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日常系、時勢・時事問題のエッセイシリーズ

地域団体商標の尋常ならざる取得難易度の高さと広い権利効力の範囲も知らずに「なみえ焼そば」の問題をマスコミは語るな

 先週頃から「なみえ焼そば」の件で炎上騒動が起き、地域ブランドとしての「なみえ焼そば」の立場が揺らいでいる事が確認されている。


 この炎上事件においてはロイヤリティ徴収が主として引き金となっているわけだが、筆者はここについての結論は後に回すとして何よりも本エッセイを書かねばならぬとなった理由は「地域団体商標」という、極めて取得難易度が高く特殊性の高いものについてテレビ局の報道等では全く触れず、一般の商標と混同した認識て説明がされていることについて許容できなくなったために、この場を借りてエッセイを書くことにした。


 なお、現時点で地域団体商標について触れているのはABEMA TVぐらいと思われるが、ここの内容についても取得難易度の高さや取得意義については触れられていない。


 また、ABEMA TVでは知財管理技能士と称する人間が自治体が取得できるかのような話をしているが、自治体は直接的権利者になることは出来ないと同じ管理技能士の資格を所有する筆者が述べておこう。


 まず地域団体商標について改めて簡単に説明しておく。


 地域団体商標というのは、「地域名」+「一般名称」という、それまで「文字商標」としては取得できなかった存在について、限定的な条件を定めて取得できるようにしたというもの。


 ここについての歴史を掘り返すと江戸時代あたりまで遡る必要性があるのだが、元来、地域ブランド商品とも言える存在についてはそれまで幕府管理のもと、各地の藩が厳正管理していた。


 これにより今日まで続く日本の伝統工芸品等や伝統食品については、贋物を大量製造して流通することが出来ないよう管理されていたのである。


 なぜ幕府がそこまで厳正管理していたかというと、優れたブランド産品は関税という面から幕府にとって大きな利益をもたらすものであったから。


 江戸時代ともなると船便による工芸品や加工食品の流通が増えた。

 この工芸品や食品については港において関所を通す際に通関が行われ、持ち込んで売り込むのに指定された税金を支払う必要性があったのである。


 そう、今日の通関や税関、関税の言葉はそもそもが江戸時代の国内流通に課された税金に対する言葉であり、実は国会図書館などで確認できるが船便の税関関係の資料は今日まで保存されてデジタル化されて公開されていたりする。(主として東京都などが保管してきた)


 この船便による税関の資料の中には「奈良酒」「晩茶(現在で言う徳島などの阿波晩茶などを示す)」が記述され、これらは明確に税区分が異なり、奈良酒は清酒より税額が高く、晩茶は番茶より税額が上だが抹茶より税金が下であるなど、極めて厳格な処理がなされていた。


 優れたブランド産品には番付を定めたりする一方で、その番付に従い、細かく税区分を分ける事で品質の高いブランド産品については税金として幕府や藩の資金として回収することができたわけである。


 だからこそブランド産品については幕府や藩が全力でもって保護したわけであり、一部の産品は現代日本にまで生き残って現代日本人も手に取り、食すことができるわけである。


 地域団体商標の考えが生まれたのは実は明治維新後であり、かつて藩や幕府で管理していた体制が崩れた結果、日本ではとにかく何でも海外に売れるということから、粗製乱造された贋作や偽ブランド製品が横行し、これが政府内でも問題となった。


 結果的に言えばそのために生まれたのが当時の商標法と意匠法であったが、高橋是清や大隈重信、そして福沢諭吉といった人物が述懐しているようにそれでは守り切れなかったのが当時の商標法の常識では認められていなかった「地域」+「普通名称」による地域ブランド産品だったわけである。


 それこそ当時は道府県に同業組合などを組織させ、そこにブランド管理させようとしたり……


 あるいはもう国ぐるみで一括でやるしかないということで富岡製糸場が誕生した他、大正時代に至ってではあるが有馬の地域から多数の移住者を別府に呼び寄せて「別府竹細工」が誕生したりなどした。


