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話の通じない相手を覗くとき、相手もまたこちらを話の通じない相手と思っている
壁の模様がパトカーに見えた。うんこを拭く隙にすぐに消えてしまった。
エスカレーターはずっと列が続いていて、なかなか地上へと出ることができなかった。デパ地下のドラッグストアには目当てのシャンプーは売っていなかった。パーマを当てたばかりの頭にはあれが個人的に合っているのだけれど。
着信。
「今からそっち行ってもいい?」隼人か。
「今家いない。立川いる。」
「おー、まじか。じゃあ待ってるね。」
…。
「立川で飲もうよ。」夜遅くなるのも、彼が僕の家に泊まり込むのも面倒だった。
「おー、そうする?じゃあそうしよ。」