42、ニカワを作りましょう。
ログインできる時間を短くするとやることを事前に決めておかないとうまく進められないな。
今日のところは作成スキルを購入することと皮の鞣しの時間のかかる部分をやることに費やそう。
露店の商品に気を取られ時間を取られすぎた……。
そういえばギルドのデイリークエストって初めにこなしたきり触りもしてないなぁ……。
サモナーのベースレベルが上がっても倒せる敵が他の職の同レベルにとっては適正な敵でないからこなせるクエストがないのが原因。
ギルドに対する貢献度が本当に低いね……。
それなのにこんな施設までもらっちゃって。
何か貢献できることはないかな……。
鞣している最中の管理を頑張ろうかな。
一定以上の技能がついて革の売り払いに一定の顧客がつくほどになったら「依頼されれば皮を鞣します」なんて言ってみようかな?
受け入れられる量にも限界はあるし、時間も取られるから無料というわけにはいかないけど。
料金はその作業時間で私が稼げる金額を目安にして。
ギルドメンバーは60%オフみたいな感じで。
そうすれば少しはギルドに貢献ができるだろう。
サモナーしてないなー。
ゲーム内で仕事をするのは何か違う気がするのは置いておいて。
休日サモナーを頑張ればいいか。
普段日常しないことをするから楽しい。
必要に駆られてすること。したいからすること。
やり終えた時の精神状態は割と違う。
これでミスはないな。とやったことを確認し終わったことを実感する。
必要に駆られてすることには私の中に基準が出来てそれをクリアすることを目指す。
クリアすれば気が抜けてしまう。
したいからすることはこれ以上に何か出来ることはないか?と発展させることを考える。
基準もない。上を目指せることがわかる。
時間に余裕があるときにすることが多いから、もっともっと発展させたくなる。
精神的によりポジティブになっているのはしたいからすることだ。
鞣すのもやりたいからしていることだ。
サモナーしているのもやりたいからしていることだ。
先を見たくてやっているのだ。
ゲームは精神的にポジティブにさせてくれているから目的に間違いはない……はず?
まぁ、いいや。
PSはステータスに左右されにくい。
ゲーム内で鍛えた技能を生かせるようにすればギルドに貢献できるようになるかもしれない。
サモナーという職も他の職にないメリットがあるかもしれない。
プレイヤーとは違う形状をしたサモンモンスターのレンタル機能とか。
飛行モンスターをメンバーに入れれば空戦能力を得られるだろう。
水中モンスターをメンバーに入れれば水中戦能力を得られるだろう。
騎乗モンスターをメンバーに入れればAGIを振っていない後衛職を移動火力に出来る。
特殊環境下ではメンバーに欲しいメンツになるかもしれない。
それには大分強くなって騎乗できる程の大きさが必要になるよね……。
しばらくは難しいか。
お金を貯めて装備を集めて倒せるモンスターを増やすこと。
ここが今目指さないといけない場所だ。
そういえばギャラにしてた装備はいつ届くのかな……。
額が低すぎて誰も作ってくれないというオチかな……。
催促するのは顔を合わせるのがつらくなるからしつこくするのはできない。
契約と言っても文書に落としているわけではないし知らん顔されたらそれまでかもしれない……。
2週間待ってみよう。
それに金策の手段も見つけたことだ。
頑張ってお金を貯めて正規ルートから買えるように努力しよう。
たぶん低レベルフィールドの革は町用の服に使われるだろう。
服屋街に革の売り込みをかけに行くのもいいかもしれない。
見た目のいい物や肌触りのいい物を用意できればそれだけ商品価値が高くなるかもしれない。
鞣す方法もたくさん覚えといて損はなさそう。
タンニン鞣しとかミョウバン鞣しとかいろいろある。
各種素材の集め方も調べないといけない。
私自身行けるフィールドを増やしていかないと対応できそうにない。
強くなれば出来ることはもっと増えていくはず。
頑張っていかないと。
