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107、ログイン。

 仕事の前にした戦闘で大分頭が興奮気味。

 気が高ぶっているからか、頭に疲れは感じない。

 身体自体は休まっているので動きにも問題はない。

 VRは夢を見ている状態と同じだろうか。

 現実での経験を振り返り整理していく作業が夢。

 VRはむしろ新しい経験を積んでいくだろう。

 未処理の経験が頭に溜まっていそうだ。

 未処理でも習得には問題はないとは思う。

 非常に効率が悪そうだが。

 ちゃんと眠り、そういうものを処理をしておかないと、処理が必要な案件が追加された時処理オチしてしまいそうだ。


 私は目がギラギラしている気がしてならない。

 始業前にクールダウンしておかないとだ。


「おはようございます。やはり早いですね」

「おはようございます。いえいえ、沼木さんも早いですよ」

「あの、私も掃除手伝っていいですか?」

「あぁ、これ、私の自己満足なので別に気にしないでください」

「では私も自己満足です」


 沼木さんの手には掃除用具がありました。

 マイ掃除用具です。

 準備万端です。


「私、掃除の時、どういう分類で整理しているのか、把握してないんですよね。

 出来たら教えてもらってもかまわないですか?」

「えぇ、いいですよ」


 どういう風に掃除を回していけば、ゴミを隅になどに溜め込むことなく、ムラを作らず、掃除できるかをていねいに教えてみました。


 いつも1人でやっている量を2人でやったので、始業2時間前に掃除は終わった。

 今日来るだろう患者さんのデータを頭に入れすぐに対応出来るように準備し終えてもまだ時間が余る。


「これらは?」

「これは仕事をする際に気をつけておく事へのメモですね。

 何をしたら、どうやれば、そういうことをメモしておいてます。

 それをまとめ直しているのがこちらですね」

「ちょっと見てもいいですか?」

「どうぞ」


 メモ帳を振り返ると同じことに対してでも対応が違うものがあります。

 後の内容の方が詳しく書いてますね。

 ちゃんと分類しておかないと。


「ありがとうございます。

 ……あの、ここの部分、私はいつもこの時はこういう風に動いています。

 よければそうしてみませんか?」


 沼木さんに指摘された部分とその方法は私の方法よりもいい印象を与えてくれそうです。


「ありがとうございます。……なるほど、いいですね、それ!」

「いえいえ、これからもちょっとそのメモ帳を見てもいいですか?

 私の方法よりもよさそうな内容がたくさんありました。

 なので参考にしたいなぁ、なんてね?」


 どこか申し訳なさそうに、どこか不安気な顔で沼木さんはそう言った。


「別にかまいませんよ。

 私も私が書いたものにおかしなところがあった場合、指摘をしてもらいたいと思っていましたから」


 メモ帳で書くと頭の中で整理される。

 私の中でよりいい内容に変えようと思考する。

 けれどこれはある程度改良?したら止まってしまい、そこから先にはなかなか進めない。

 人の指摘はいいブレイクスルーになるだろう。

 本当にとてもありがたいです。沼木さん。


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 さて、ゲームにログイン。

 ログインした場所は最後にログアウトした河原のボス討伐終了後ワープさせられる場所。

 ここはモンスターがポップしない安全地帯でもある。

 私は川原で体育座りしてHPの回復を図ります。


 ボス討伐直後にモンスターが襲ってくるなんて仕様はありませんよ。

 そんな必死なマネをここの運営はしません。


「こんばんはです」


 ギルドにいつものように一声かけると、今回はスペードさんからもこんばんは、と挨拶が来ました。


「先日はありがとうございます。

 おかげさまで今日は次の町に行けます」

「いや、気にしないでください。

 私の方もとても面白い体験が出来ましたから」

「そういってくれるとありがたいです」


 そういえば私は誰かがログインした時に挨拶返していないです……。

 あまり余裕がないなんて言い訳になっていません。

 ギルドチャットを視界に入れておくくらい出来るはずです。

 誰かと過ごすためには相応に注意を払っておくべきです。

 ……なんかそういうのに便利な機能ってありましたっけ?


