表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

29/110

29、彼(女)のコミュ力は0

 リンゴなどの小枝を拾う。

 言葉にすると簡単な気がする。

 周囲を警戒しながら拾うだけ。

 でもまず葉の形や樹皮を観察し探している種類の木なのかを特定しなければいけない。


 バラ科の特徴は……特にない。

 花の形は花弁が5枚、雄蕊が10本の物が多く、雌蕊が1本もしくは複数。

 花弁を支えるがくは丈夫なで大きなものが多い。

 葉の根元に小さい葉、托葉がある。

 ただしこれは他の科の植物にも共通することが多い。


 花はシーズンでもなければ観察できないだろう。

 托葉は木のおよそ40%に存在する。

 バラ科の特徴なんてわかりやしない。


 木の外形、葉の形や樹皮の様子を覚えて初めて分かるだろう。

 いきなり来てコレなんて言えるわけがないのだ。


 とりあえず現実のリンゴの木とバラの木とサクラの木の特徴を踏まえて探してみることにしよう。


 リンゴは葉に厚みがあり腹が太い方錐形、枝の育ち方が不均一になりやすい?、樹皮は茶色、成人で1抱え近い太いものであれば表面にひび割れができるが基本なし。

 バラは葉の縁はギザギザで薄く硬い。幹の色は緑のちひび割れた茶色。幹には棘があり細い物が多い。

 サクラは葉の縁がギザギザで薄く硬い。幹はひび割れが多くこげ茶色をしている。


 森で見かけるだろう広葉樹の木についても一応調べておこう。

 針葉樹は見間違いようがないので大丈夫だろう。


 葉のつき方。

 ブナ科のシイやドングリといった木々は末端の小枝に非対称に並び小枝の先に小枝の進行方向に向かって生える葉はない。葉はバラやサクラに比べギザギザの数が少ない。

 木の実や樹液など利用しやすい。

 また木質がよく頑丈になりやすい。

 樹液が豊富なので他の木々に比べ採取しやすく緊急時の水分にも使える。


 マメ科の植物は葉が小さく末端の小枝についてる葉の数が多い。並び方は枝を境に対称で枝の先に進行方向に向かって生える葉がある。葉にギザギザがない。

 根に根粒菌という窒素同化を行う細菌がいるため畑の養分を豊かにすることができる……かもしれない。

 大豆やクローバーといった植物はマメ科でこの窒素同化を行う細菌により養分を豊かにしている。

 窒化物がなければ植物は育つに育てない。ありすぎればそれはそれで問題なのだけど。

 化学肥料は硝酸アンモニウムとか窒化物ね。


 あとは雑木。

 赤い実がなる常緑低木のアオキ。観賞用にでも使う?

 葉の感じや茎の色でバラと見間違えそうだが棘がないので判別できると思う。

 ヤマブドウは同種でも株ごとに味の差が激しい。葉が柔らかい。

 アケビ。葉が楕円形。実は食べれるだろうか?食べたことがない。

 ニホンナシ。実が小さく硬い。……匂いはいいかも。見つけたら枝を拾っておこうかな。

 クワ科。葉が手のような形をした木。実はイチジクに似た形状。カイコを育てる時に使える。

 ヤマイモ。ツタ植物。実はムカゴといい食べれる。

 山椒は枝が細いし幹に棘があるけれど匂いが特徴的なので判別は容易。

 タラノキ。マメ科のような葉のつき方をした枝をもつウコギ科の落葉低木。新芽がタラの芽。


 見つけられそうな木々はほかに何かあるだろうか……。

 あまり思いつかないので一先ず探すだけ探しておこう。


 山に入っても何か食べれる物見つけられる気がしてきた。

 気がするだけだろうけど。

 サバイバル能力をもっていったい何するんだろうか?


 ……このゲーム。サバイバル能力を高めるのが目的なんでしょうか!


 なんかいろいろ考えていたら林でヘビにエンカウント。


 小さなサモンモンスターが食べられないように私が盾になり押さえつけて頭を踏む。

 DEFが高いせいだ。つぶれない。

 普通なら重量で頭骨が壊れてしまうというのに。

 ちびっ子達で鱗越しにダメージ与えられそうなのはねずみんだけ。

 ねずみん強い。


 ねずみんが鱗を剥ぎ見えた肉をとりちゃんがついばんだり、いぬくんが噛む。


 名前が全部安直とか言わないで。

 安直すぎるからこそ誰もつけない名前だもの。ユニークだよ!


