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38/110

38、ギルドは改装されてました

 あの筋肉集団はサモナーの人だったのか……。

 なんで筋肉に走ったかはよくわからない。

 筋肉って何かメリットがあったっけ?


 ウサギ穴で訓練中に調べてみた。


「筋肉のおかげでモンスターの爪が深く刺さらず致命傷を避けられました」

「筋肉がついたら強くなったように思えて鍛えるのを止められません」

「筋肉さえあれば防具がなくてもダメージ減少効果で無傷で終えられる戦闘が増えた」

「筋肉が大きくなったら大きいものが持ちやすくなりました」

「筋肉を鍛えたら動きが速くなりました」

「筋肉に呼びかけたら返事してくれるようになりました」

「筋肉が立派になったら気になるあの娘が話しかけてくれました」

「筋肉で現実の自分のお腹が割れた」

「筋肉鍛えてたらハゲました」

「筋肉がいます。最前線が筋肉で溢れかえってます。戦闘狂には筋肉しかいません!」

「筋肉に見た目維持をかけたら貫通阻害が低くなりました」


 なんだ、この筋肉祭り。

 筋肉という商品のレビューか何かか?

 星いくつの評価なんだろうか?


 筋肉にはそれ自体に貫通阻害と防御力とステータス上昇効果があるということでいいのかな?

 そして元サモナー達はモフモフを堪能するために防具を着なくても大丈夫なほど筋肉を鍛えていると。

 見た目維持をかけると効果が落ちるからかけるな、なんて話まであるじゃないか。


 カオスだ。筋肉のカオスだ。筋肉銀河に飲み込まれる。

 筋肉に幼女の体がおかされたら目が当てられない。

 筋肉教に支配されるなかれ。


 とりちゃんはウサギの群れの上を飛び回り目を反らしたウサギに嘴を突き立てた。

 ウサギ達は始めはムシしていたが目を抉られたりすれば怒り躍起になって追い回した。

 ウサギにとって敵となるのはスズメサイズのとりちゃん1体。

 挑発されればのってしまうのもしょうがないかもしれない。


 とりちゃんが群れの中央で挑発を繰り返し怒らせ続けるとウサギはジャンプして突撃してきた。

 ウサギの攻撃をギリギリで躱して更に煽るように鳴き喚くとりちゃん。


 ウサギが巣穴から出てこなくなるのを確認するとカニちゃんが巣穴の前を陣取った。


 とりちゃんがカニちゃんの前を通り過ぎるとウサギ達は巣穴を塞ぐ物にようやく気付いた。


 ウサギ達はとりちゃんを追い掛け回すのを止め一群となってカニちゃんに突撃をかけていく。


 カニちゃんは向かってくるウサギに対し爪を体の前に構えた。

 ウサギは待ち構えるカニちゃんの爪の甲に突っ込む。

 結果重量で勝り硬い部分で受け止めたカニちゃんの前にウサギは沈んだ。

 カニちゃんの足元の土が少し抉れている。

 それだけ勢いがあったのだろう。

 足場が土で本来の生息圏の岩場ではないから正直押し負けるかと思っていた。

 

