第7章
「お前な、ロイス管理長(代行)は管理長業務をこなしているんだ。いい加減俺達も新人教育しようぜ。さっさと準備して、カルト集団の征伐に行くか。」
グレフは気を取り直して、アイリスに釘を刺した。
「はいはい、分かりました。じゃあ、早く行きましょう。レイ、ルキア行くわよ。」
「はい!」
レイとルキアは声を上げて、グレフとアイリスについていくために走った。
「ふぅ~、ようやく行ったわね。」
ロイスはアイリス達の様子を影から見ながら、胸を撫で下ろした。
「お前も大変だなロイス。」
ロイスの背後から男の声が聞こえてきた。
その男の名は、ゼルグ・ベリング。
オデュウス支部の支部長を務めている。
年齢は30代前半位で、黒髪、黒目の長身である。
現役黒魔術士であり、魔術管理士でもある。
ロイスとは、魔術管理協会発足からの同期である。
「ええ、大変ですよ。あの子たちを教育するのも苦労するのに、新人が2人も入って来るなんて。」
皮肉気にゼルグ支部長に向かってロイスは言う。
「ははっ、すまんな。それが、今回だいぶ内部異動が本部や他の支部でされたせいで新人を受け入れられる支部が少なくなってしまってな。」
「えっ、内部異動。私その話全然聞いていませんが・・・。」
「だろうな。どっからも情報は入って来なかっただろう。」
「はい。」
ロイスはうつむき加減ゼルグを見やる。
「でっ、内部異動はどうしてうちの支部では行われなかったんですか?」
ロイスはゼルグに質問する。
「それに関しては、ここでは話せない。場所を変えよう。」