002 「バグ」の能力と襲撃
門をくぐり、静かな村を歩きながら人を探していると気づく。
「人が…いない。ここは廃村なのか?」
そんな独り言を呟き、曲がり角を曲がる。そして、大きい広場に出る。一番最初に目に入るのは水がもう出ていない噴水。その次に噴水の後ろにある大きい建物が目に入った。
「あの大きな建物…市役所とかかな」
そんなことを考えて、ジャックは市役所(?)に向かった。そして市役所(?)の前に立つ。年季の入った木のドア、少しボロくなった白い壁、そして周りにはツタが生えている。
ドアを開けると「ギィィ」と音を立てて開く。中には受付所のような机があり、それ以外は本棚が並べられていて本が詰まっている。ここにも人はいなさそうだった。
(図書館だったのか)
と思っていると床に落ちているある本に目がとまった。『魔法の書 初級編』と書いてある。
(そういえば魔法の使い方知らないな…ちょっと調べるか)
そうしてその本を読む。詠唱は日本語ではなく英語で書かれていた。
(英語だな、転生した人がつけたのかな)と思いながら読み進める。そして、魔法を使うために外の噴水がある広場に出る。
「Garento」
右手広げて、そう詠唱すると握り拳よりもちょっと大きい白い球体が出てくる。白い球体を見ながら(ゲームの中に入ったみたいだ)と思う。
続けて詠唱する。
「Kastam」
そう言って形をイメージする。そして白い球体は長い棒になる。
「矢をイメージしたんだけどな…全然ダメだな」
そう言って矢とは言えないほど太い棒を持つ。その棒はとても軽く、殺傷能力もない。5秒ほど経って棒は消えた。
「あ〜弓だけど作れる気がしねえ…ゲームが元なら弓が出てくる『バグ』とか起きないかな」
その瞬間、ジャックの周りにノイズのようなものが走る。気づけば、左手にはアーチェリーで使っていた弓を持っていた。
「は?」
今、魔法は発動してない。しかもこの弓、アーチェリーで俺が使っていたのと全く同じだ。能天気なジャックでも少し怖くなった。俺はただ「バグ」が起きないかなーって願っただけなのに。ん?願った。もしかして願ったらそのとおりになるのか?そして試してみる。
「食べ物が出てきてほしい!」
何も起こらない。もしかして「バグ」を使わないとだめなのか?そう思い試してみる。
「食べ物が出てくる『バグ』が起きる」
そう言うと、ノイズが走り、右手には生前によく食べていたパンが握られていた。
「おおーこれは食パン!ってことは『バグ』が起こせる能力ってことかな、神様ありがとう!」
そんな能力がなぜ自分に付与されているのだろう?という疑問は出てくるが、転生した時にErrorが起きたからだろうと仮説を立てる。
それから、ジャックはこの能力「バグ」の研究を始めた。この研究をしているジャックはまるでゲームでバグを初めて見つけた少年みたいになっていた。
わかったことは4つ。
1つ目、生み出せるものは自分がよく知っているものだけで、必ず手から出てくる
こと。
2つ目、起こせるバグは自分に関係することしかできないこと。例えば、世界の時
を止めたりはできないけど、自分の時は止めることができるなど。
3つ目、バグは一度に一つしか起こせず、二つ目を発動すると一つ目の効果はなく
なること。
4つ目、バグを使うと、数分立つとバグの強力さによって自分にもバグが起こること。
4つ目の自分へのバグは空を飛んだり瞬間移動などは強力なバグを使うと、空を飛んだときは気持ち悪い浮遊感が数分間起きて、瞬間移動の時は体全体が筋肉痛のようになった。体を完全に止まらせたり、物を生み出すときは少しの頭痛などで済んだ。しかし、連続して使うと最後に使ったバグのあとに一気に来る。そして、バグる時はどれも体にノイズが走る。
そうして長い研究が終わった。ちょっと気持ち悪い。ただわかったことがある。バグの特徴は魔法とは真逆だ。魔法は、自分が知らないものも生み出せるし、自分以外に干渉する事ができる。それに、自身に魔法は使えない。魔法は一度に何個も出せるしデミリットもない。
「この能力、使い勝手はあんまよくないな。体がバグると気持ち悪いし...強力なのは使わないようにしよう」
そうジャックは誓った。そして、日が落ちかけていることを知った。
(暗くなってきたし、寝るところを探そう)
そして、村を散策する。良さそうな家はすぐ見つかった。
(この家の布団、ホコリもないしきれいだな)
試しに布団に寝転がった。とても暖かくてすぐ眠っちゃいそうだ。
(今日は疲れたし、明日また頑張ろう...)
