表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/110

15、実はこのギルド……

 今日は休日なので1日居るというとエキサイトして身動きの激しいお姉さん。

 なんとなくじーっと見てみるともじもじしてきて1言。


「実は君が私の初めてのギルド員なんだ」


 まじすかー!を体で表現してみた。

 あれってなんか難しい。

 表情を作るとき目をかっ!と見開いて口を大きく開け血の気を下げる。

 身体はエア机に向かって両腕を叩き付けるように勢いよく下げる。


 女子ってすごいね。演技力が私の数倍はあるはずだ。

 周りに合わせる力は難しい。


「アハハ!目指せ、大企業タイプ!」

「では私調理部門行きます!」

「部長は君に任せた!」

「イエス、ボス!」


 私は出来るだけノリノリに見えるよう努力して敬礼してみた。


~~~~~~~~~~~~~~~~

 テン子の備考枠


 ギルドは分類として小規模経営タイプと大企業タイプがある。

 ギルドの経営において考えなければいけないこと。

 それはどういう風に進むかだ。


 よくある話だがギルド長1人が頑張って盛り上げているギルドではギルド長がやる気を失ったときあっという間に消滅する。


 けれどギルドメンバー達が頑張るギルドでは例えギルド長がお飾りに近くても動ける。

 これが小規模経営タイプ。


 ギルドメンバーが増えていくと特定の分野が好きというギルド内派閥が出来る。

 これを放置していくと方向性の違いといってギルドから抜けていく人も出てくる。

 一度誰かが抜けてしまうと次の人が抜けやすいので一気に過疎化する。


 なので仲間内で楽しむだけのギルドの場合多くても20人。5パーティー分。


 次に相互協力をすることを目的とした大企業タイプ。

 ギルドメンバーが増えていったとき部門を作り対応し、部門内で派閥が生まれれば班を作る。

 言ってみれば会社経営みたいなものだ。


 各自好きなことをするけれど素材や作品を見せ合い、時には交換し、売り払う。

 企業型ギルドだ。

 アピールする相手にも事欠かないし、競争相手も見つけられる。


 現実と違い基本的に自分で素材を取りに行くか買い取るかをしなければいけない。

 予算で争うことは少ない。


 ギルドでこれを作らないかなんていう場合はたいてい多数決で決まる。

 その場合各自素材を持ち寄り解決するのでギルドとして予算を組むことはたいていない。

 ちょっと参加遠慮したいなって思ったら参加辞退して何もしないなんてことも出来る。

 やりたい人がやるというのが基本なのだ。

 あとリーダーは割とお飾り。


 生産が好きなプレイヤーの中には相場に詳しい人や街に張り付いてお金を動かして楽しむトレーダーもいる。

 彼らに頼むことでログインしていない間に出回っていた素材を入手したりすることも出来る。

 もちろん代金など必要だが。

 ギルド内で出来た商品を高値で売り払うことなども出来るので彼らにとっても楽しいことが多いらしい。

 売る商品が用意され買う予算をもらえる場所だ。

 目の前でお金が動く様を見ることに爽快感を得られるのだろう。

 なによりそこでそれをするだけで自分のお金も貯められるので一番欲しい素材をすぐに入手出来るのだ。

 一番お金を貯めやすく素材の入手がしやすい場所だともいえる。

 横領した場合ギルド内から白眼視されブラックリストにも乗せられるだろうけれど。


 大企業タイプのギルドはやることが大きくなりがちなのでとても爽快感がある。

 自分のしたいことをしていても自分の手持ちでやることなので文句を言う人はいない。


 ギルドのタイプは小規模経営タイプが体育会系、大企業タイプが理系。

 文系はギルドに入らず遊びまわるか小規模経営タイプに入る人が多いだろう。


 小規模経営タイプのギルドは品質が上下しやすいが雰囲気がいい場所だと戦闘がとても上手いので強い。

 パーティーのメンバーと仲が良くなければやっていけないタイプのギルドだからだろう。

 戦闘メインなら小規模経営タイプ1択になる。


 結論はこうだ。

 戦闘は小規模経営タイプのギルドの方が圧倒的に強い。

 生産は大企業タイプが圧倒的に有利。

 個性を追求するならギルドに入らずなんかしてる?


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 


「今日はどうしようかしら?」

 フォロさん考えてないのかな?

 戦闘に誘うはなし。

 サモナーは普通のプレイヤーと火力が違いすぎるのです。

 下の意味で。


「ギルドを見てみたいです!」

 無難な選択はここだろうか。


「ねぇ、肉声じゃダメなの?」

「成人が幼女風の声出すの気持ち悪くないですか?」

「だね」

「幼女が成人の声を出すのは許容できません!」

「筋金入りのロール(役割を演じる)プレイヤーだね、君は」

「えへへ……」

「く、あざとい!」

 笑ってごまかすしか選択肢が思いつかなかっただけです。

 普段からしてたけどこれあざといのか……。


「そういえばよく私みたいな変なのを誘いましたね?」

「うーん」

 何か悩むような顔をすると一言。


「君ってけっこう目立つから宣伝広告になるんじゃないかななんて思ってたんだ」

「なるほどー」

 だよねー。素で付き合いたい人だとか私自身私に対して思えないですもの。


「やっぱり君はスルーするんだね」

「?」

「損得勘定で人を判断するなんて!とかまるで考えてなさそう」

「それって普通じゃないんですか?」

「あぁ……。君はそういう風だと思ってたよ」

「?」

 選択肢をミスったっぽい?

 何が正解だっただろうか?


「君は感情に左右されることが少なそうだね」

「そうですか?割とよくあっちこっちとフラフラしてますよ?」

「ほんとかなぁ」


 歩いているとギルドに到着した。

 内部は家具のない西洋風の酒場みたいだった。

 奥にNPCのおっさんがグラスをクロスでキュッキュッと拭いている。

 (音は想像です。鳴っていません。鳴っていたらグラスが傷んでますね。)

 頭上の名前を見ると【ルーカス】と書いてある。

 ちなみにヒツジの獣人だった。けも率60%。

 角と耳を付けたスーツの渋い顔したおっさん。


「食べちゃうんですか?」

「何を?」

「マスター」

「なんで?」

「ボスは狼。マスターはヒツジ」

「ちょ!あ、それとボスは確定?」

「はい!なんかボスっていうと組織のTOPらしいじゃないですか!」

「なんか文のテンション高くない!」

「仕様です」

「おい!」


「ギルドミッションはデイリーでしたよね?

 出来る物はやっておきますか?」

「あ、私はもう終わってるんだ。ごめんね」

「いえいえ。では出来そうなもの探しておきます。

 あ、皮をなめしているのですがここに置いといていいですか?」

「へ?」

「ネズミの皮を剥いだんですが処理に時間がかかるんですよね」

「お、おぅふ」

「なのでインベントリから出して時間経過させたいんですよ」

「あ、あぁ。いいよ」

「大丈夫ですか?」

「大丈夫、大丈夫。私は大丈夫」

 あまり大丈夫ではなさそうだった。


「すごいね。よくそんなことできるね?」

「WEBでやり方見ましたから」

「それで出来るのは少しおかしくない?」

「どういう風な状態になるのか書いてあります。

 わからなければ別のサイト見て検証してを繰り返せば自然とイメージできますよ」

「ふーん」

 なにやら感心した様子である。


「では行ってきますね、ボス」

「いってらっしゃい。テン子ちゃん」

 マスターからミッションをもらい、いざ草原に向かうテン子であった。











評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