名無編 | 言霊ノ実在
どうも。Sihase Sikihaです。本書には下記の表現が含まれます。それでも宜しい方のみ、この先にお進みください。
・過去作品のリメイク
・流血表現や暴力描写等
・自殺、自傷行為等の描写
上記の表現が苦手という方はブラウザバックを推奨します。
また、閲覧する方に置きましても、気分が悪くなった際は一度本書を閉じ休憩時間を取るようお願いいたします。
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「だから言ったろ。死ぬのも、バケモンになるのも俺だけでいいって。」
そういったのは、隻眼の──。
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言霊を知っているか。青髪の、三つ編みを左側に垂らした少年、ルークは眼の前の旗袍を着た、黒髪の少女にそう問われた。
「ああ、知ってるよ」
「それがどうした?」
それから間をおいて、向かいに立つ少女は再び口を開く。
「じゃあさ、あると思う?」
「いや、きっとないね」
「もしあるなら、勇者を目指す奴らははとっくに1位になってる」
ルークは世界勇者育成機構(Xiviva Shalis Abet Hezetoth:XSAH)という組織に属する、謂わば勇者の卵のような存在。しかし、現実はそう甘くなかった。
無論、肩書のみを見れば偉大で、寛大で、脚光を浴びるようなな存在だろう。けれども、XSAHは総勢1702名存在する。ルークはその中で第1701位。お世辞にも希望があるとは思えない。
「あはは……そっか」
「逆にお前はどう思うんだよ」
「私? 私は──」
少女が口を噤む。少し間が空く。また少しして再び喋り始める。
「ワガママだし、少しズルいけど、あってほしいかな」
「あるとかないとか、そういうことじゃなくてさ」
「夢を十回でも口に出して、吐き出して、そんな人の夢が叶ってほしい」
「お前らしいな。変わってない」
ルークが微笑む。というより鼻で笑った。
「なん笑っとんじゃゴレェイ」
「やめ、やめてね? それ」
「怖いから」
「……」
「無言の圧やめてね?」
「本気でやめてね?」
「……フッ」
「なんで笑うのさ!?」
「アンタも十分変わってないじゃん」
「なんだろう。とても負けた気がするんですが」
「ルークさーん!」
遠くから呼び声が聞こえる。反射的にルークが振り返る。
「そろそろトレーニング再開ですよー!」
呼びかけたのはルークよりも二周りほど背が低い銀髪の、総勢1702名中1702位、最下位アイファー・ジェヘドだった。
「あー、もう面会終わりか」
「んじゃ、そろそろ行ってくるわ」
そう。願っていた。皆が、ルークが。楼が。
平和に暮らして平和に終わる。その日常を。
──平和ボケほど惨いものはない。




