男女の友情はバイト先でしか成立しない
咲希とは焼肉を食うことになった。お気に入りの白いティーシャツを汚さないよう、彼女の食べ方はいつになく丁寧なものだった。生地がよさそうだった。
「久しぶりだね。」
「そうか?」
「そうだよ。この前会ったの冬だよ?」
そうだっただろうか。暖かくなってからも一度会ったような覚えがあるのだけど。服装を間違えてやたら汗をかいた記憶。
「あぁ、そうだったそうだった。汗びちょびちょだったね。じゃあ三か月ぶりくらいだ。それでも久しぶりだけどね。」
「どうしてた?」
「卒論よ。ただひたすらに。」咲希は歳も学年も僕の一個上だ。
「卒業できそうなの?」
「任せといてよ。」
「で、どうして三か月ぶりに私を誘ったわけ?縁切れたのかと思ってたよ。」
友達だからだろう。と言いたいところだったが、僕は隼人との会議の内容を伝えることにした。光の人間との関係を大事にしていくこと。
「なるほどね。それで私が抜擢されたわけ。つまりあなたの周りには光の人間が枯渇してるってことね。」
「まさに。」
「私のことも狙ってるってこと?」
「まぁ。」
「いや、彼氏いるから。」
「そっすよね。」
「紹介してあげようか。女の子。」
「ぜひ。」
「それにしても、その隼人とかいう友達、なかなか親身に面白い仮説を立ててくれたものだね。」
「あぁ。」
「私を光の人間?の側に入れてくれて嬉しいわ。」