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バグ・ジャック  作者: 火羅陽
第1章「すぺしゃるすーぱー大作戦!」

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7/12

007 ジャックの逃走劇

〔お泊まり会にて〕


「そういえば、最近魔女がいるって噂があるらしいよ」

「魔女?」

 シーナが真剣な表情でみんなに伝える。異世界で魔女という言葉を聞くのは初めてだ。魔術師とは違うのだろうか。


「魔女は人間を害する人間のことを言うわ」

「あー…」

 一瞬、なんで?と思ったが人間ならやりかねないと思い出す。この世には目的のためなら何でもする人間がいるのだから…


「魔女はとてつもなく強く、1人で国1つを壊すほどと言われているわ」

「国一つ?」

「あれだよな、〈爆発の魔女〉とかだろ?」


 ダストがシーナに問いかけるとシーナは「そうよ」と頷きながら答える。


「有名なのは〈爆発の魔女〉。国3つを破壊した化け物。その他にも、〈つるぎの魔女〉、〈重力の魔女〉、〈時止めの魔女〉、そして〈洗脳の魔女〉。この5人が世界5代魔女と呼ばれているわ。どれも国1つは壊している危険人物」


 その説明に反応したのはダストだった。


「だが、〈時止めの魔女〉は死亡していて、〈爆発の魔女〉は囚われてる。〈洗脳の魔女〉に関しては大昔の話だろ?」

「だから、〈つるぎの魔女〉か〈重力の魔女〉っていう噂がたっているの。まあ噂だから分からないけど気をつけてっていう話」


 ダストが「はーい」と返事をする。この様子からして信じてないな。まあ噂程度だし…といっても魔女か、国1つ壊せるってヤバすぎるな。


「ごちそうさま、食べ終わったお皿はこっちに置いといて。洗うから」

「わかった」

「はい」

「分かりました」


 その後、ジャックは洗う時のシーナの水魔法に驚いて、さっきの話はほとんど忘れてしまっていたのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


〔次の日の朝〕

 ジャックは朝6時頃に起きる。ちなみにジャックとレイは同じ部屋で寝て、ダストはシーナと同じ部屋で寝た。ちなみにシーナが言うに「大丈夫、ダストとは幼なじみでよく寝てるから〜」だそうだ。

 ジャックは頑張ってシーナとダストを同じ部屋にしようと作戦を立てていたのだがまさかのシーナから一緒の部屋で寝ると言ってきた。作戦を決行できなくて悲しいが、それよりもよく寝ていて幼なじみという情報を得れたのは嬉しい。

 でも一緒によく寝てるって事は意識されてないってことなのかな。そうだったらドンマイ、ダスト。これから頑張れ。


 謎にジャックがダストを心のなかで慰めていると、ダスト達の部屋から誰かが出てくる。それは、長い金髪に寝癖が少しついてるシーナだった


「ふわぁ〜おはよう、ジャックくん」

「おはようございます」


 シーナが大きなあくびをして挨拶をする。とても眠そうだ。


「ちょっと私顔洗ってくるわ…」


 小さな声でそう言い、とぼとぼと気怠そうな足どりで洗面所に向かっていった。

「朝弱いのかな?」

 そんなことを呟いて、ジャックも少し気怠そうに玄関に向かって行く。玄関の扉を開けて外に出る。外に出ると街を陽の光が照らしている。西洋の家が建ち並んでいる光景をみると(日本じゃ絶対見れない光景だな)と思う。陽の光を浴びながらゆっくりと体を上に伸ばす。


