゲーム中は頭が起きているので睡眠は別に必要だ。
けれどゲーム内でも眠れる仕様なので、戦闘などでストレス解消を優先するか、中で眠ったりと休憩を優先するかが選べるのだ。
ただベットで眠った時と比べて、起きた時の爽快感は段違いだ。
VRMMOをやるには専用のネット喫茶にいかないといけない。
自分で購入する場合費用は安い物で100万。高いもので数百万になる。
自費で購入出来る人が少ないのでネット喫茶での利用者が多い。
高級品は予約しなければ利用することも難しい。
ネット喫茶では1人の使用者の使用上限時間も決まっている。
その時間を超えると次に予約者がいないなんてことがない限り、外部から強制ログアウト操作が行われる。
基本的に制限時間は厳粛に守られることになる。
強制ログアウトがあまりに多い場合出禁になることも。
高級品の機体を使った場合その仕組み上シャワーが必要になるので更に時間を気にしなければいけない。
私、白犬巡はシャワーを浴び外に出るとまだ日は昇っていなかった。
夜更けの寒さを感じながら私は歩いて薬局に向かった。
早い時間に行動しないと人が来て掃除がしにくいのだ。
細かいところが気になりやすい性格なので人からすればそれはどうでもいいのでは?というところまで掃除する。
人の物に触らないように注意しながらだが。
業務的にはしてもしなくてもいいことなので仕事の時間にやるのは私的にはNGである。
もちろん周囲の人や上司に許可を取り行動している。
それをしないのは社会人としていけないことだ。
許可を取らずに行動して困るのは職場でありそしてそれを管理し方向性や方針を決めている人なのだ。
それに反すれば上司が予期できない事態を招くことになり悪影響を起こす。
悪影響が起きれば職場が混乱し経営が難しい事態に陥るかもしれない。
報連相。きちんとするのは社会人として基本です。
一通り整理整頓を終え軽く職場周辺の掃除をし終えるといい時間になる。
手を洗い身だしなみを整え人を迎える準備が整うと同僚の女性が来た。
何やら呟き溜息1つつくと
「おはようございます。早いですね」
「おはようございます。いえいえ、沼木さんも早いですよ」
「私、今日こそ1番乗り出来ると思ったんですよ?
いつから来ているんですか?」
「さっきですよ」
「これより1時間遅く来たときもさっきですって返してましたよね?
さっきってどのくらいさっきなんですか?」
えと……どのくらいなんだろ?
「……?わからないなー。そんな前じゃないと思うよ?」
「ふーん?私より早く帰ってるので職場に住み込んでいるわけじゃないのはわかりますが今5時ですよ?」
「日が昇るちょっと前くらいに来たかな?」
「なんでそんな早く来ているんですか!」
「お掃除?」
「なんで疑問形なんですか!」
「気分?」
「……暖簾に腕押しを実感します……」
「ぬかにくぎ?」「柳に風」「馬耳東風」
「ってなんでことわざ合戦してるんですか!」
「気分?」
「はいはい、そういう気分なんですね。
あー、もう、よくわからないなー。
私今日何しにこんな時間に来たんだっけー……。
あ、そうでした。今日来る予定の患者さんのこと頭に入れて置くためでした」
「頑張ってね」
「はいはい、頑張りますよ」
彼女はテンション第二象限ですねー。
もう少しのんびり過ごせばいいんですが。
私も仕事態勢に入りましょうかね。
今日来る患者さんのことを把握しておいておかないとコミュニケーションは取れないですから。
会話、相談、解決の3C大事。
仕事終わり、職場から立ち去ると今日は家に帰り掃除する。
早い人はもうwikiを立ち上げて情報を募集しまとめているのでそれを確認するのだ。
これをしないことには割と見当外れの弱い装備しか身に着けられず失敗が起きる。
情報をまとめることにより見える仕組みがある。
あとLobiの方もグループ見つけないと。
あそこには検証勢がいるからデータがたくさん拾える。
サモナーを選ぶ人は少ないと思……いや、あそこはかわいいもの好きもいるからモンスターを仲間に出来るサモナーを選ぶ人もたくさんいるだろう。
それと新職というだけでも興味をひく。
あと気にしておくべき情報はどうかな?
Lobiの方見れば詐欺師や危険人物を見つけられるブラックリストも把握できるしコテハンだから比較的荒らしもわかないので本格的な情報が流れやすい。
掲示板は見る気がないな。
悪口陰口卑猥な言葉が飛び交う様見てあきらめました。
あそこで情報を拾うのは心が折れる。汚れそう。
まぁ、いろいろ探しましょう。
自分が拾う分だけでは情報は到底足りないのです。
何のといわれても具体的には言えませんが仕組みなど理解すればより深く物が見えます。
ソロなのでそこまで気にすることではないけれど周囲に迷惑をかける行為をしてしまうのはちょっと嫌ですね。
自身の視界に入るものが全てではないのです。
視界に入らなくてもそこには人が存在するのです。
自分だけがよければいい。自分の所属するグループがよければいい。
では社会は成り立たないしいつまで経っても弱いまま。
自己中な人やグループを見るのは不良や不良のグループを見るようなものですね。
自分の中では強い人だけど世間的に見れば弱いし何の能力も見いだせない。
そんな存在なんて私なりたくないですよ。