 あまり知られていないが「兵庫県の有馬の竹細工」こそが「別府竹細工」のルーツであり、粗製乱造等の歴史と、原材料の確保が有馬で出来なくなった事から、政府主導で大多数の工芸品の職人を移住させてまで誕生したのが「別府竹細工」である。


 ここまで国が動かねばならぬほどの事態に陥っていたわけだ。


 地域団体商標自体は平成に改めて商標法の法改正によって誕生した存在であるが、遡れば江戸の幕府管理体制の崩壊の後、明治政府がやり残した課題について、改正当時の平成の日本では主として特定国家が偽ブランドを商標登録して世界中にばら撒いていたため、私達現代日本人でも名前を知る偉人達が明治の頃に「こうすることができれば……」という考えを汲み取って改めて生み出した存在である。


 しかし元来の商標法の概念とは相反する存在であることから、「地域団体商標」というのは登録において限定した条件を定めた。


 主として権利者が「事業協同組合や農業協同組合、商工会・会議所、NPO法人」などに限定される事と、「その商標が周知著名性を得ている事」が大前提とされており、個人が取得できるものではないのである。


 したがって、それこそ明治政策によって誕生した同業組合等から事業協同組合などへと歴史を紡いできた伝統的な地域ブランド産品と比較した場合、新興のものほど取得難易度は高くなる。


 しかも商標法の仕組み上、取得したといっても登録後に与えられるのは権利と法的な保護のみであり、ブランド維持のための活動を審査を行う特許庁等は行ってくれない。


 さらに重要なのが、取得するにあたっては「周知著名性」があることなどを示す大量の資料提出が必要であり、特許庁等に資料閲覧請求などを行えばわかるが、どの団体も辞典や電話帳レベルの大量の資料を商標審査官に向けて提出しているような状況だ。


 一般的な商標の場合、出願願書はA4用紙で1枚から2枚ほど。

 事前に商標調査を行い、問題ないと考えて出願した後は、審査官がどう判断するかで登録が決まる。


 しかし地域団体商標というのは審査もより厳格なものとなっており、権利者が大規模な組織であれば下部組織の組織関係図などを提出せねばならないなど、その出願時の労力は尋常ではない。


 組織関係図が必要となるのは拒絶理由通知において拒絶理由が第三者による利用が認められるとか言われた際、実際は第三者ではなく傘下組織だったりするケースなどであるのだが、商標審査官も一部の界隈における複雑怪奇な組織構造を全て把握できているわけではないので、こういうのも出願者側の自助努力によって示さねばならないのだ。


 私は常日頃「地域団体商標を目指したい」という話をする団体には「ならば活動記録等を行い、全て写真を撮影してください。新聞記事、雑誌記事、テレビ番組の録画。全部記録して提出してください。1から100まで関係する資料全て集めておいてください」――と言うが、多くの権利者はよほど周知著名で皆に知られているような伝統的工芸品でもない限り、莫大な量に及ぶ資料を特許庁に向けて送っているのである。


 その資料作成だって、例えばこれが「なみえ焼そば」のようなイベント出店も多い地域グルメだった場合は、イベントが存在した事実が確認できるポスターやチラシと共にその写真が必要になる。


 しかも写真の日付が明確に証明できなければその資料は審査時に判断資料として却下されてしまうような状況だ。


 なんなら動画サイト等での当日の様子も必要かもしれない。


 日常的にこまめに記録を取ってYoutube等にアップロードしてくれる人が関係する団体にいてくれればいいが、そうでなければ資料集めに奔走する事になる。


 何十時間、何百時間もかかる作業だ。


 はっきり言ってそんな作業は弁理士もやりたくないので、出願時においては相当な額をふっかけてくるのが当たり前で、100万ならまだ安い方で、資料作成等も代行する場合は300万とかもありえる。


