010 バズーカ!
〈領主館〉
カーン カーン (鐘の音)
「ん?」
「鐘…敵襲?!」
「もしかしてジャックか?」
会議?のようの事をしていると、鐘の音が鳴り響く。その音は敵襲の合図だった。そして、今のところジャックは魔物らしいから、ジャックが攻め込んできたのかもしれない。
「まだ早すぎる…さっき逃走したばっかなのに…ちょっと確認してくる…」
「じゃあ俺らも!」
「あなた達はここで待ってて、すぐ終わるから…」
シャルゼがそう言うと、近くにあった少し大きい本を取った。領主様が時々読んでいる本だ。
「これ使いますね」
「使うって、何に…」
その瞬間、本が青白く輝き出す。シャルゼご魔力を込めたようだ。そして、本は浮き、シャルゼの後ろに回って止まる。シャルゼは、風魔法で窓を開けて、本の上に乗って地面と身体が平行になる。そして、バズーカのように思いっきり窓の外に飛び出した!
「「「「えーーー!」」」」
領主様と気絶してるライム以外のみんなは驚く。だって、人間が風をきってありえない速度で飛んでいったのだ。帝国先鋭部隊がすごいことは知っていたが、こんなにすごいと思ってなかった。
「人が…飛んだ?!」
「あれが〈移動の軍師〉と呼ばれる理由か…俺達じゃとうてい真似出来ねえな」
「…本当に人間なの?」
シーナが、身体の心配をしていて、それにダストが補足して、レイは人間かどうか疑っている。まぁ、気持ちはわかるが…
ちなみに、領主様は一回だけ見たことあるのであまり驚かなかった。でも、ちょっとは驚いたらしい…
「…」
本を使って、飛んでいく。向かうのは、鐘のなった城壁の上…そのためにはスピードを落とさないといけないのだが突然止まったりすると体が壊れてしまう。
風魔法を使って、速度を落とす。すると重力によって身体が落ちていくから、〈防御魔法〉を地面と平行にしてその上を速度を落としながら走って行く。一見、空を走っていてすごいと思うかもしれないが誰でもできる。
衛兵は、寄ってたかって鐘の方にいっている。着地するところが少ないので、そのまま宙に浮いたまま状況を確認する。
「皆さん、静かにしてください」
シャルゼが大きい声でいうと衛兵のほとんどがシャルゼの方を向く。一部の衛兵は聞いていないが、構わない。そのまま、続ける。
「わたしは、帝国先鋭部隊シャルゼ・ミルドレッド…状況を説明してください」
「「「……」」」
シャルゼが状況を聞こうとしても誰も口を開かない。そんな沈黙を一人の男が破る。
「聞いてくれ!本当に鐘が勝手になったんだ。おれが一番近くで見てた!」
「お前…鐘が勝手に鳴るわけないだろ。お前が鳴らしたんじゃないのか」
「ち、ちがう…俺は…」
「どうせ、間違って鳴らしてその罪をなくそうとしてんだろ!」
その言葉を聞いた衛兵たちは「確かにそれ以外ありえない」や「さっさと自白しろ!」など、謝罪の記者会見の記者が集まっている様子みたいになっていた。
それを聞いたシャルゼは、言い合いになっている衛兵達に告げる。
「静かにして…もしかしたら、侵入者が遠くから鳴らしたのかもしれない…だから言い合いなんてしてないで警備を厚くして」
その言葉を聞いた衛兵達は少し黙ってから、静かに自分の定位置に戻っていく。シャルゼの言葉はそれほど重いのだ。
「もしかして、アイツが中にいる?」
そしたら、色々納得できる。
(この大きい街でひとりで見つけるのは困難… )
そう考えたシャルゼは、もう一度本に乗り、バズーカの要領で領主館に飛んでいくのだった。
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地図を見ながら、印の方へ向かっていく。着ている服がボロボロでほとんど半裸なことを、今知った。なので、あまり人がいない路地裏のような場所を通っていく。上では衛兵が走っている。さっきまで、鐘のところにみんないたのに…
「ん?」
鐘の位置からものすごい速度でなにかが飛んでいる。
「なんだあれ?」
よく見ると、人の形のように見えた。まぁ気のせいか…
ジャックは魔石を置く位置に着く。すると、地図の現在地の丸が光る。
「ここに置けばいいのか?」
ここは誰もいなさそうな路地裏だ。こんなところに魔石置いてなんになるんだよ。
「ていうか、あいつが置けばいいじゃん。なんで俺なんだよ。俺追われてるのに…」
(いや、もしかしたらあいつも追われてるのか?でも、追われてる奴があんな余裕そうな顔するか?いいやしない。人生歴約20年のおれの勘がそう言ってる… )
そんな感じで心の中で確信する。それよりも、以外と道長えな…ちょっとペースアップしたほうがいいかも。
そう思って、城壁の内側を走り始める。城壁は地図のとおりだと上から見た図はきれいな正方形だ。だから、まっすぐ走っていれば壁があるからそこを曲がればいい。そして、全速力で走って行く。地図では、現在地がものすごいスピードで動いている。
(壁あった!)
壁に当たる瞬間に右に90度曲がる。そして、そのままスピードを落とさず走る!大体、40%ぐらいの気持ちだ。城壁の内側に衛兵用の道があって良かった。
現在地が印のところと重なるように減速していく。走るのにも慣れてきた…。魔石を印のところに置いて、また走り始める。壁を曲がる。魔石を置く…そうして、魔石を全部で3個置くことができた。
しかし、問題なのはこの次、門の前に印がついている。要するに門の近くに置くってことだ。
たった今、門の近くに行くがそこでジャックは言葉を失う。だって、そこには、軍服をきた紫色の髪をした女性がいたから…
「なんで、ここに…それにダストにレイも…」
どうしよう、バレないように置くのは難しいかもしれない。すると、軍服女はダストたちに何か言って去って行った。
(どうする?あそこに草があるしある程度投げても割れないよな?)