 ただウサギは1匹で挑んできているわけではない。


 集団だ。


 突撃を受け続け足元を抉りながら後ろに下がっていてしまう。

 カニは前に進める構造をしていない。

 斜め横に進むことはできてもまっすぐ前には進めないのだ。

 カニちゃんが少しでも横にずれれば穴への入り口が開き前後から挟撃されることになるだろう。

 されてもカニちゃんは問題ないが後ろを取られては訓練にならない。

 囲ませない立ち回りを要求しているのだ。


 カニちゃんはウサギを受け続ける。

 とりちゃんはカニちゃんに向かっていかないウサギをからかい挑発し続ける。

 うさぎんはウサギに紛れ込んでウサギを煽ってる。


 うさぎんがサクラになってるのに今更気づいた。

 こんなこと教えたっけ?


~~~~~~~~~~


「あんの鳥野郎!」

「俺の目が……」

「毛毟っていくな!」


「あらあら、ここにはたくさん巣の素材がいるわ」(とりちゃん)


「あのちび鳥1羽風情にからかわれてお前らくやしくないのかよ!」(うさぎん)

「「「くやしいです!」」」

「「「しめてやる!」」」

「全員突撃!」(うさぎん)

「「「おぉぉぉ!」」」


「あらあら、そんな攻撃に当たるとでもお思いなの?

 私はこんな場所にいるわよ?」(とりちゃん)


「あいつ、地面に居るぞー!」(うさぎん)

「ちっくしょー!」

「囲めー!」

「俺たちの力をなめるなー!」


(僕はここで入り口を塞ぐだけ……)(カニちゃん)


「巣穴の前に変なのがいるぞー!」(うさぎん)

「俺たちの兄弟があそこにいるんだ!」

「助けにいかないと!」

「妹よ、兄が助けに行くぞ!」

「ベイビーが危ないわ!」


(目が血走ってるよ……)(カニちゃん)


「あらあら、あなた達は行かないの?」(とりちゃん)


「後でいくさ、今はお前を倒す!」

「俺の毛を奪った。お前だけは許さない!」

「俺、お前、倒す」

「俺様、お前、丸かじり」


(もう後がないよ。いい加減にしてくれ……。)(カニちゃん)


「く、儚い命だったぜ……ぐぼぉ」

「この命、お前に託す……ガクッ」

「よくも……よくも……兄さん達を!

 ……うおぉぉぉぉぉ!」


「残すはあなた1人よ?」(とりちゃん)

「俺、仲間っすから!」(うさぎん)

「さんざんちび鳥だとか言ってくれたわね?」(とりちゃん)

「サクラですって!」(うさぎん)

「あらあら。でも少し本気だったんじゃない?」(とりちゃん)

「あー、まぁ、ほんの少しだけ……」(うさぎん)

「処刑ね」(とりちゃん)

「ひぇー!作戦通りだったのにー!」(うさぎん)


(あ、終わった。)(カニちゃん)


~~~~~~~~~~~


 最後のウサギがとりちゃんに突かれ追い回されている。

 よく見るとあれはうさぎんだ。

 じゃれているのかもしれない。

 仲がいいことだ。

 とりあえずしばらく見て危なくなったら止めに行こう。


~~~~~~~~~~~


 今回とりちゃんとうさぎんの立ち回りは本当によかった。

 カニちゃんはそこまでの働きは出来ていないように感じた。

 相手が向かってくるのを受け止める経験にはなっただろうか?

 これからは相手に挑発をかけ向かわせて来るようにしないといけないんだ。

 どういう風に惹きつけさせればいいだろうか?

 サモンモンスターにスキルはあるのだろうか?

 ないと困るなぁ……。


 ウサギは何匹いるかな?

 そういえばウサギは何羽って数えるのだけどあれはなんでなんだろう?

 今回は穴の中で倒したわけじゃないから回収が楽だなぁ。

 お肉が美味しいらしいから期待大。

 皮もこの量なら色々作れるかもしれない……


 まだ初めに狩ったネズミの皮すら鞣し終えてないとかどんだけだよ。


 ギルドに戻って処理を頑張ろう。

 自分で狩ったものだ。ちゃんと処理をしないとかわいそうだ。


~~~~~~~


 草原から町に戻りギルドに久しぶりに入った。


 ギルドホームの風景が変わってる。


 敷地面積がかなり広くなり森や畑や研究所のようなものまで見える。

 鍛冶のスペースなのか遠くに大量に煙を吐き出す煙突まであるようだ。


 そしてギルド入り口には木の立札があった。


「せいさんぎるど けもけも」


 平仮名でした。


「すみません、見ない間にかなり様変わりしていて勝手がわからないのですが私が鞣していた皮はどこにありますか?」

「あ、対面は久しぶりだねー!

 あの皮ならあそこの小屋かなー」

「ボス、ありがとうございます」


 ギルドの敷地の中央のこれぞ、館という風情が漂う建物に入るとソファーで寝転がる赤い女狼人。

 白いタンクトップと下着が見えるんじゃないかという丈のジーンズを身に着けスマホを弄ってた。

 どこから突っ込めばよかったのか、わからなかったので総スルーで要件だけ聞いてみたのだった。


 ボスが指差した小屋は森の近くにあった。

 小屋というけれど60坪くらいある一軒家サイズだ。

 入り口に「テン子ちゃんのいえ」なんて書いてあるハートの表札を見た瞬間思った。


 ここ、絶対カメラが仕掛けてある。










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