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46.一方通行でも、愛は人生を最高にする?デスゲーム内で成就しない愛の行き着く先。殺す理由がある?なければ作る?私怨にしておく?

オーちゃんが見守る中。


タツキの口は、くそったれ、このゴミクズが、と動いていた。


オーちゃんが、ナイフで内蔵をひっかくような動きをしているうちに、タツキは血を流しながら静かになっていった。


「タツキは、恥ずかしがり屋さんで、好きも愛しているも、一言も言ってくれなかった。」


オーちゃんは、やりきった顔で、タツキの横に横たわる。


「私は、愛していた。どんなタツキでも。愛して愛して愛し抜いた。私の人生としては最高でしょ。」

とオーちゃんは、笑った。


愛した人から、愛を返されることはなくても、愛し抜いたことを最高だと言うオーちゃん。


オーちゃんは、今日、死ぬ。



紅一点、オーちゃんは、人を殺せる人だった。


紅一点、オーちゃんは、デスゲームの運営が、参加者に紛れ込ませていた、運営側の人物。


運営の目的達成前に簡単に死んでしまうような人をデスゲームに参加させるか、ということを考えれば、合点がいく。


オーちゃん自身は戦えるけれど、戦いたくないというタツキ達に合わせて、戦ってこなかった。


お人好し、だけではなく、一方通行の愛があった。


タツキは、進展しそうな関係を匂わせはしなかった。


タツキは、死にたくないから、恩人のオーちゃんに、刃を向けた。


デスゲーム運営側のテニス経験者っぽい男、ツカサは、オーちゃん一人を槍玉に上げた。


テニス経験者っぽい男とツーカーに見える美人枠、メグたんが、いの一番に、オーちゃんにダメージを与えた。


二人の連携は、オーちゃんの戦闘能力の高さを懸念してのことだろう。


オーちゃんの戦闘力を強制的に低下させるのが、メグたんの目的だったのではないか。


理由としては、オーちゃんが無傷なら、体育館にいた参加者は、誰も敵わなかったから、とか。


テニス経験者っぽい男は、荒事よりも、経略に長けていて。


美人枠、メグたんは、現場を仕切る荒事班の長。


ラキちゃんは、運営側じゃない。


でも、ラキちゃんは、運営側の裏側を知って、参加者として戦っている。


体育館の床に寝転がるオーちゃんの元に、美人枠、メグたんが、女リーダーチームのメンバーと、ラキちゃんを引き連れて、現れた。


「あんた達、私を殺して何もかもを解決済みにするつもり?

許さない、許さない。」


オーちゃんは、美人枠、メグたんの顔を見つけて、文句を言うと、はあっと息を吐いて吸ってして、動かなくなった。


オーちゃんは、気力と体力の限界がきたんだ。


かすかに、オーちゃんの胸部は上下している。


「ラキちゃん、オウカにとどめを。」

と美人枠、メグたんは、ラキちゃんをオーちゃんの横へと呼んだ。


ラキちゃんは、ナイフの持ち方を変えた。


「ハコさんは、苦しんだ。

あなたが死んでも、ハコさんの苦しみはなかったことにはならない。


ただ、私がハコさんの終わり方を許せない。


これは、私の私怨。


だから、あなたは、私が納得のいく終わらせ方にしてあげる。」

とラキちゃん。


オーちゃんは、返事をする気もなければ、気力も体力もなさそうだ。


ラキちゃんは、身動きしなくなった横たわるオーちゃんへとナイフを振り下ろす。


俺は、ラキちゃんが、オーちゃんの胸にナイフを突き立てる瞬間、目を閉じてしまった。


俺には、オーちゃんの息の根を止める瞬間のラキちゃんの顔を見ることができなかった。


ラキちゃんが、本当はしたくなかったんだ、と思えてしまったから。


ラキちゃんは。


死ににきたと話していたラキちゃんは。


本当は死にたくなんてない。


誰かを殺したくもない。


でも、デスゲームの中で生き抜くには、人を殺せる人でなくてはならない。


だから。


ラキちゃんは、人を殺した。


オーちゃんにとどめをさした。


放って置いても、息絶えそうだったオーちゃんに、わざわざとどめをさしたのだ。


「まずは、一人。おめでとう、ラキちゃん。」

と美人枠、メグたんの声。


パチパチパチ。


ラキちゃんとふーくん以外の参加者が拍手している。


ふーくんは、ラキちゃんの近くにいない。


まだ、ラキちゃんに転がされた床にいる?


ふーくんがカメラに映った。


「ふーくんは、次回、頑張れ。

これから、これから。


やられ役で二回も見せ場を作るのは難しい。

次は、殺る方で見せ場を作るといいよ。」

とテニス経験者っぽい男、ツカサが、ふーくんにアドバイスしている。


テニス経験者っぽい男、ツカサに励まされたふーくんの顔は、涙と鼻水でぐしゃぐしゃになり、まぶたは腫れ上がっていた。


ふーくんの頬には、何発か殴られた跡があった。


「なんで、なんで、タツキが?」

とぶつぶつ呟くふーくん。


「ふーくん、うるさい。


感動の名場面を台無しにする気?


今すぐ口を閉じられないなら、ふーくんには、自分でナイフを飲み込ませる。」

とテニス経験者っぽい男、ツカサの警告。



俺は、ふーくんが、なんと返事したか、聞くことができなかった。


映像が、フッと消えた。


「ライブ配信は終了。

参加者は、五秒以内に退室し、デスゲームに参加してください。五、四。」

とカウントダウンが始まったからだ。


俺は、スマホを尻ポケットに入れて、デスゲームへと足を踏み出した。


今から、俺も参加者か。


俺は、生きて脱出する。


とりあえずは、誰かとつるまないようにする。


一人で隠れて様子を見ながら、デスゲームから脱出する方法を探しだす。

楽しんでいただけましたら、ブックマークや下の☆で応援してくださると嬉しいです。

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