ジャックは、いま筋力も上がっているので、少し力をいれると割れてしまう。だが、本当は硬いはず…だから、草のクッションで吸収すれば割れないはず!
ジャックは深呼吸をする。今からするのは、単純なことだ。彼らが違う方向を見ているときに、草に魔石を投げ入れる。これだけだ。
ジャックは、全神経を脚に集中させて、ダストとレイが草の方向を見ていないときに、地面を蹴る!
今までで一番速い速度…ジャックはレイのちょうど後ろに来たときにスピードを一瞬緩めて草に魔石を優しく落とす。そして、また地を蹴り前に跳ぶ。この動きを大体2秒でやっている。そのため、地を蹴ったときの音を隠すことはできなかった。
「…あれ?今後ろで音しなかった?」
「風が吹いて門が軋んだんじゃないか?」
「ん〜そうかな?」
レイはその後ろで鳴った音に疑問を持つのだった。
「あっぶな!後1秒遅かったらバレてたぞ」
レイが振り返ろうとしてるのが見えて(終わった…)と一瞬おもった。あの様子からしてバレてなさそうだ。良かった…よし、帰るか。
そうして、歩き始めようとするジャックの顔が青白く染まっていく。
「どうやって帰ろう…」
さっき見たいに鐘を鳴らしても多分駄目。2回目は通用しない、そんな気がする。バグで瞬間移動は論外、さっきの恐ろしい痛みがまた来るかもしれない。
(壁を破壊すれば…いけるか?)
試しに壁を殴ってみる。痛みを覚悟で思っきり殴る。でも!多分壊れるはず!…そんな願いは届かなかった。
「痛ったーー!!!」
手の甲が熱く痺れていて、思っきり殴ったから手から肘、肩までビリビリっと痛みがくる。手の甲が熱い。ただ殴っただけなのに火傷したような痛み。息を「ふう、ふう」と吹きかけて痛みを和らげようとする。
「あ〜壁破壊は無理…もう正面突破するか?」
壁は一切削れてもいない。となると、正面突破…やるしかないのか?
頭を上げて上を見ると、衛兵が動いているのが見える。手には剣を持っていて…怖い。
「やっぱ、また石なげるか」
ジャックは、投げやすい石を探すさっきの石は持ちやすい奴だ。こんな、裏道みたいなところにあるのか?
「これは、だめ…これは、小さいな…これは大きすぎ、これは水切りしやすそう…これ形、イカみたい…これすごっ!がちの人の形じゃん…これは、なに!?完璧な立方体!!こんなんあるの?やば、めっちゃすごいの落ちてる」
「君、なにしてるの?」
「石探してます!この辺形がめっちゃすご…く……て?」
「はぁ、ここほガキが来る場所じゃねえ、とっとと帰りな…」
男の声がした方に振り返る。見ると、重々しい鎧を着た衛兵だった。背丈は180cmぐらいで左腰には、鍵束をぶら下げている。鍵束は固定されていて動かなくなってる。
(あの鍵束の鍵であそこの扉を開けれるのか?なら取るしかない!ここは、あのプランA発動!!)
「こんにちは、お兄さん!お兄さんの腰にある鍵束、みせて〜!」
必殺、ショタ化!俺の身長だったら中学生ぐらいに見えるはず、これでみせてくれ!
「鍵束?まぁそれ見せたら帰ってくれるか?」
「うん!」
「じゃーはい…【カチャという音】これでいい?」
男は鍵束を魔法で腰から外して見せてくる。石を探している大人なんか、いないし俺のことを完全に子どもだと思ったのだろう。今、こいつは油断している。だから、近づいて盗って……盗って…
(やばっ盗ったあとどうしよう逃げる?いや、仲間呼ばれたらめんどい。じゃあ気絶させる?いや加減がわからねえ。殺すのは論外だ。やばいやばい!)
男は、早く見てもらって帰って貰いたそうだ。はやくなんとかしないと…あ!そうだ、魔法で口を塞いで逃げよう!そして、笑顔を続けたまま鍵束に手をかけて、思い切り盗る!
「なっ!お前返せ!」
「……」
ジャックは男が伸ばしてきた手を掴み、男の口元に手を添える。男は手を掴まれたことに驚いている。魔法を詠唱する。
「Garento(ガレン卜) Create Earth!」
「んっ!んんっんんん!んんー!」
男の口元にありったけの魔力を費やした土を生成する。ついでにロープのように体全体を覆う、すると自由に動くことができなくなり、男は倒れた。鎧が「カチャカチャ」と甲高いオモチャみたいな音を鳴らしている。ジャックは魔法に使うのにめっちゃ集中したから少し息切れしている。
「ごめんなさい… 」
ジャックは男に聞こえるか聞こえないかわからないぐらい小さい声で呟く。そして、ジャックはドアの元へ走り出す。とても丈夫そうなドアだ。ドアの前に立ち、鍵を一つずつはめていく。
「これも違う……これも違う……これも…違わない!」
「カチャリ」と音を立ててドアが見た目の割に軽々しいドアを開ける。ドアの先には、短い通路があって明るい外が見えている。ジャックは走って外に出る。そこは、石を投げたところから100mほど離れた地点だった。
ジャックは走り、あの従わないといけない(?)セルの下に向かうのだった。




