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神楽と巫女舞

第12話です

 藤十郎に連れられたサクヤ達は、神楽寮と巫女寮のある神楽殿にやってきた。

 今日は、男女別に神楽と巫女舞の基礎を学ぶ。

 

「先ずは、神楽の基礎知識だ。其方達も子供の頃から観ているだろうから、ある程度は知っていよう。

 神楽舞は巫女舞を含めた総称ではあるが、基本的に男が舞うもの。その中の一演目が巫女舞で、何れも神様に奉納するものだ。決して「踊り」ではない。あくまで「舞」だ。

 主に年2回春と秋の祭事として奉納されるが、巫女舞は他の祭事で奉納されることもあるし、御神域外の町の社に呼ばれて神楽を奉納することもある。」


(へぇ、御山の外に出れるんだ。楽しそうかも。)


 サクヤは舞手になりたいわけではないが、がくならやってみてもいいかなとは思っている。というか、そもそも巫女になりたかったわけではないので、特別やりたいお役目があるわけではない。安澄が舞手になりたいと言っていたので、「どうぞどうぞ」という気分である。


 説明が終わると、男女に別れて基礎的な練習となった。


「はじめまして、巫女舞を担当する静です。宜しくお願いします。」

「「宜しくお願いします。」」


「では、舞の動きの基礎から始めましょう。」


 静は、3人の前に立って、手本となる動きを見せると、同じようにやってみるよう指示する。


 3人の中で、もっとも卒なくできていたのは安澄だった。寧ろ上手い。

 サクヤと伊都は似たようなものだったが、サクヤの動きを見た静は首を傾げる。


「サクヤさんは、何だか動きがぎこちないですねぇ。里の子供は、大体幼いときに舞の真似事をして遊びますから、この辺りの所作は、教えなくてもある程度できるものですが…。」


 そう指摘されてサクヤはハッとした。


(そういえば、確かに幼い頃は舞の真似事をしてたけど、巫女舞は殆どしていない。小平太達とばかり遊んでたから、神楽ばかり真似してた気がする。)


 結局、サクヤはぎこちない動きのまま、舞の稽古を終えた。


 午後からは、がくの稽古だったが、巫女は笛以外を担当することがないので、笛だけの稽古である。


 サクヤと安澄は笛を吹いたことがなかったが、伊都は違った。

 普段はか細い声で、引っ込み思案の伊都だったが、一度笛を構えると、見事な音を奏でた。


「あらぁ、伊都さんはとても上手ですね。これなら私が教えられることなどありませんね。」


 やるならがくと思っていたサクヤだったが、伊都の笛を聞いてあっさり白旗をあげた。


(流石に今から頑張っても、伊都には追いつけないなぁ。)


 想定外だったのは静もであった。他の先生から、サクヤの面白い話を聞いていたので、静としても参戦してみたいと思っていたのだが、舞も笛も今ひとつ。というより、他の2人が其々才能を感じさせたので、現段階でサクヤを巫女舞寮に引き込む口実がなかった。



(巫女寮への配属はなさそうだし、今日の稽古はある意味終了かな。)


 そう思っていたサクヤは、フラフラと男子達の稽古スペースの方にやってきた。


 男子達は、其々大太鼓は竹蔵、小太鼓は小平太、打鐘は鉄太、笛は省吾と別れて稽古中だった。

 皆それなりに演奏できており、笛の省吾は伊都ほどではないものの、器用に熟している。


 久し振りに聞く神楽の音色に、サクヤは自然と身体が動く。


 巫女舞は不得手だが、神楽なら散々真似事をしてきた。

 サクヤは音色に合わせて、自然としんの舞を始めていた。



(ほう、見事なものだな。巫女なのが惜しいくらいだ。)


 男子を指導していた竜造は、サクヤの舞に感心して、男子への指導そっちのけで魅入っていた。

 サクヤは女子としては背が高い方なので、巫女装束を着ているのを差し引いても、神の舞が様になった。


「あらら、サクヤさんは神の舞の方が上手なのね。これは想定外でした。」 

 

 竜造の隣にやって来た静は、コロコロと玉を転がすように笑う。


 演奏していた男子達も、いつの間にかサクヤの舞に似合わせるように奏で始めていた。


 安澄と伊都も、男子の方にやってきて、伊都は自然と楽に加わる。


 安澄もウズウズしたのか、普段は男が舞う姫舞でサクヤの舞に加わった。



 子供達の始めた即興の舞に、神楽寮と巫女寮の者達も、自然と集まってきた。



(ふぅ、楽しかった。ってあれ?皆何してるの?)


 演奏が止まると、サクヤはやっと周囲の状況に気がついた。

 皆が其々満足そうな顔をしていたので、今回は特にやらかさずに済んだと、喜んだ。



 この日の夕餉の席も、先生達の話は紛糾する。


「困りましたねぇ。巫女がしんを舞っても問題ないんでしたっけ?」


 静はわざと惚けた感じで竜造に問うた。


「前例はないな。舞はともかく、口上で違和感はあろうな。姫役なら問題ないのではないか?」

「あの舞なら相当人目を惹きますね。神様もお喜びになるのではないかしら。」

 静と竜造は、どう口実を付けてサクヤを神楽部に引き込むか議論を交わす。


「まてまて、勝手にサクヤを神楽部に入れる前提で動くな。巫女が神楽を舞うのは前列がないって言ってただろ。」

「あら?そんな事を言ったら、巫女を山兵にする前列もありませんわ。」

「だとしたら、破魔寮が1番問題ないわけだから、私の所で決まりだな。」


 結論を得ない議論は、紛糾したまま夜は更けていった。


お読み頂きありがとうございました

評価、感想をお待ちしております

今日中に、もう1話あげたいと思います

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