 そんな時、右から人がこちらに向かって来る。その人ほ、黒い制服のような服に黒い大きい帽子をつけていた、いわゆる軍服と呼ばれる服を着た女性だった。

 その女性は無表情で前を向いて真っ直ぐ歩いている。そしてジャックの顔を横目に見た瞬間、女は立ち止まった。


「え……」


 ものすごいスピードでジャックは女に長くて白い棒を突きつけられていた。それは、〈生成魔法〉で作られたものだ。


「…アンデッド?」


 会って一言目の言葉がそんな質問だった。ジャックは全然意味がわからない。

「早く答えて」

「おっおれはアンデッドじゃない」

 焦りながらも質問に答える。その答えに対して、眉ひとつ動かさず無表情のままジャックに言う。

「あなたからは生命力が感じられない…」

「それは…」

 これは本当に分からない。バグった影響なのか、ガルタ人だからか…どっちにしろ人に言えることではない。多分頭がおかしい人と思われる。


「でもアンデッドだとしても知能がある…じゃあ魔族?…まぁどうでもいいや、どっちにしろ…」


 「殺すから」


 その瞬間、彼女が持っていた棒をジャックの頭に向けて突いた。ジャックは咄嗟に避ける。後1秒遅かったら気絶していただろう。彼女は棒を振るう手を止めずに攻撃してくる。2、3発避けてジャックが大きく後ろに下がる。

 彼女は避けたことに驚きながら「めんどくさいな…」と呟いた。そして、彼女は口を動かし始める。ジャックには聞こえないほど小さい、彼女の口が止まった瞬間、彼女が言う。


「戦士の人、大至急、緑の髪の男を捕まえてください」


 その声は街中に広がっていく。さっきの魔法は、声を大きくする魔法とかだったのだろう。空気を震わせる声、近くで聞いているジャックは耳が壊れそうだった。


「大人しく殺されて…」

「……」


 どうしよう、捕まったら厄介だ。多分今、俺アンデッドみたいになってるから殺される可能性が高い。


(せっかく転生できたんだし2度目の人生こんな所で終わってたまるか)


 そう思って、ジャックは自分が入ってきた門へ行くため後ろに走り出した。謎の女もこちらに走って来ている。女はとても速い。少しでも止まったらすぐ追いつかれる。

 ジャックは自分の場所を把握している訳でもないの門の場所が分からない。なので女を撒くのも兼ねてジャックは地面を蹴って飛ぶ。ジャックは宙に浮く。


(門は…あっちか!)


 門の場所が分かったのであとは走るだけだ。本気で走れば、あの女も追いつけないはずだ。これで行ける………と思っていた時期もあった。


「がはっ!!」


 その瞬間、背中に強い衝撃が走る。背中をなにかで叩かれた。ジャックはものすごい速度で落ちていく。そのまま地面にぶつかると小さいクレーターができる。目を開けると女が上から棒で頭を狙ってくる。

「やべっ!」

 咄嗟に横に転がる。棒は自分の頭があった所に振るわれていた。身体中が痛むが今はそれどころではない。


(正当防衛だ!)


 ジャックは隙ができた女に飛び跳ねおきをしながら蹴る。今のジャックの腕の筋肉なら手だけで身体を飛ばすことができる。蹴られた女は空中に投げ出される。その隙にジャックは門へと走る。さっきの衝撃で上手く走れない。


DrapeドレープON!」


 曲がり角から出てきた男がそう詠唱する。男は両刃の剣をにぎっている。〈生成魔法〉で作られた剣は少し白くモヤモヤしている。そして、男がジャック目掛けて斬る。

 ジャックはそれを当然のように避ける…はずだった。剣を避けたはずだが、ジャックは斬られていた。その証拠にボロボロだった服が綺麗に斬られ、腹の皮膚が少し切れて血が出ている。


(これは…斬撃!?)

 

 ジャックは、男がもう一度ジャックに斬りかかってくる瞬間に、瞬時に剣の軌道を視る。ガルタ人の動体視力を活かし、ジャックはその刃を避けるのではなく手で受け止めた。

 片手で剣を受け止められた男は「なっ!」ととても驚いた声をだし、驚愕の表情をしている。ジャックは剣を握る手の力を増す。すると、とても硬いはずの〈生成魔法〉で作られた剣は「パリン」とガラスが割れたような音を出して砕けた。


「っ!この化け物が!」

「……」


 今はそんな構っている暇はないんだ。確かにこの男の斬撃の魔法には驚いた。しかし、あの女ほどではない。ジャックはあの女に本気で殴られたら死ぬ自信がある。それほど、「強い」と一撃を貰って気づかせられた。

 そして、ジャックは男から逃げるように門の方向へ走る。さっきより痛みは無くなってきたからか、ものすごいスピードで走ることができる!