 普通の野山だったらダニとか注意しなきゃいけないはず……。

 さすがにそこまで現実模倣すると着れる服装が限られてくるよね。

 そしたら山でビキニアーマーつけてるあそこの人とかその人に追いかけられてるパンツ1枚で走ってるあの人とか……変態だ!


 やはり時間が悪いのか……変態遭遇率が高い。

 悪いのは深夜のテンションだ。

 ネタを世界公開するのは深夜のテンションだからだ!


 黒いクマの着ぐるみを着て森をスキップしているあれとか黒い忍者ファッションで木に隠れてるふりをするあれとか黒ずくめで銃を整備しているあれとか……

 物思いに耽って私はどこの異次元に迷い込んだ!


「見たことない……いや。ある顔だな……。

 黒の獣人サモナー……?解体天子!解体天子様じゃないか!」

「うん?あ、本当だ」

「いつの間に迷い込んでたんだろ?」

「とりあえず、ようこそ夜の森、ファンタジーカーニバルへ!」

「あ、戸惑ってる、戸惑ってる。

 本当に目がくるくるしてるよ~」


 私が彼らを認識すると一斉に近寄ってマシンガントークをしてきた。

 なんだか変な集団に変な名前で認知されてた気がする。

 全部動画が悪い!


 もう何が何だかわからないよ!

 これはどうなってんのさ!


「このゲームって泣く機能がついていたっけ?」

「って言ってる場合か!泣かせるなよ!」

「いや。お前の格好が悪い」

「パンツ1枚の露出狂がなんか言ってるぞ」

「ビキニアーマーのお前が言うな」

「ちゃんと要所は隠しているぞ!」

「下手に隠すから逆にエロイ」


 頬を触れると水滴が付く。

 感情が高ぶると涙腺が崩壊する性質はゲーム内でも変わらないのか。

 この性質のせいで男らしさが下降してしまう……。

 人と関わると妙に気が騒めくせいで感情の高ぶりやすさが上昇してしまう。

 ボッチをこじらせる原因の1つだ。

 対人経験を増やさないと治らないだろうなぁ……。

 今回は多分、変な人に囲まれて何をどうすればいいのか判断できなくてオーバーフローしたんじゃないかな。難儀な性質だ。

 囲まれるのが不良だったらとりあえずお巡りを呼ぶとか、適当に相槌を打って大通りに向かうとか、あるのだけどここゲームの中だもの。お巡りいないよ。

 GM?どこに問い合わせればいいのか知らない。基本使わないし。

 それに危害を加えられたわけでもないのにコールするなんてダメでしょう。

 ちょっと怖いだけです。……いえ、結構怖いです。

 不良なら金狙いだとかストレス発散目的とかあるでしょう。

 変態って何目的だか見えないんですよね。だから怖い。

 未知だから怖い。想像できないから怖い。


 どうでもいいけどビキニアーマーの人の声が太い。ネカマプレイヤーだ。


 でも本当に私はどうすればいいのだろう?


「天子様が泣き止まないんだがどうしたらいい?」

「さめざめと静かに泣かれるの、俺初めてなんだけど……」

「俺だって知るか!」

「怒鳴るなよ……ますますおびえちゃうだろ?なぁ?」


 パンツ1枚の人に話ふられたけどどうすればいいの?

 どうしてか体が竦んで動けない。

 過去にもあったけど分からない。

 何をすればいいか、わからない。

 分からないよ、ほんとにわからないよ。

 この人たちは何を望んで何がしたいのかわからないよ。

 そのために私が何しなければいけないのかわからないよ。


 私はもう何もわからないよ……。


「ねぇ!俺たち、何もしてないよね!」

「あ……あぁ、うん。ネタ装備着て楽しんでただけだよ!」

「と……とりあえず、泣き止んで!お願いだから!」

「どうかお願いします!」

「「「お願いします!」」」


 なんか変態に土下座されたよ……、ねぇ。私どうすればいいの?





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