 通常の商標出願と比較してもその額は高く、資金に困窮する団体は自分達の労力を費やして資料作成を行い、代理人はあくまで出願関係の管理だけを行うみたいな体制で出願しているケースも多い。


 何よりも問題なのが「出願可能となる立場の特定の組織が出願時点で存在しない」ケースが少なくないことで、Xにも記述したが、新興ブランドの食品関係、そして新興ブランドではないものの特定の温泉地などではよくそのような状況に陥る。


 一例で言えば「商標登録第6330786号 指宿温泉いぶすきおんせん」及び「商標登録第6330787号 指宿砂むし温泉いぶすきすなむしおんせん」については指宿商工会議所が権利者となっているが、これは鹿児島県の指宿温泉の周辺地域においてはまとまった形での「温泉事業協同組合」や「温泉旅館協同組合」といった組織が存在せず、一方で地域内で外国人が土地等を購入して勝手に名乗り始めたため、地元商工会議所が立ち上がって関連する法人をまとめあげて出願し、登録まで繋げた事例がある。


 この指宿の件については鹿児島県内の各観光地において相当の衝撃が走ったらしく、鹿児島出身の筆者の知人は「どうやってまとめ上げたのか知らないか」――みたいな質問を投げかけられた事があった。


 取得当時鹿児島県内でもニュースになっていたので相当な衝撃だったのだろう。


 当然私は関係者ではないので知らないが、これまで地域団体商標においては「本当に地元の明日を考えて立ち上がり、関係者をまとめあげて登録まで繋げた事例がある」――ということを常日頃知り合いの方々には伝えていたため、知人においては「きっと鹿児島の件も知っているはずだ」――と考えたようだが、私も全知全能ではないので登録された事例から独自に地元などを訪れて調査研究することはあっても、全てを把握しているわけではない。


 少なくても指宿の件においては商工会議所という存在が適切に地域のために動いてくれた事例と考えていいだろう。


 では「なみえ焼そば」についてはそうではなかったか?


 ありえないね。

 出願のための手助けなどをやった立場からしてハッキリ言います。

 

 ありえません。


 出願時においては多くのケースでこの手のブランド産品ってのは商工会あるいは商工会議所に入会していない店舗がいて、彼らがネックとなり第三者の利用という形で拒絶理由通知がなされる。


 そういう時においては「同意書」と呼ばれる権利化するにあたって同意しましたよといったような証明書類の提出が必要となるわけだが、「なみえ焼そば」の実情をある程度調べた限りでも出して無いわけがない。


 当然この「同意書」の背景には「いかなる形で権利を行使するか、しないか、どういう方針で出願するか」などの誓約書も背後で個別に結んでいるはずで、商工会が勝手に出願したなんてことはな……


 絶対にありえないんだよ!!!

 それじゃ登録されないんで!!!


 一般的な商標じゃないの!


 これを全く報道しないからな、そりゃ何も知らない人間は商工会を目の敵にするよな。


 実態はこの手のB級グルメにおいては多くがNPO法人か商工会または会議所の出願となり、商工会や会議所はそのための資料作成などに多大なる労力を注ぎ込んでいる。


 私の経験で言わせれば昭和風吹かした老年の飲食店のオーナーを説得するなんてことは、その人の人となりによっては苦労するどころの騒ぎではなく、地域によってはそれが原因で出願できていないようなブランド産品は多数ある。


 頭下げて説得してイベント企画立案等して彼らにもインセンティブを与えて、ブランド産品を守りたいという思いだけで貫き通す場合は移動渡航費等などの金銭的な要求なんて一切出来るわけがないから、手元の貯金がどんどん擦り減って「ラーメン発見伝の芹沢さんは金の絡まない仕事は責任を持てないというが、責任感だけで押し通すしかない仕事もあるんだバカヤロウ!」と架空のキャラとその漫画の表現に叫びたくなるぐらい悲惨な環境が存在するわけである。


