表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
浄弓の巫女サクヤ  作者: 一角獣
第1部 覚醒〜巫女への道〜
24/34

煎薬と栽培

第1部もあと少しです

お楽しみください

 3人は岩陰で夜露を凌ぎ夜を明かした。

 サクヤが目を覚ました時には山犬は姿を消していた。

 簡易な朝餉を摂ると、下山を開始する。

 コノハは、野草をつみながら、薬効をサクヤに説明している。その間、藤十郎は周囲に気を配る。休憩を挟みながら、夕餉時前には社に帰ってくることができた。


 「3日間の休暇だったけど、充実した休みになったわ。」

 「これを休暇と言える、貴方の若さが羨ましいわよ。」


 コノハは疲れ果てていたし、藤十郎も流石に疲れたようであった。


 「無事に帰れてよかった。サクヤは明日から研修再開だから、早く帰って休みなさい。」

「はい。藤十郎先生、護衛ありがとうございました。」

「無事帰ったようだな。」


 別れの挨拶をしていたところに、宮司が現れた。


「宮司様。只今帰りました。お約束しておりました、『月読夜草の花』の花弁でございます。」


 サクヤが差し出すと、宮司は笑顔で受け取った。


「いやいや、これはまた礼をせねばならぬな。疲れたであろうから、休暇を延長してもよいが?」

「いえ、しっかり楽しみましたので、明日からまた頑張れます。」

「そうか。若いうちは多くを吸収できる。この経験も何かの糧になろう。では、明日からも頼むぞ。」

「はい。ありがとう存じます。」



「はぁ、疲れた…。もう何もする気にならないわ。」

「摘んできた薬草の片付けや、夕餉の準備もあるし、休んでる場合じゃないよ。」


 起き上がらないコノハをおいて、サクヤは株ごと持ち帰ったく薬草を、裏の畑に植えなおした。

 家に入ると薬草の整理をして、夕餉の準備である。

 精力的に動き回るサクヤを、横になったままコノハは見つめる。


「ええい、化け物か、うちの娘は!」


 コノハはボヤきながら立ち上がると、着替えて夕餉の準備をサクヤから取り上げる。


 「今から準備しても時間がかかるから、これで食べたい物を買っておいで。」


 コノハはサクヤに銭を渡す。この里は配給のような制度だが、参拝者向けの露店で食べ物も売っている。給与は交換札の他、希望すれば銭も貰えたので、一部を銭にして、今回のように欲しい物を購入することもあった。



「蕎麦を2杯ください。」

「あいよ。珍しいねぇ、サクヤちゃんが買いに来るなんて。」


 サクヤは蕎麦を受け取ると、のびないように急いで帰る。


「たまにはこういうのもいいでしょ。」


 コノハは満足気に蕎麦を啜った。


 湯浴みを終え、2人は家に帰ると、持ち帰った薬草を前に考えを巡らす。


「同じ分量でも、貴方と私で作り分けてみたいわね。貴方が『心を込める』と、効果が全く変わりそうだからね。」

「でも、明日から弓寮だから、煎薬する時間があるかなぁ。最優先は御力回復の薬なんだけどな。休暇、延長してもらえばよかったかもね。」

「ふふ。そうね。でも、まずは適切な分量から考えないといけないから、貴方の出番はもう少し先よ。」

「えぇ〜、それもやってみたかったなぁ。」

「サクヤにはまだ早いわね。明日もあるから早く寝なさい。」



 翌朝、サクヤは弓寮へ行き、コノハは薬草を前に思案する。


(『月読夜草の花』かぁ。単純にこれだけでどの程度の回復力があるかよねぇ。それを確認するには、まず御力を使わなきゃならないけど、私の御力を使うのは色々問題があるのよねぇ。そういう意味では、無闇矢鱈に御力を使えるサクヤって便利ね。)


 コノハは、月読夜草の花弁を細かく切ると、薬研で煎じた後に分量を変えて紙に包む。

 少し自分でも試してみたくなり、御力を使った薬を作った。


(これは、厳重に保存しとかないと。)


 概ね半分くらいに御力が減ったので、1番分量の少ない花弁を、白湯に入れて飲み干した。


(凄い。たったこれだけで完全に回復したわ。これなら全部同じ分量でいいかも。)


 これ以上、御力を使った薬を作るのも保管に困るので、実験は1回で終わった。



「ただいま。」


 居間に荷物を置いサクヤは、すぐに裏の畑に走る。昨日移植した薬草と、種を撒いた月読夜草に水をやる。


(良し、萎れてないね。)


 移植した薬草を見て安堵しているサクヤに、コノハが声をかける。


「それは何の野草?見たことない葉の形ね。」

「こ、これはね、あの山犬が鼻先で指して教えてくれたから、よくわからないけど持って帰ってみたの。増えたら試してみようと思って。」

「はぁ、あの山犬は貴方に良く懐いてたみたいだけど、そんなことまであったのね。ただ、何か分からないものなら、いきなり自分や人で試しては駄目よ。」

「どうやって確かめるの?」

「まずは、ネズミやウサギで試す。それから大型の家畜に試して、毒性がなさそうなら自分の肌に塗ったり、少し舐めてみたりするの。でも、自分で試すのは、子供の貴方は止めておきなさい。私はある程度、毒にも耐性があるから、私が試すわ。」

「えっ…。大丈夫なの?」


(母様の筋力が増強しちゃうわ。ちょっと怖いかも。)


「そんな事より、月読夜草の花弁で試したい事があるから、サクヤは御力を倒れる寸前くらいまで使い切って欲しいの。できる?」

「鏃の材料になる物をいくらか貰ってるから、それに込めればできると思う。」


 

 こうしてマッドサイエンティストな2人の夜は更けていった。


毎度のことながら、短くてすみません

第2部からは、1話がもう少し長くなります

評価、感想のほど、宜しくお願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