時間まで皮を鞣し続け……溜め込んだ皮が多すぎる。
皮の面倒を見るだけで今日の時間分が終わってしまった。
今日はここまで。続きは明日やろう。
ギルドに挨拶を入れログアウト。
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今日のログイン時間ですることは何にしようかな。
皮の鞣しは今鞣し液を塗り付ける作業中だ。
ある程度済めば目を離して移動できる。
でも残り時間は短い。
タンニンを探そう。
調べてみるとアカシア属の樹木の樹皮にタンニンが多量に含まれているらしい。
その量30%近く。
ヤナギなども多いらしいが16~19%程度。
カラマツなどは8%程度
その他針葉樹は4%程度かそれ以下。
アカシア属の葉は特徴的だ。
マメ科のように1つの枝に細かい葉がついているがその葉がマメ科が丸いのに対し細長い。
時期次第ではポンポンのような花も確認できるだろう。
日本では外来種なので森には生えていたのを見ていない気がする。
MAPにもそういう木々を確認した記述はない。
川付近でヤナギを探しつつアカシア属の木を探そう。
川の対岸に生えている木にヤナギは見かけた気がする。
あの巨大ヤゴはどうするか。
私はインベントリ内にたくさんある使い道を思いつけずにいたゴミを使った無難な対処法を思いついた。
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仕事を終えログイン、ギルドに挨拶をし、鞣し作業を開始。
皮の様子は量が多かった影響か1つ1つの作業の荒が目立つ……。
今日はこの処理を完璧にすることを目指した方が無難かもしれない。
将来鞣し職人として身を立てるつもりなのにこの惨状は見過ごせない。
私は今まで蓄えてしまっていた大量の骨を水とともに鍋にいれ煮立たせ膠を作りながら処理の仕方を考える。
時間が経つにつれて膠の臭さは想像以上のものになり考えことしてる余裕などすぐなくなりました。
鍋から離れてベットにいたいぬくんに抱き付き顔を埋めすーはーすーはーする。
いぬくんが何こいつ?しょうがないな。という感じの目でされるがままにされてくれた。
いぬくんにはこの匂いが臭くないのだろうか?
たぶん臭くないんだろうな……。
動物が腐ったような匂いだから。
皮の生臭さに慣れている私が鼻を刺激で痛めるなんて思ってなかった。
そういえば糞尿の類はアンモニア臭。腐臭は硫化水素の類。匂いの種類が違った……。
まだこのゲームでそこまで嗅ぎなれない匂いだ。
現実の鼻だったら嗅覚が鈍くなってここまでひどくはならない……かもしれない。
鼻を刺激され涙腺まで……涙が止まらないよ!
「シャッターチャンス!……く、匂いの壁が!」
外でボスの声が聞こえた気がする。
いぬくんの首元をマスク替わりにしながら移動。
寝ているところを持ち上げられたいぬくんはやめぃ!とばかりに体を震わせるのでたまに膠臭が鼻を刺激し涙がぶり返す。
いぬくんを後ろ足で歩かせながら私は進んでいく。
「最高!」
ボスはスマホを構え連射音を奏でていた。
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フォロの目線
ケモミミ幼女が泣き目で柴犬風の犬を大きなぬいぐるみみたいに抱っこしながら向かってきた!
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私はボスを見ながらスマホを操作する。
「何か御用でも?」
「面白いことをやってる気配とこの匂いに気を惹かれ来ただけだよ」
「そうですか。今膠を作っている最中なのです」
「膠かー。何かに使うの?」
「ヤゴ対策とヤスリを作るためです」
「ふーん?」
「膠の作り方を調べていたら鍛冶で使うヤスリ、膠に砥石の粉を付けたバフっていう物があるらしいんですよ。
砥石の代わりに細かな結晶質の砂を使えば紙やすりに近いものが出来そうだと思ったのであって困ることはなさそうです」
「そっか」