 それでも動かされるのは、こと食品関係で言えばすぐ模倣品が出てくるから。


 その事例として筆者が把握しているのが「商標登録第6478405号 津ぎょうざ(つぎょうざ)」で、これが出願に至った理由はほぼ愛知県のせい。


 かねてより愛知県というのは「天むす」など、三重県発祥のブランドをいつの間にか自らの物にする歴史的背景があるが、「津ぎょうざ」と現在は呼称され、筆者のような世代では学校給食で馴染み深かった「ジャンボ揚げ餃子」は三重県が発祥の地であるにも関わらず、地域グルメとして地場産品化しようといざ組織体制を整えてイベント出品をしはじめたら、名古屋の競艇場とかサッカースタジアムで「津ぎょうざ」としての無関係の第三者による販売や、「名古屋ぎょうざ」とか「名古屋ジャンボぎょうざ」とかいう形での販売がされ始め、これに危機感を覚えた出願人サイドが出願して登録したものである。


 当然、認知度が上がってきて売れてきたからそんなのが出てきたわけであるが、さも自らが発祥の地と言わんばかりの姿勢に過去の歴史を踏まえて出願したというのは、いかにこの界隈において「模倣」というが当たり前となっているかを現わす。


 名古屋独自の地域ブランドや名古屋という地域自体が嫌いではない立場だからあまり批判的な事は言いたくないが、歴史掘り返すと残念ながらそういう事例が相応に確認できるな………かの地域は。


 そして「なみえ焼そば」についても出願時の新聞記事を確認する限り、勝手に第三者の全く関係ない県外の出店が「なみえ焼そば」を名乗って商品販売などを行い、「なみえ焼そば」というものが浪江町の地域ブランドでなくなるということが出願の経緯であるため、同じ状況が発生していたわけである。


 福島県としては「喜多方ラーメン」という存在が過去に商標登録できない「完全な普通名称化(ニュース等では一般名称化などという)」状態に陥り、登録を断念した経緯などがあり……


 現場においてはそういった過去の経緯も含めた危機感から出願され、登録されたものが「商標登録第5934383号 なみえ焼そば(なみえやきそば)」というわけである。


 ようは出願と権利取得において何ら問題が無かったということだ。


 「なんで勝手に商工会が出願しているんだ!」――とかいう声がXにあるが、何も事情も知らずによくもまあそんな事を言えるなと思う。


 模倣品を許せば当然その地域の価値が失われる。


 地域のブランド産品というのは「そこでしか食べられない!」という希少価値がその地域に観光客を引き寄せ、結果的に地域全体の活性化に繋げられるものであり、「どこでも食べられる」――なんて事にしてしまったら地域活性化のための機会を失うと言う、少子高齢化社会の昨今において尋常ならざる被害を地域単位で被る事になるわけであり、出願に対する正当性はあったし、「同意書」等の文書の取り交わしはこれまでの地域団体商標の出願事例から考えて確実にあったはずで、なぜ商工会の権利取得に文句を言う人間がいるのかわからない。


 もちろん炎上理由は「ロイヤリティの請求」という部分が主であるので、これからその話をしていくわけだが、まず先に言うけどロイヤリティ徴収なんて地域団体商標に登録するような食品なんてほとんどの組織がやってる事なんだよ。


 何を騒いでいるんだと。


 無償活動で何とかできると思ってんのか。

 イベント関係の認知度向上のための活動や、ブランド保護にどれだけの労働力がかかると思ってるんだ。


 まるでその産品に愛を感じとって無償奉仕する人間がさも当たり前にいるかのような口ぶりだ。

 私以外で県外から訪れて助力する人間なんてまず見ない。


 地元の人に目を向けても少数。

 飲食物なら活動に従事するのは多くが純粋な関係者で、オーナーや店員、その親族。


 そう、つまり自分こそがそういう立場だからこそ本件で「商標ゴロ」とか主張している意見が気に入らないわけ。


 地方創生関係の活動してればわかる事だが、どの地域も高齢化の問題は目を背けられない状態で、パソコン1つまともに使えなかったり、冗談抜きでスマホすらまともに使えない人達ばかりなわけですよ。


