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サクヤの自由時間

もう1話あげちゃいます

環境依存文字の修正に時間を取られました

チャットGPTに感謝です

 藤十郎に送られて帰宅したサクヤは、昼餉を済ませた後、コノハと共に煎薬をして過ごした。


(具現化かぁ。具現化ってどう言うことなんだろう。疑うことなく信じることって、なんだか難しいことばかり言ってたなぁ、アカイヌヌシ様。)


「そう言えば、母様は以前巫女だったということは、御力があるってことよね?どんな御力だったの?」


 何かのヒントにならないかと、サクヤはコノハに尋ねてみる。


「ふふふ、御力というものは、人様に教えない方がいい場合もあるの。だから今は内緒。サクヤが成人する頃に教えてあげるわ。」 


 コノハは不敵に笑って誤魔化した。


(流石に、サクヤにはまだ早いわね。)



 翌日、サクヤは的場へと稽古に出かけた。

 的場には来年「量りの儀」を迎えるくらいの歳の子達がワイワイと稽古をしている。

 その集団から少し離れた位置で、サクヤは矢をつがえた。


(当たると信じて疑わない。外れるとは考えない。そう言えば当たり前にそう考えてたなぁ。『普通』に射る時も、そこは変わらない。)


タンッ!


 初めからそうなる事が決まっていたかのように、サクヤの放った矢は、的の中心を捉えた。その後も曲芸のような稽古を続ける。


「ねぇちゃん凄えな!どうやったらそんなに上手くなるんだ?」


 好奇心旺盛な子供達に問われ、サクヤは笑顔でコツを教えた。

 

「当たることを信じて疑わないことよ。」


 繰り返しになるが、サクヤは人に教えるのが下手であるが、その自覚はない。だが、教えるのが嫌いな訳でも無い。サクヤ自身が弓に関して天才的なので、感覚を伝えるのが難しい。結果、オノマトペを駆使した伝達になるため、聞いてる方はチンプンカンプンである。


 首を傾げたり、ブツブツ文句を言いながら帰る子供達を見送ると、サクヤはもう一度的に向かう。


(今まで矢を射るのに、当たらないと思ったことなんてない。それが具現化なら、「一撃で的を割る」と信じて射れば、的は割れるはず…。)


 サクヤは『普通』ではなく、弓矢に御力を『意識的に』籠めると、的を割るイメージを頭に浮かべる。そして「できる」と確信した。


 放たれた矢は、的を真っ二つに割ると、10間先の木に当たり、深く突き刺さって止まった。


「うん、よくわかんないけど、なんかわかった。」




 稽古を終えると、門前通りを散策する。

 社の鳥居から伸びる参道は、真っ直ぐではなく、社から見て途中で左に曲がっている。

 曲がり角の内側に、よくお使いに来る調味料の店があるので立ち寄る。

 味噌が切れてたので、味噌札で交換してくるようコノハに頼まれていたのだ。


 里の者は、自分達の仕事の報酬に、生活に必要な物資と交換できる札をもらう。

 「お金」は、偶に外食するときや、贅沢品等の購入に使うくらいだ。里の外に出るときは必要経費として申請し、社に都合をつけて貰うことが多い。里の外から来る参拝者はお金を使うので、普通に流通している。


「あら、サクヤちゃん。この間の巫女装束、似合ってたわよ。男どもが鼻の下を伸ばして成人するのが楽しみだと噂してたわ。」


 店主の菖蒲が笑う。

 サクヤは今ひとつピンとこなかったが、適当に愛想笑いで返した。

 今日も矢の稽古だったので、狩り装束である。そのせいか、余り男の目を引くことはなかった。

 寧ろ、女子達の目を引いていた。


「サクヤちゃん、カッコいい〜。」


 そんな声が時々聞こえてきていたが、こちらもピンとはきていなかった。



 昼餉時に帰宅し、コノハに味噌を渡す。

 昼餉の用意は出来ていたので、コノハと一緒に食べた。


 昼からはコノハの仕事の手伝いをし、家事もこなす。

 

 午前中に薬草採りに行くか、弓の稽古に行くくらいしか違わない毎日に、流石に飽きてきたサクヤは、5日もせずに退屈になった。


 宮守になれなかったサクヤと同年の庄吉は、家の仕事の手伝いに専念し、弓の稽古にも殆ど現れない。

 小平太達は社で研修中だから、サクヤの相手をしてくれるのは年下ばかりだ。


(社に行ってみようかな。何かしらやることはあるだろうし。)


 その日の夕餉の際に、コノハに明日から社に行くことを告げた。

 一度社で新鮮な刺激を受けたサクヤには、退屈が耐えきれなかったのだった。



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