一夜・百物語〔自己責任〕
君は百物語と言うものを知っているかい?
そう、怖い話を一つする度に蝋燭の火を一つ消すアレだよ。
そうやって一晩で怖い話を百話語り、百本の蝋燭の火を全て消すと最後に怪現象が起こる。
ん?前に一度やってみたけど何もなかった?
ははは、それだけで簡単に幽霊見れるなら、皆わざわざ心霊スポットで肝試しなんてしないだろう。
ああ、その通り。他にもやる事はあるよ。
んー教えても良いけど、試してみたいなら自己責任でね?
それから、一応ルールがあってね。
それはまた後に話すよ。
まず、用意するもの。蝋燭を百本、鏡と刃物。
刃物は何でも良い。包丁でもカッターでもね。
そして部屋を二つ。
一つはなるべく大きい部屋が良い。集まる人数分、蝋燭百本並べるスペースが要るからね。
もう一部屋は小さくても構わない。
但し襖で仕切っただけの続き部屋ではなく、廊下に続く部屋だ。
その部屋には鏡を置いて、その前に刃物を。
そして大きい部屋に、火の灯った蝋燭百本並べたら準備完了だ。
ああ、火の元には充分気を付けてくれよ?
火事になったら目も当てられない。
さあ準備が出来たら、後はやり方だ。いや全然難しい事じゃない。
語り手は話を終わらせたら、蝋燭の火を消して鏡のある部屋へ一人で行き、鏡を覗いてまた皆の居る部屋へ戻る。
百話終わるまで、これの繰り返しだよ。簡単だろ?
最後にルールを教えるけど、たった一つだけ。
一人で鏡のある部屋へ行き、また元の部屋へ戻るまでの間に起こった事や見た事は、生涯誰にも話してはならない。絶対他の誰にも喋ってはいけないよ?勿論、百物語の参加者達にもだ。
百物語は最後に何か起こるんじゃないかって?
そんな事はないさ。寧ろ、話数を重ねる度に色々起こる様になるよ。
兎に角、このルールだけは絶対厳守だよ。
もしこのルールを破ると僕みたいに…
「おいA、こんな所で一人で何してんだよ。」
「…え?」
「そんな事より、今夜皆集めて肝試し行かないか?」
「…なあ、それより面白そうな話があるんだ。どうせ皆集めるなら、試してみないか?」
「何だよ、その面白そうな話って?」
「百物語。」
〔完〕




