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70.手と指があれば、何ができる?声を聞くとストレスたまるから、声を聞かなくて済むように、首を絞めようか。服の上から見て分からないなら、どうする?

加地さんは、声で誰が話しているか分かったようだ。


「あなたが?

私は、あなたの仕事ぶりを高く評価してきた。

あなたに任せたら大丈夫だって、あなたをあちこちに売り込んだのは、私。」


加地さんは、肉が見えるまぶたを閉じている。


可愛い女の子に、まぶたの上から、目玉を攻撃されたので、目を開けていて、目が狙われることを警戒したのか。


皮膚が弱くて、と言っていた女は、甲高い声で話しながら、加地さんの首を絞め出した。


「私がどうして、首を絞めているか、教えてほしい?加地さんの声を聞くだけで私のストレスゲージがマックスになるから。


加地さんの声を聞きたくないなら、加地さんの声が出ないようにすればいい。


簡単明瞭。」


「う、ぐえ。」

と加地さん。


加地さんの顔には、蚊はたからず、皮膚が弱くて、と言った女の顔には、複数の蚊が、入れ代わり立ち代わりやってくる。


皮膚が弱くて、と言った女は、加地さんの声帯を潰すつもりで、指に力をこめている。


「私は、虫関係と山関係の仕事を全て断ってきた。


加地さんからの仕事も、虫と山は受けないと断っているのよ、最初から。


加地さんは、聞いた話、持ち込まれた話を、自分で調べない。


加地さんが仕事をするには、お膳立てがいる。」


皮膚が弱くて、と言っている女は、加地さんの仕事を請け負ってきたのか。


「私はねえ、加地さんの仕事をお膳立てする下請けになった覚えはない。


私の仕事ぶりを評価した?


評価しているなら、値切らないで、報酬を上げたら?


加地さんの仕事に合わせられる人が、他にいないからという理由で、断ったことを受けたことにされた挙げ句、無理やりねじ込んできた仕事の報酬を値切ってくるって、何?」


皮膚が弱くて、と言った女は、加地さんの首を絞める手に力をこめた。


加地さんを絞殺するほどの力はないけど、加地さんに声を出させないためには、十分なのだろう。


「加地さんの仕事の話を加地さんとすると、私は呼んでないのに、加地さんのお知り合いが勝手に参加してきて、よってたかって、加地さんの負担を減らして、私の負担を増やしにくる。


今回なんて、完全に騙し討ちもいいところ。」


皮膚が弱くて、と言った女は、加地さんのまぶた以上に、顔も首も耳も手も血だらけになっている。


「首が、苦しい。首を絞めるなんて、酷い。」

と加地さんは、かすれた声で、抗議した。


「ねえ、加地さん、大丈夫って私も確認しようか。


心優しい加地さんは、いつも、私に、『無理していない?大丈夫?』と聞いてくれるよね。


今日は、加地さんが、『大丈夫』と返事しようよ。


いつもの私みたいに。


『大丈夫。』としか言わせてもらえない私みたいに。」


皮膚が弱くて、と言っていた女は、加地さんの首を絞めたまま、加地さんの額に頭突きした。


加地さんの額には、皮膚が弱くて、と言っていた女にたかっていた蚊が潰れ、潰れた蚊が吸っていた女の血がついている。


「こんなに近くに来ても、蚊が加地さんにはいかない。


絶対に何かを仕込んでいる。」


皮膚が弱くて、と言っていた女は、加地さんの首を絞めたまま、話している。


「加地さんのせいで、今日も、この有り様で。


私は一年くらい、外を歩けなくなった。


狙っていた加地さんの顔は先にやられたから。


私は加地さんの体にする。服の下なら、隠れるし、どれだけやっても見えないから平気。


人前に出たくなくなる体になって、二度と出てこなければ、私は安心して暮らせる。」


皮膚が弱くて、と言っていた女は、加地さんの首から手を離した。


加地さんは、首を解放されて、激しく咳き込んでいる。


「どこに隠している?」


皮膚が弱くて、と言っていた女は、加地さんのスーツのジャケットのポケットに手を突っ込んで、ポケット内をあさった。


「ない。」


「ひとのポケットに手を突っ込むほど、失礼だとは思わなかった。」


加地さんは、目を閉じたまま、ゼェゼェしながら、加地さんの服のポケットに突っ込んできた手の持ち主を批判した。


加地さんに批判されても、馬耳東風。


皮膚が弱くて、と言っていた女は、なんの収穫もつかめなかった手で、加地さんのシャツのボタンを外しだす。


「まさか脱がす気?止めて!私は何も隠してない!」


加地さんは、体をひねろうとして、さらに周りに抑え込まれ、二度目の悲鳴をあげた。


息を呑む音とつばを飲み込む複数の音。


「外から見えないなら、中から見るしかないわ。

中から探そうとして、脱げてしまうのは、仕方ない。」


皮膚が弱くて、と言っていた女は、蚊に刺されて腫れ上がっている指をさらにガリガリと掻いて腫れ上がらせ、指から血を流しながらも、加地さんのシャツのボタンを外しきった。


加地さんのシャツがパサっと開かれると、タンクトップが見えた。


「服は、普通。」


皮膚が弱くて、と言っていた女は、タンクトップをベロっとめくりあげる。


「めくらないで。裾をおろして、すぐに。」

と加地さんの怒声。


「加地さん、スプレーでもかけた?」

皮膚が弱くて、と言っていた女は、加地さんの怒声ごとき、意に介さない。


「かけてない。私は何も、虫対策はしていない。」

加地さんは、怒りながら否定する。


皮膚が弱くて、と言っていた女は、加地さんのタンクトップの首元から手を突っ込んで、覗き込むと、ゆさゆさと二つの膨らみを揺さぶった。


「止めて。手をどけて。触らないで!」

と加地さんが、唇を震わせながら抗議する。


周囲の視線は、ゆさゆさと揺さぶられる、二つの膨らみに集まった。


「何も出てこない。」


皮膚が弱くて、と言った女は、加地さんの頬に、自身の顔をぶつけて、蚊を殺した後。


「加地さんを脱がそう。」

と言った。

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