36、指示出し訓練なう
スライムは体液を何らかの形で失うと生命維持が出来ない。
なので基本は体液を失わせるように戦う。
体液を変質させるのはアウトにした。
それでは体液を入手できないから。
どうしようか。
なんだかいつか悩んだテーマだ。
その時はあきらめるしか思いつかなかった。
今回は細菌の培養に使うことを目標にしている。
細胞液のタンパク質を多少変質させても大丈夫。
スライムをお鍋で水煮してみよう!
あ、体液を入れる容器がない。
最低でも2つないと純粋培養できないや。
ゲームの中で培養中の病原菌が散ったら死ねば治るを地で行くことになるのかな?
培養するなら空気中の他の細菌の除去も必要になるし実験室を作らないとだめだよね。
隔離施設の作成が必要だなぁ。
クリーンベンチとかバイオクリーンベンチとか安全キャビネットとか物理的封じ込め装置も作らないと安全面に保証できない。
薬の作成だけならクリーンベンチがあれば十分だけど副作用の強いガスやエアロゾルが飛び散るようならバイオクリーンベンチや安全キャビネットも必要。
危険性不明の細菌扱うならバイオクリーンベンチなきゃダメだよね。
実験施設の作成をしないといけないからスライムの加熱済み体液の入手は後回しだなぁ。
こういう施設があれば純粋な麹菌を見つけるのもできるし機会があれば作れるか試そうっと。
あ、でもまずは拡大率1千倍以上に出来る顕微鏡を作らないと大腸菌サイズの細菌も確認できない。
ウィルスなんて1万?10万?そのくらい拡大しないと見えないよね。
染色液もいろいろ必要だよね。
必要な設備が多いなぁ……。
微生物が観察できれば特定の微生物を純粋培養することができる。
1種類の微生物群にならなければ参考になんてならないんだから。
その微生物が何を栄養源とした時何を排出するかを知れば利用方法は山となる。
麹菌ならでんぷんを栄養に二酸化炭素やアルコールなどを排出ね。
お酒、味噌、醤油、お酢、ヨーグルト、納豆、チーズなど食品だけでも多い。
バイオエタノールなど燃料にも利用できる。
プラスチックなどの素材を作り出すものだっている。
微生物の生態が確認できればそこから利用方法が見つかる。
ペニシリンはアオカビが増殖するとき他の微生物を殺菌する成分から見つかったもの。
ここからβラクラム環という細菌の増殖を止める分子構造が発見された。
細菌を観察できれば有用な使い道をいくつも見つけることができる。
もちろん副作用なども把握しなければ危険だ。
検証実験をせずに薬を試すなんて真似は出来ない。
まぁ、死んでも大丈夫なゲームの中なので自分自身を実験台に観察できるのは楽だ。
たぶんしないけど。
自分の娘として作ったアバターを自殺させる趣味はないしの。
スライムの体液採取は今はしない。インベントリの肥やしになる。
本題の指揮訓練頑張りましょ。
今回訓練するのはアタッカーになる面々。
壁になる面々には防御を学んでもらわないといけないので攻撃をしてこないスライム相手では指揮を上手く取れないからダメ。
アタッカーをする可能性があるメンバーはいぬくん、ぬこにゃん。
それとサブでだがとりちゃん、うさぎんだね。
いぬくんは単発強化で硬くて遅い相手用に。
ぬこにゃんは回避と攻撃回数の多さで速くて脆い相手用に。
斥候役だけれどとりちゃんやうさぎんはザコ敵集団コントロール用に。
それぞれ狙う相手が違うので指示も若干異なってくる。
とりちゃんやうさぎんは1番指示が多くなるね。
ザコ集めの役を担当させるから。
ねこちゃんは敵群中で暴れてもらう。
いぬくんは前に来た敵を噛む仕事。
とりちゃんとうさぎんが交代交代でパーティー組む感じになるかな。
最終形目指してレッツゴー!
優先順位として1位は1番要求が複雑な斥候役。特に地上戦担当のうさぎん。
自身の身を守るだけでなく敵をばらけさせないように立ち回ってもらわないといけないからね。
このゲームの敵は金属スライムでもないのに逃げることを覚えているから重要。
勝てない敵からは逃げるとか群れて襲うとかゲームなのに勝つのが異様に難しい。
2位は斥候役とりちゃん。
空中からなので地上の敵相手なら誘導は簡単そう?