 普通に考えてロイヤリティ徴収して地元の若い人に雇用の場を与えてあげた方がよっぽど有意義。


 で、本件について調べてみたら商工会側の主張は概ね正論でしかない。


 まず商工会においてロイヤリティ徴収の結論へと言った理由は「青年部」が主としてこれまで関連の活動に従事していたが、入会している法人は飲食店だけではないのに特定のジャンルの活動ばかりやっていて不公平だという意見が出たから。


 至極真っ当すぎる。


 それこそ商工会においては「布団屋」とか「呉服店」といった他の浪江町の商店も入会しているわけであるが、「なみえ焼そば」を買いに来た人がわざわざ一緒に布団を買いに来てくれるのかって話なんですよ。


 毎年、あるいは毎月の会費支払って組織が活動することは特定のブランド産品に向けてだけだっていうなら、そりゃ不公平だと言う人は出るだろう。


 似たような事例、なろうとか見ている読者なら最近ゲーム界隈でもあったの知ってる人いるよね?


 とあるサードパーティー企業がゲームの売上収益を他のゲームの大会やらイベントやらの開催費に投じていて、株主などが圧力をかけた結果、イベント関係でとあるものが有料になった事例があるでしょ。


 これと同じだよ。


 あるゲームを購入した時、筆者が思うのは完全新規作の開発費に投じられるならわかるが、無関係の別のジャンルの同じ会社の別ゲーのイベントやら大会に使われるなんて普通に不公平で嫌だと思うわ。


 なんでプロゲーマーやYoutuberの懐に金が入り込むんだよって思うよ。

 開発者に向かわないじゃないか。


 同じように商工会内部の他の法人がクレームを出すようになって、ロイヤリティ徴収へと至ったわけでしょ?


 しかも商工会の発表を見る限り当初はロイヤリティ徴収をしていたと……なんで辞めたやら。


 まあ多分、震災後において多くの観光客が訪れてそれでも利益に繋がっていたんだろうねその頃は。


 だけどそうではなくなったと。

 なら徴収して当然でしょ。


 店舗の登録費3000円で、売り上げの2.5%でしょ?

 これ焼きそばの価格が1000円なら25円。


 集めたところで何人雇えるんだと言う話です。


 今までの方がおかしいでしょ。

 いくら会費を徴収して成り立つ商工会とはいえ、所属する人間に適切に給与等が支払われていたかもわからないのに。


 自分は他の地域団体商標のロイヤリティーの比率知っている立場なので言うが、食品関係10%とか普通にありますんで。


 ロイヤリティ徴収しない中で、関係者が活動に従事しても元が取れるのって水産食品の高級ブランド魚ぐらいですよ。


 これなんて一度地域団体商標になったら5000円で豊洲に卸してたものが2万になったりするんで、収益比率から新しくそういう活動もやってくれる社員を雇うことすらできる。


 B級グルメでそれが出来るかと言ったら、客単価から考えて無理。

 こういう時にいわゆる投資家みたいな人らはダンマリだよな。

 それをちゃんと説明しろよ。


 ちょっとAI使ってシミュレーションするだけでも活動に従事する完全なそういうのに特化された専属の人材を新たに1人雇えるかどうかしか集まらないってわかるでしょ。


 それをさも暴利をむさぼるみたいな表現してさ、無茶苦茶だぞ。


 私から言わせれば、さしてまともなプロダクト1つ作ってすらいねえシリーズAかも怪しいスタートアップ企業が、夢だけポエムみたいに社長が語りながら数十億とか調達してるの見たら、こいつらの方がよっぽど異常だと言いたくなるわ。


 その手の成功事例は15年前ぐらいのベンチャー創業ムーブの頃にもほぼ無かっただろと。


 この手の連中がまともな技術評価もされずに省官庁から数十億単位で税金吸い上げるのは何も言わんのか? 


