表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/473

57.所在地を突き止めた功労者には、一番最初に交渉する権利を約束しあっていた加地さん。所在地は、見つけたのか?見つけさせられたのか?誰かに。

俺は、デスゲーム運営が、加地さんと俺のお喋りを聞いて、どんな判断をするのか、を知るのが怖い。


ヘタを打てば、新人歓迎会の部屋を脱出することなく俺の人生は終わる。


俺は、加地さんの仲間にはならない、と運営に印象づけることにした。


「加地さんは、成功しているのに、世間には知られていない、秘密が多い会社を調べていた、というわけですが。


それが、どういう理由で、今、ここにいるんですか?」


デスゲーム運営にすれば、加地さんは嗅ぎ回っていたハイエナ。

もしくは、どこかの誰かの犬。

はたまた、情報を売り買いするのを生業にしている情報屋。


その加地さんが、加地さんの仲間とデスゲームの中に参加者として入っている。


新人歓迎会で、天井から鈍器を落とした理由。


デスゲーム運営は、新人歓迎会の参加者を生かすつもりが、ないのではないか。


初回からハードルが高い。


「私の他にも、秘密を調べている人がいました。

全員が行き着いた場所が、こちらです。

私は、この件の最大の功労者なんです。

一番最初に、こちらを見つけた者の特権として、一番最初に中に入る権利を得ました。」

と加地さんは、満足そうに語った。


見つけた?


本当に、見つけた、で合っているのか?


見つけさせられた、ではないのか?


「加地さんは権利を得たのは、誰からですか?

この会社から、ですか?

誰に何といわれたのですか?」


「会社の方はお一人も見当たらなかったから、ここで、会社の方にはお会いしていません。


誤って敷地内に入ってしまったので、お詫びしようとしたのですが。」

と申し訳無さそうに話す加地さん。


デスゲーム運営は、加地さん達が敷地内に侵入してきたから、デスゲームに案内した?


「加地さんは、ここに入ってくるまでに、手荷物を持っていますよね?


手荷物は、今、どうなっていますか?」


俺は、気絶させられて手荷物一式が手元にはない。


加地さんは、自ら乗り込んできた。


俺とは違い、気絶させられていない。


外部との連絡手段を持ったままではないのか?


「手荷物を持っていると中に入れないと分かりましたから、建物に入る前に、手荷物は置いてきました。」


「手荷物を持っていると入れないということは、どうやって分かりましたか?」


手荷物を持たずに入った人を目の前で見ていないと、加地さんの発現にはならない。


加地さんは、目の前の成功例を真似して、建物に入った。


成功例になった人は、この部屋の中にいるのだろう。


今はまだ、その人について、言及しない方がいい。


手引きをした誰かについては。


「どうやって分かったかについては、お答えいただかなくて、結構です。


手荷物を手放すくらいなら、一度、出て、また戻ることは考えなかったのですか?」


加地さんは、この建物がどこにあるかを知っている。


敷地内に侵入した、ということは、デスゲームの舞台であるビルを覆うコンクリートの屋根と壁の内側の情報を加地さんは持っている。


どちらの情報も、俺には手に入れるツテがない。


俺は、この建物を脱出してからの情報がほしい。


「今回は、私が功労者と認められ、私が一番最初に中に入ることができていますが、引き返してしまえば、私の優位性は失われてしまいます。


千載一遇のチャンスを逃すくらいなら、手持ちの荷物くらいたいした損害にはなりません。


勝手に操作できないようにしてあります。」

と加地さんは自信ありげに話している。


俺は、気になっていたことを確認する。


「加地さんを功労者と認めたのは、この会社の人ではないように聞こえましたが?」


「この会社について調べていた人達で、予め決めていました。

奪い合いをしてパイを少なくするような揉め事は、誰しも避けたいものです。


私達は、相談して、一番最初に所在地を探し当てた者には、一番最初に交渉する権利を、互いに認めることにしました。」

と話す加地さんは、事前の取り決めが功を奏しました、と顔をほころばせている。


まさか、加地さんは、知らないで入ってきたのか?


デスゲームの参加者になっている、と。


だから。


運営の指示に従わない。


風呂椅子を投げずに、座って話しているだけ。


運営の指示に従わない参加者が多いのは、デスゲームの自覚がない参加者だから?


風呂椅子の取り合いはしていた。


その後だ、投げ合いをしている人の数は半数以下だった。


この部屋で行われることを知っていた誰かが、情報を操作した?


スキップはしていた。


椅子を確保したら、後は何もしなくてもよい、という事前情報を聞かされていたら?


全くの他人から、ではなく、それなりに付き合いがあり、その人の発言には信憑性があるように思える根拠があったとしたら?


例えば、手荷物を持ち込まなければ、建物内に入れるという成功例を見せていたら、信用してしまわないだろうか?


加地さんにも周りにも、加地さんに逆らわないと思われている人物。


加地さんの側にいつもいるわけではない人物。


加地さんの周りにいながら、単独行動をしても、違和感を持たれない人物。


一人、思い当たるけど、俺は、そちらを見たくない。


思い当たった人物に意識を向けたくない。


加地さんの仲間には入っていないが、互いに存在を認識しあっていた。


加地さんの仲間から格下認定されてはいるが、加地さんの仲間との関係は険悪ではなかった。


目元が前髪で隠れているはずなのに、視線を感じる。

楽しんでいただけましたら、ブックマークや下の☆で応援してくださると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