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木枯らしの季節、舞踏会で自転車に乗ってホットケーキサバイバルを繰り広げる貴族たちを年賀状も書かずに雨宿りしながら見ていると風鈴の音とともにオルゴールを持った王妃が現れてギフトを消す合い言葉を求められた

作者: たこす

こちらはラジオ大賞応募作品です。

タイトル含め必要なキーワード全部のせました。


【キーワード】

年賀状/オルゴール/合い言葉/自転車/雨宿り/ギフト/ホットケーキ/風鈴/サバイバル/木枯らし/舞踏会

「ホットケーキが食べたい」


 舞踏会での王妃のその一言で壮絶なサバイバルが始まった。

 その場にいた全員がホットケーキを求めて町中へ走り出したのだ。

 中には自転車に乗って隣町へと向かう者もいた。


 王妃のご機嫌を取ることはこの国で出世できるチャンスである。

 そのため貴族たちは競い合うように店を回った。



 その中でただ一人、この状況を静観してる人物がいた。



 レオ辺境伯だ。

 彼は冷めた目で血眼に成って走り回る貴族たちを見ていた。

 季節は木枯らしの吹く11月。

 なおかつ雨まで降ってきている。


「ふん、みんなムキになって」


 王妃への年賀状すら書いてない彼は木の下で雨宿りをしながら悪態をついていた。



「あんな女のために……」



 かつて彼は王妃と恋仲だった。

 将来を誓い合うほど愛し合っていた。


 しかし彼女は国王に嫁ぐとレオのことなど一切忘れて贅沢三昧の毎日を送った。

 国民を蔑ろにして「ホットケーキが食べたい」なんて言ってくる女など、レオのほうから願い下げだった。



「昔はいい女だったのにな」



 思いを馳せているとチリンと風鈴の音が聞こえてきた。


「……?」


 気づけば目の前に不思議な空間が現れている。


(なんだこれは)


 そう思った瞬間、中から王妃が姿を現わした。


「お、王妃!?」

「ああ、レオ! 会いたかった!」


 それは「ホットケーキが食べたい」と言っていたあの王妃だった。

 手にはオルゴールを持っている。


「なぜこのような場所に?」

「実はあの王妃は私ではありません。あれはギフトスキルで私に化けた魔女です」

「魔女!?」


 言われてみれば確かに目の前の彼女は雰囲気が違う。

 あの頃のような純粋な目をしている。


「ずっと隠れてあなたと会える時を待ってました」

「ずっと?」

「殺されそうになったので」


 どうやら魔女は彼女の存在が邪魔だったらしい。

 それに気づいて逃げ出したという。


「そしてこのオルゴールは我が家に伝わる秘宝。合い言葉を言えば魔女の魔法が解けます」

「合い言葉?」

「ええ、私たちの誓いの言葉」


 その言葉にレオは思い出す。

 二人で約束したあの言葉を。


「あれか」

「一緒に言っていただけますか?」

「もちろん。『離れていても』」

「『思いは一緒』」



 するとオルゴールは光り輝き王宮へと飛んでいった。

 そしてその光は魔女の魔法を解き正体をあばいたのだった。


 王宮は大混乱となったが王妃が偽者とわかるやすぐに殺された。




 その後、レオが妻を娶ったという噂が飛び交ったがそれが王妃であることは誰も知らない。



お読みいただきありがとうございました。


タイトルの文字数が100字以内だったため、意味不明なタイトルになっちゃった(笑)


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