 筆者は地方創生とスタートアップ関係両面の支援活動やってるだけに、地方創生関係の方が意義があるのに資金面で常に苦労させられて血の涙流す事になるのに、スタートアップ関係の詐欺師みたいな連中の話聞く度に世の中の不公平感に爆発しそうになるよ。


 あんなのこれまで平成の時代は悪徳企業を設立して怪しい悪徳商法やって金集めてた奴らが、さもまともな事業装ってるように見せかけて様々な組織から金を吸い上げてるだけだろとしか言いようがない。


 その手の怪しいスタートアップの多くがマジで専門研究者とかが開発陣営にいないからな。

 過去実績もほぼ無関係の分野で、一目で「ああこれ、テック風偽スタートアップ企業だ」ってわかってしまう。


 社名を出したって良い。

 AI分野だけで最低7社把握している。


 いやむしろAI関係が酷すぎる。


 本当に支援すべきスタートアップの背後にスタートアップブームを背景にそういう企業が乱立しているのを見たら、真に炎上すべきはそういう組織だろと言いたくなる。


 話が少し横に逸れてしまったが、本件においては弁護士の意見からロイヤリティ徴収をやめたっていう。

 その理由が「商標区分が役務と食品で違う」との事だが、これ完全に弁護士に丸め込まれてますね。


 地域団体商標はそもそも「周知著名性」を利用しているため、「保護範囲は広く、混同の恐れが生じている場合は区分が異なっていても訴えられる」という事は、まあちょっと論文検索でもしてもらえばわかる事。


 区分関係については実際に訴えて見なければわからないが、私は高い確率で勝てると思ってます。


 これは出願時の制約の一方、その高い障壁をクリアした商標というのが、一般の商標とは司法でも扱いが変わるという考えから。


 博多織とかの裁判例でちょっと触れてたかなそれ。


 地域団体商標はまず裁判化しないのと、登録件数も800件とかで絶対数が少ないので裁判が生じにくいのだが、ちょっと論文等を見れば司法関係者がそういう話をしているのは見て取れるし、私も大学院ではそう教わってきている。


 更に言えば弁護士は「先使用」について触れるが、知財界隈においては「先使用」というのは法廷での証明難易度が極めて高く、まず認められないため「先使用権があるから大丈夫」なんて事は無い。



 そしてさらに「地域団体商標」の場合、「商標法」だけでなく「不正競争防止法違反」でもいけるんですよ。


 これも報道で説明しない。


「不正競争防止法」においては「周知著名性」のある商品表示において「周知表示混同惹起行為」に罰則規定が設けられており、「地域団体商標」というのは全ての登録商標が不正競争防止法でも同時に保護されているって話を知らないのかと。


 ここで重要なのが「不正競争防止法」では「誰が先に使用したかではなく、どちらが著名で真に認められるべき商品表示の関係者か」――である。


 不正競争防止法には先使用権なんて無いんですね。

 だから地域団体商標において「先使用権」なんて馬鹿げた話なんです。


 不正競争防止法において問題になるのは「誰がその商品表示の主体者か?」ということで、これが問題になる。


 しかし地域団体商標の場合は、その商品表示の権利者が明確。

 つまり、「周知著名性」と「主体者」の双方の条件を満たし、一般論として「地域団体商標」というのは「不正競争防止法における商品表示としての保護」も登録時点から発生しているわけ。


 一応言うとですね、「沖縄そば」がその論法で飲食店での無断使用を防いでいたはずですが?

