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39.凶器を持っているときは、凶器の取り扱いに最新の注意を払うこと。まかり間違っても、手放してしまったら?

7月24日、複数話、投稿。

オーちゃんを一刺ししたのは、一番手、美人枠、メグたん、ただ一人。


二番手の、男リーダー、タツキが、オーちゃんの手から逃れて、無事に刺すのを待つのか?


時間が経てば、オーちゃんの体力が先に尽きるだろうけれど、それまで、オーちゃんとタツキはこのまま?


不自然ではない。


不自然ではないけれど。


一人一刺しは、いつすると決まっていなかった。


オーちゃんへの一人一刺しは、参加者が見せ場を作るチャンスだと、テニス経験者っぽい男は、言っていなかったか?


一人一刺しが、オーちゃんの逆襲にとって変わった?


オーちゃんの逆襲は、予定調和なのか、イレギュラーなのか。


予定調和なら、タツキには、やられ役という見せ場を用意したことになる。


オーちゃんの逆襲は、長引かなくても、オーちゃんに勝ち目がない。


喉奥までナイフを差し込まれたままのオーちゃんが、体を動かして、長く保つとは思えない。


オーちゃんの逆襲の勝者は、最初から男リーダー、タツキに決まっている。


俺が引っかかっている点は、一つ。


やられ役が逆転すると分かりきっているシナリオのやられ役を、シナリオ通りに演じたところで、デスゲームの見せ場になるか?


どうなんだ?


体育館の中は、動と静に二分されている。


動きがあるのは、オーちゃんと男リーダー、タツキ。


女リーダーチームは、リーダーを筆頭にメンバー全員が静かだ。


静かだけど、無関心なわけではない。


無関心ではないけれど。


紅一点、オーちゃんとタツキの修羅場を見ている周囲からは、どちらに対しても感情を移入した視線が一つもない。


女リーダーのチームメンバーは、女リーダーも含めて全員が、オーちゃんと男リーダー、タツキに冷めた目を向けている。


ソロ出演の槍玉に上がったのは、紅一点、オーちゃんだけ。


男リーダー、タツキの集団が、デスゲーム内の他の参加者から、どういった感情を向けられていたか。


露骨な嫌悪感は、互いに顕にしないまでも、好ましくないと思う空気感は共有されてきたのだろう。


思い返すと。


ドッジボールのチームメンバーを決めるときに、男リーダー、タツキが、自分の周りにいた仲間を指名するのは、予想通りで分かりやすかった。


男リーダーチームのメンバーは、男リーダー、タツキを中心に最初から結束していた。


女リーダーチームは、寄せ集めにしか見えなかった。


女リーダーは、男リーダーチームのメンバーを、自分から指名しようとはしなかった。


遠慮がある、とか、取り決めがあるとか、頼まれていた、とか、ではなく。


女リーダーは、男リーダー、タツキの仲間を取り込みたくなかった、のか。


ドッジボールという勝負に勝つための判断か。


感情的な判断か。


男リーダー、タツキの仲間と同じチームになると、足を引っ張る、勝負に負ける。


もしくは、地獄行きに巻き込まれる。


女リーダーは、賢明にも、戦略的に、男リーダー、タツキの仲間を指名しなかった?



オレが考えている間に、画面では動きがあった。


男リーダー、タツキは、両腕を振り回すのを止めた。


男リーダー、タツキは、オーちゃんの指が食い込む喉仏を救出しようと、ナイフを持っていない方の手で、オーちゃんの指を引き剥がそうとしている。


オーちゃんは、負けじと、自由になっている指に力を込めたのが分かった。


ギリギリと、喉を絞められて、男リーダー、タツキは、持っていたナイフを足元に落とし、片手でオーちゃんの指を、もう片方の手でオーちゃんの腕を掴んだ。


オーちゃんは、男リーダー、タツキが落としたナイフの軌道に目を向けた。


オーちゃんは、男リーダー、タツキが落としたナイフを、素早く靴で踏む。


男リーダー、タツキは、ナイフを落とした後、また拾えばいいか、ぐらいの考えだったのだろう。


ナイフを落としたとき、落としたナイフの心配をしなかった。


落としたナイフが、どうなるか、の心配を。


紅一点、オーちゃんは、男リーダー、タツキの性格をよみきっていた。


タツキが、ナイフを凶器として重視しない、ということを。


ナイフが、タツキの手から離れた瞬間に、オーちゃんは落下地点を確認して足を動かし、ナイフを確保した。


凶器を持って、誰かを襲おうとすれば、凶器を奪われて、誰かから襲われる可能性がイーブン。


紅一点、オーちゃんは、凶器を手に入れるという確率の勝負に勝った。


今のオーちゃんの体を押さえるのは、片手と肩の二人だけ。


オーちゃんは、オーちゃんの指を引き剥がそうとしているタツキの脛を、ナイフを踏んでいない方の足で蹴り、タツキの喉仏を掴んでいた手を激しく上下に動かした後、手を離した。


よろけて、たたらを踏んだタツキは、激しく咳き込んでいる。


紅一点、オーちゃんは、靴で踏んでいたナイフを蹴り上げて、自由になっている方の手にナイフを握る。


タツキが先程まで、オーちゃんに刃を向けていたナイフは、オーちゃんの手に渡った。

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