 そういえばフレンドなんて機能ありました……。

 登録者数?ぜろですがなにか?

 フレンドがログインしたらアラームで教えてくれたり、画面で確認できるようですよ。


 そういうところ、私が不精なのでダメなんでしょうね。

 行動不足なんです。

 少しでも関わる機会があり、話していい人であれば名刺交換やライン交換ならぬフレンド登録をするべきでした。


 あ、そうだ。

 今こそいい機会ですよ!

 タイミングの女神様は前髪しかないんです。

 ためらいは凶。私よ、進め進め!


「スペードさん、よければフレンドになってもらえませんか?」

「いいですよ」

「では申請送りますね!」


 案ずるより産むが易しでした。


「テン子さんってフレンド作るんですね〜」

「実はこれが初めてなんですよ」

「!」

「スペードさんには先日、お世話になりましたし、今日は挨拶を返してくれました。

 私もスペードさんがログインした時挨拶とかしてあげたいな。なんて思ったんですよね」


 チャットが返ってきません。

 初めてのフレンドなんて言い方は気色悪かったかもしれません。


 幼女姿のおっさんの初めてのフレンド……。


 あ、なんか嫌です。

 すごく気色悪いです。

 バツゲーム一直線でした。


「もしお嫌でしたら取り下げますが」


 私がそう言いながら申請を送ると直ぐ様承認された。


「いやとかありえませんから!ありがとうございます!」


 一瞬のうちにチャットが飛んできた。

 漢字がないです……ね。

 変換の必要性がなかっただけでしょうか?


「フレンド承認ありがとうございます」

「こちらこそありがとうございます!」


「あ、ではもしまた機会がありましたらよろしくお願いしますね」

「えぇ。その機会がきたらどうぞ私を頼ってくださいね」

「ありがとうございます、ではこれで」

「えぇ。また今度」


 そしてチャットは途絶えた。


 無事終了しました。

 視界に入るフレンドリストの初めての名前が神々しく見えます。

 ありがたやありがたや。


 しかしこれはまだシステム上の友達でしかないのです。

 私の望む友達までなってくれるでしょうか……。

 難しいかもしれません。

 何か話を持ちかけに行ったりとか、がんばっていかないとです!

 ボッチの脱却は大変なのですよ!


 HPも回復しましたし、移動しましょう。

 まずは装備を洗わないとなんですが……。臭いです……。


 異常個体のボストンボの体液だし、モンスター避けになるのかな?

 いや、体液という時点でダメでしょうね……。

 ボストンボだろうとケガしてたらワンチャンとばかりに狙ってきそうです。

 特に虫の類は襲ってくるでしょう。

 今は諦めて早いところ街に入りましょう……。


 河原歩きです……。

 今度はたぶん敵がわんさか出てくるんですよね……。

 こんなに臭いをプンプンさせていたら余計なモンスターまで惹きつけてしまいそうです。主に肉食系の。


 小さいとはいえテン子の拳よりも大きな石がゴロゴロしてる河原です。

 うしくんを使っての雑魚避けはムリでしょうね。

 河原では足が痛くなりそうでかわいそうです。

 うしくんの本領は濡れた土や草原といったそういう地面が柔らかいところなんです。


 それに草原では通用したとはいえ、それは草原のモンスターが小さいから。

 河原のモンスターは遠目で見た限りトンボは1mサイズ。

 うしくんのサイズは1.3m程度。

 トンボの集団相手では襲われてもおかしくありません。

 ここでは機動力の低いうしくんは足手まといになります。


 今回はぬこにゃんにクロー装備してもらいましょう。

 もう1人はからすみのままでいいですね。

 イメージとしてはぬこにゃんは攻撃を担当し着実に数を減らし、からすみはぬこにゃんの死角から攻撃を加えようとしてくる敵を襲い挑発し躱すこと。

 私?私は幻影をばら撒き視界を阻害して敵の死角を増やしますよ。



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