そうしてジャックは深い眠りについた。
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〈次の日〉
朝になったので起きる。
「今何時だ?」
そう言って周りを見渡すが時計が見当たらない。
「そうだった、時計ないんだった」
そして、ゆっくりと起き上がった。家の外に出る。太陽が少ししか出ていないから、大体6時くらいだろうか。
日にあたりながら、伸びをする。「ふぅー」と息を吐く。左の方から水が流れる音が聞こえる。そのまま水の音がする方向に行く。そこには、きれいな水が流れる水路があった。そこで、顔を洗う。冷たい水のおかげで頭がスッキリする。
「よし、今日は魔法を頑張ろう」
という目標をつくる。人間誰しも目標があったほうがいい。そして、今日の目標を意識するために声に出して言う。それがジャックが昔からやっていた習慣だ。
魔法をするために広場に行く。広場は相変わらず大きい。そして、ジャックは詠唱する。
「Garento」
白い球体が出てくる。今回は手のひらを球体に向けて突き出し、詠唱する。
「Shoot」
白い球体は真っ直ぐまえへ進み、5mほど進んだところで消えた。
「あれ?10mは飛ぶはずなんだけどな」
そう言って、魔法の書を読む。「どんなに下手でも10mは飛びます」と書かれている。嘘じゃねえか、と思ったところで神様の言葉を思い返す。
「そうだ、ガルタ人は魔法特性が低いんだ」
ガクンと肩を落とす。しかし、ちょっと悲しいが身体能力は良くなっているのでいいかと思った。
「このままだと攻撃魔法がなしになっちゃうな。なにかいい方法はないかな?」
魔法の書のページをめくりながら言う。そして、良いページを見つけた。そこには「魔法が遠くへ飛ばず、攻撃魔法が難しい人のための攻撃方法」と載っていた。俺のために作られたようなページじゃないか、と思いながらページを読む。読み終わり、立つ。
いざ実践!まずバグで作った弓を持つ。弓を持ち方を確認して、詠唱を始める。
「Garento Kastam」
ここでイメージするのはアーチェリーのときに使う矢。1秒ほどで形になる。そして、矢がブレないように重くする。
「Earth」
ここでイメージするのは固くなった泥岩。白い矢が茶色に変わっていく。
矢を弓の弦に引っ掛ける。弓を引く。最大限引っ張ったあと、右手を弓からはなす。矢は音速でまっすぐ前へ進み、作った的の真ん中よりも少し右を貫通して、後ろにある家も貫通して地面をえぐって止まった。
「やっとうまくいった〜」
ちなみにこれは10回目の挑戦である。弓の弦が引っ張る強さにたえられなくなって切れちゃったり、矢が太かったり、柔らかかったり、軽すぎて風に飛ばされたりなど色々あって、やっとできた。それよりも、殺傷能力高すぎだろ。家貫通しちゃったし。
「まだまだ改良が必要だな」
そう言った瞬間、頭痛がする。思わず顔をしかめるが違和感を感じる。
「あれ?痛みが少ない?慣れたのかな…」
慣れって怖いなぁ〜と呑気な事を考える。
この時のジャックは、痛みが和らいだ本当の理由をまだ知らない……
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〈一週間後〉
バグと魔法を使い初めて1週間がたった。一週間でどんなバグを使えるかと土魔法を使った魔法をたくさん覚えた。例えば、土の矢を爆発させる魔法だったり、でっかい泥団子を作る魔法だったりと。
そんなこんなで、この生活に慣れてきたところでアクシデントが起こる。
それは夜の出来事だった。寝ようとしているときに足音が近づいてくるのを感じた。慌てて外に出る。そこには、たくさんのスケルトンがいた。
「まじかよ」
そんな言葉しか出なかった。その時、後ろにスケルトンがいるのを感じて回し蹴りをしてスケルトンをふっとばした。ふっとばされたスケルトンは壁に衝突してから消滅する。そして輝く白い石を残して消えていった。
(あれは、魔石?)
そんなことを考えているとスケルトンに包囲されていることに気付いた。
(ここじゃ不利だな)と思い、高く飛び上がってスケルトンがいない村の門のところまで行く。10mほど前に飛んだが馬鹿げた身体能力の高さできれいに着地する。そのまま走って距離をはなして振り向く。
そして、弓が出現するバグを起こす。自分の左手あたりにノイズが走る。
「Garento Kastam Earth!」
慣れた詠唱で土の矢を作る。スケルトンとの距離は約20m。弓を最大まで引く。「ふぅー」と息を吹き集中する。そして放つ。その矢は2体のスケルトンを射抜き、地面に突き刺さる。
「Burst」
そう詠唱すると矢が爆発して5体ほどのスケルトンを消滅させる。
「数が多いな...一気に決めよう」
そして、弓の形が変わるバグを起こす。弓にノイズが走る。矢を乗せるレフトが横に大きくなり、弦は布のように太くなった。
「Garento Kastamaize Earth」
Kastamaizeで矢の本数などの細かい部分までカスタムする。そして6本ほどできた矢を弓にセットする。レフトに合わせて矢が横に並ぶ。大きな一本道にはスケルトンがうじゃうじゃいる。
弓を最大まで引き、放つ。6本の矢はそれぞれ、4体ほど貫通して射抜いた。
(残りはあと60体くらいか、魔力も少ないしどうしよう)
その時、右肩に痛みが生じる。後ろにいたスケルトンが木の棍棒のようなもので叩いたのだ。叩かれてすぐに攻撃するために弓を消す。そして、左に回転しながら右手の拳を握る。そしてスケルトンの頭目掛けて殴ると、頭が取れて消滅した。
「頭硬っ!でも血、流れてないのか。体強すぎだろ」
そんなことを言いながら振り向くと、スケルトンとの距離が5mほどになっていた。バグを起こして生前に使っていた包丁を右手に出す。
その包丁でまず一番前のスケルトンの首を切る。そのあと、左から来たスケルトンを左足で蹴り、吹き飛ばす。左足を前に踏み込んで、右手の包丁で右から左にスケルトン2体の首を切る。
そのあとも、圧倒的な身体能力でスケルトンを殴ったり蹴ったり切った。そして、3分ほどでスケルトンはいなくなった。