(あの女が来る前に速く…門に!)



 謎の女は、ジャックに蹴られたあと、二階建ての家で受け身をとって門の方向へ向かって跳んでいく。そう、跳んでいった。壁を地面代わりにして。


 そして、さっきまで洗面所に向かっていたシーナが魔法で宙に浮き、ジャックに人差し指を向けて詠唱する。


 「痛くするね...〈爆発魔法ボルケーノ〉」


 シーナが詠唱すると、ジャックの前にほんとに小さい魔法陣が生成されて爆発する!

 火山の噴火のように所どころ火の粉が舞っている爆発だ。ジャックはそれに気づいて後ろに下がるが遅かった。爆発をもろに受けて服が焼ける。いや、それ以上に身体にダメージが入る。痛いし、熱い。爆風でジャックは5mほど吹き飛ばされて地面に横たわる。


「これで終わりだね…アンデット」


 爆発が終わる頃には、謎の女が近くに来ていた。結構遠くに飛ばしたんだけどな…

 女は棒ではなく〈生成魔法〉で作った剣を持っている。あれで俺は斬られるのか…くそ、身体が思うように動かねえ。


「さようなら…」


 そして、ついに女が剣を振りかざしてくる。


(このままじゃ殺られる!どうする...そうだ「アレ」を使えば!)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 私は殺せると思った。なぜなら、誰かの爆発魔法でアンデットは動けない状態になっていたからだ。

 しかし、剣を振りかざして当たる瞬間、男の周りが歪んだ。気持ち悪い歪みだ。見ているだけでおかしくなりそう…そして、男は気づけば消えていた。剣が当たった感触はない。魔石もない。


「消えた?」


 流石に動揺する。もしかして、分身だった?いや、魔力の繋がりは一切感じられなかった。それじゃあこれは…


「どうゆう事?」


 私は目の前の光景を信じることができずに私は呆然とその場に立ちすくむ。やつはどうして消えた?考えられることは、他の仲間が転移魔法を使った?だがどこにいたんだ。転移魔法は〈大魔法ステシアル〉を使わないとできない。でも、魔力反応は感じられなかった。しかも、魔法陣もない。こんなことが有り得るのだろうか?




「…あのーこれはどういう状況ですか?」


 気づけば、金髪の女性がシーナの後ろにいた。さっきのことに驚いていて気づかなかった。


「…アンデットが消えた」


 謎の女に追いついたシーナは、とりあえず質問をした。


「消えた?いやそれよりもアンデットって…」

「あの緑の髪の魔物。いや、魔族かな。もしかして知り合い?」

「はい、一様私達がこの街に入れました」

「そう…じゃあ後で話聞くから他の人も呼んで領主館に来て」


「わかりましたけど…貴方は何者ですか?」


 シーナはつい知りたくなってしまった。彼女が自分より格上の人なのは言動からして分かるがどうゆう役職なんだろうか気になった。

 その質問に対して彼女は「ああ…そういえば言ってなかったね」といい、間を開けてシーナにとって衝撃の一言を言う。


「私は、帝国先鋭軍第6隊員 シャルゼ・ミルドレット...」

「!」


 私は驚きのあまり目を見開いた。格上の人だったが領主様よりも位の高いとは思ってもいなかった。


「帝国先鋭部隊...帝国直属の魔女に匹敵する力を持っているとされる帝国最高戦力の一つ...」


 シーナのその小さな呟きは誰の耳にも届かない。

 そんな偉い人がなんでこんなところにいるのだろう。帝国先鋭部隊は殆どが皇帝の護衛とドラキュラ、魔女の討伐。


(もしかして、『カルシス』の魔女の噂はほんとうなの?)

いきなり急展開でごめんなさい

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