空中戦だと空間的に集めないといけないので厳しいかもしれない。
ムクドリとか百匹単位で戦闘することはさすがにないよね?
とりちゃんはたぶん鳥目で暗いところだと目が見えないからコウモリとかを相手に戦うのはきついかな。
夜間用の飛行タイプが欲しくなってきた。
3位は敵群中で戦闘するぬこにゃん。
敵を壁にしたりして攻撃に当たらないように立ち回ってもらわないとあっという間に死んじゃいそう。
同士討ち、攪乱などザコ戦で多用するかも。
硬くない敵は基本速いか数が多いかだから回避力が高くないと困る。
敵群中央で無双してもらうのが理想。
敵をばらけさせないように注意してもらいたい。
4位は硬い敵を中心に相手に当たっていくいぬくん。
1撃が重ければそれだけ楽に敵を倒せる。
相手が硬さを追求するようであれば基本行動が遅く数が少ない。
回避は単体の攻撃を躱せばいい分ぬこにゃんよりもやりやすいはず。
ぬこにゃんの相手よりも攻撃は重くなるはずなので回避は重要だろう。
盾役が機能できるかわからない威力になる可能性が高い。
事実上攻撃盾の状態かな?
強敵単体相手がメインになるかな。
5位。番外。魔法を覚えたからすみ。
まだ魔法を覚えていないので番外。
近接戦はせず空中から敵群中央で範囲魔法を使うことが理想。
魔法火力になってもらうとしたら安全圏からの詠唱が中心になるだろう。
盾役に引っ付いてもらう状態になると思う。
1番安全な所にいる状態なので魔法が使えても指示優先順位は5位だった。
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「うさぎん」
うさぎんは反応しない。
私はうさぎんの頬を突いて弄る。
いやー。とばかりにうさぎんは腕で指を叩いた。
止めてもう1度繰り返す。
「うさぎん」
きょとんとした目で見てきたので【よし】の合図、左手で目の前のスライムに指をさす、をうさぎんに向けて出した。
パーティー全員突撃ー。
スライムは砕け散った。
上手くない。失敗だよ!
練習あるのみだね。
スマホ画面で指示出しは出来るしそれも併用するか。
「うさぎん」
左手で【よし】の合図。スマホ画面で他2体を抑える。
うさぎんだけ出撃。
「ぬこにゃん」
左手で【よし】の合図。さっきと同様に他2体を抑える。
ぬこにゃんだけ出撃。
いぬくんにも指示を出す。
3時間ほどうさぎん、ぬこにゃん、いぬくん、とりちゃん、ぬこにゃん、いぬくん、うさぎんの順に1匹ずつ指示を出す練習を繰り返した。
スマホ画面で抑えなくても自分の名前だけで私を確認し合図を待つようになった。
次は2匹突撃パターン。全員突撃パターン。と練習を重ね現実で12時になる頃には完璧になった。
現実ではこうもうまくいかないだろうなぁ……。
鳥とか猫とかうさぎに芸を仕込むのは犬よりも大変。
犬だって子供の時に仕込めば1日とかからず覚える。
成犬だともう数か月かかることもあったかな?
小さいうちにちゃんと仕込まないと。
今日はお昼を食べ忘れない。現実でね!
その前にサモンモンスター達にご飯上げないと。
草原攻略戦で蓄えたお肉。牛が多めです。
インベントリに入っていたので熟成も何も出来ていないです……。
パイナップルとかはちみつとかタンパク質分解酵素がある食材をまだ拾っていない。
この牛肉じゃ硬い、旨みがない、おいしくないの3拍子ですね。
ハト肉もある。
インベントリに入っていたので新鮮そのもの。
筋は牛肉に比べ少ないのでこのままでもいけるかな?
ハトと言えばハトフンにはクリプトコッカス症を引き起こす真菌が生息しているんですよね。
野生のハトに触れると危険というのは主にここからきているそうですけど大丈夫でしょうか?
焼けば滅菌されるとは思う。
かかった場合の治療法は知っていてもかからない方法は消毒以外あまり知らないなぁ……。
感染力は低くHIV患者でもなければ1次感染はない。
2次感染は変異が起こり免疫力が下がった人になら感染する程度。
健康体なら大丈夫なはず。