 あれも麺だけの登録ですね。


 ようは報道関係間違いだらけなんですよ。

 事実関係も、法的な問題も。


 わずか2000件程度の出願で、登録も800件程度されていない特殊商標の専門家なんて、そうそういないから出てくるわけがない。


 地域団体商標関係について番組作るならまず私を出してくれんか?

 後でこうやって訂正する労力に疑問を感じるから。

 出演料とかいらんからさ。


 本件の問題は言うなれば、ロイヤリティ徴収に関して矢面で騒ぎだした相手側の店舗ときちんと意思疎通が取れてなかったということでしょ?


 それでもって「なみえ焼そば」というブランドが失墜したというのが事実。


 他の部分に関しては私が上に書いたことが全てだよ。


 つまりまとめるとこういう事。


1.なみえ焼そばの権利取得そのものは、地域団体商標であるため、同意書等の存在が確実に背後にあり、商工会の権利取得に問題点は無い

2.ロイヤリティ徴収のための論理も概ね妥当。そもそも取って無かった方がおかしい(徴収しないというなら、ではどうやって持続性を帯びた状態で維持管理するのか?)

3.地域団体商標は周知著名性を登録要件とするため、商標区分が異なっていても「混同の恐れ」が生じていれば、法廷において一般商標以上に権利侵害が認められる可能性が高い。

4.地域団体商標は、登録時点で同時に「不正競争防止法」における周知著名な「商品表示」としての保護を受けている。同法では「誰が周知著名性を帯びた商品表示の真の主体者か」が問われ、先使用権の概念がないため、商工会側が法的に圧倒的に有利な立場にある。

5.そもそも先使用はほぼ法廷では認められず、極めて証明難易度が高い

6.問題の多くは双方の不適切な意思疎通に伴う相互理解の不足に起因している


なお、最後に2つ話をしたい。

ロイヤリティ徴収については私は「権利の不行使特約」で行けると思ってる。


これは特定の権利を持つ組織が特定の組織に向けて「権利行使しないからその代わりに」っていう約束。


独占禁止法等に抵触しない限り、この論法で役務区分の商標を取得してなくてもいけるっていうか、その論法でやってる地域団体商標をいくつか知ってる。


 だから代理人とはそっち方面で相談した方がいい。


 そしてもう1つ。


 Xにも書いたが、報道では自治体などは支援してないのかなんて話が合ったり、自治体も支援しているのではなんていう憶測の話もあるが、これも一律の話ではない。


 確かに特定のブランド産品については都道府県が「協議会」などを組織し、協議会の長を都道府県知事とした上で県がブランドの維持管理を請け負ってたりする事例はある。


しかしこれはブランド牛とか、著名な伝統的工芸品などの都道府県を代表する花形の地域ブランド産品に限る。


 基本的に飲食物関係なんてまず都道府県は関与しない。

 だって税金投入に対して地元住民の理解を得られないもの。


 地域の主要産業を維持するために税金を用いてでも管理しなきゃとなるようなものはそう多くない。


 筆者は必要性も感じる一方、どこまでやるかで言えば農産品と異なりブームによって長期的な展望を望めない飲食店関係への自治体の全面的な支援には慎重であるべきと考えている。


 税金投入に見合うかどうかは、将来性、資源的価値等を見据えてやるべき。

 そうなるとどうしても「工芸品」や「ブランド農産品、水産物」になってしまう。


 そして都道府県も似たような考え方なので、そのようにして偏る。

 だからこういう地域グルメというのは常に人でも資金面でも困窮した状況にある。


 ゆえに今一度問いかけたい。


 その状況で今後も持続性あるブランド産品とするための活動のためにロイヤリティを徴収することのどこに問題があるのか。

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― 新着の感想 ―
専門家の観点からの解説ありがとうございます。 この件、ニュース等で知ってはいましたが表面的な事しか知らなかったので大変勉強になりました。 ブランドの価値や維持にお金が掛かるのは当たり前ですから。 しか…
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