372.タケハヤプロジェクトと正義が勝たないデスゲームの運用が成功したのは?正義が勝たないデスゲームを運用するAIが俺の名前をインプット?
タケハヤプロジェクトには、タケハヤプロジェクトの参加者向けの倫理観。
正義が勝たないデスゲームでは、運用ルール。
どちらも、ルールを守って、あとは生き抜くだけ。
決まりに落とし穴はない。
正義が勝たないデスゲームのコメント入力をしていた俺が守るルールも分かりやすかった。
ただし。
参加者と違って、コメント入力を仕事にしていた俺には。
正義が勝たないデスゲーム運営であるAIにより、落とし穴が用意されていた。
正義が勝たないデスゲームを運用するAIは、正義が勝たないデスゲームを運用する計画を立てて、計画に必要な計算をし、便利な道具に必要なデバイスを探し出したり作り出したりして用意している。
正義が勝たないデスゲームのコメント専用スマホは、人の手を介して俺の手に渡っている。
人の手を介さない工程は、正義が勝たないデスゲームを運用するAIの働きによるものだ。
「正義が勝たないデスゲームを視聴するために、正義が勝たないデスゲームの視聴用アプリは、俺の生活の中に、二十四時間常時開いている状態だった。」
開いている情報のアプリの裏で、俺を丸裸にするくらいの情報を収集していた。
俺に気付かせずに。
「ショウタの仕事は、正義が勝たないデスゲームを視聴してコメントする仕事だったからね。」
とツカサ。
「俺が視聴するだけなら、二十四時間アプリを開いたままにしておく必要などあるか?」
「気付くのが今さらだよ。」
とケンゴ。
「俺が正義が勝たないデスゲーム視聴用に借りて使用していたスマホは、表で、正義が勝たないデスゲーム視聴用のアプリが稼働していた。
同時に、裏で、俺を監視するシステムが動いて、俺自身の情報が、逐一、正義が勝たないデスゲームを運用するAIへと流れていなかったか?」
「ない話だと思うのかい?」
とケンゴ。
「正義が勝たないデスゲームを運用するAIは、集まる情報から、俺に関する分析を行っていなかったか?
俺の行動や思考を読み解き、俺の行動と思考の先を見据えて計画を立てたのではないか?」
「佐竹ハヤトくんの作ったAIは、人知を超えていた。」
とケンゴ。
人知を超えたとは、凡夫のためにある言い訳の一つ。
凡夫は、理解できない事象について、人知を超えたと言って、考えることを放棄する。
俺は、佐竹ハヤトが何を意図したか、もう理解している。
佐竹ハヤトは、人間だ。
佐竹ハヤトが作り上げたものは、人知を超えた傑作なのではない。
俺の理解も、人知を超えたものではない。
それが分からない凡夫の言い訳は誰が喋ろうと聞き苦しい。
「警察関係でAIに詳しい人物が、正義が勝たないデスゲームの運営であるAIを触ろうとして、失敗したか?」
「開発者さえも触れない。
そういう結論に達したよ。」
とケンゴ。
手も足も出なかった、か。
人知を超えたと位置付けることで、壊そうとしなかったのは、マシか。
理解できないものの存在を壊したがるやつらもいる。
「佐竹ハヤトくんは、佐竹ハヤトくんが思い描いていた通りのものを作ったね。」
とツカサ。
「正義が勝たないデスゲームを運用するAIが、俺を分析し、シュミレートした結果。
正義が勝たないデスゲームを運用するAIは、俺を社会から排除するという決定した。
俺を排除する決定が出るのに、脈絡がなさ過ぎないか?」
正義が勝たないデスゲームを運用するAIについての理解はした。
正義が勝たないデスゲームを運用するAIが決定を下した元になる情報が何だったのか。
俺の知らない情報は、まだある。
「正義が勝たないデスゲームの運営であるAIを触れる人物がいるとしたら。
正義が勝たないデスゲームを作り上げた佐竹ハヤトくんと同じくらいに才能がある、佐竹ハヤトくんの無二の親友、金剛ショウタをおいていない。
金剛ショウタは、佐竹ハヤトの友達であり、佐竹ハヤトと並び称される才能があることを佐竹ハヤトが認めている。
正義が勝たないデスゲーム運営であるAIは、誰も触れられないはずの中身をいじれる人物として、金剛ショウタの名前をインプットした可能性はある。」
とケンゴ。
「誰が、そんな迂闊なことを。」
「迂闊だったかな?」
とツカサ。
「わざとか?」
「佐竹ハヤトくんの友達である金剛ショウタの名前を知っていて、会話で使っていた関係者は、少ない。」
とケンゴ。
「AIが学習すると考えていなかったからかもしれないわ。」
とメグたん。
考えていなかったという言い訳を最初から用意していた、か。
言い訳を追及しても、それ以上は出て来ないやつか。
「佐竹ハヤトの作り上げたAIが、佐竹ハヤト以外の理解を超えた出来だった。
佐竹ハヤトの偉業を理解していない、または、何をしているか分からない人達が、ペラペラ喋ったわけか。」
「正義が勝たないデスゲームを運用するAIは、自ら調査して、社会から誰を消すか決定し、決定を現実のものにするために、人を動かして、状況を整えたんだよ。
製作者の優秀さが窺える。」
とケンゴ。
「友達が褒められているのを聞く分は、気分がいい。」
「正義が勝たないデスゲームを運用するAIに、倫理観を情報として入れた場合。
AIが倫理観を発揮することはない。」
とメグたん。
試したか?
「正義が勝たないデスゲームを運用するAIは、タケハヤプロジェクトを離脱した学生とその家族を使い、正義が勝たないデスゲームに参加させた俺を誘拐した。
AIは、倫理観には左右されない。
学習した倫理観を使い所で間違いなく使うだけだ。」
「倫理観が定かでない、正義が勝たないデスゲームという場所でも、ショウタは生き延びられたね。」
とツカサ。
「正義が勝たないデスゲームの外で、佐竹ハヤトの友達として、俺を監視していた公安は、正義が勝たないデスゲームを運用するAIが俺を殺すことを黙認しなかった。
公安は、俺を死なせずに、生きて正義が勝たないデスゲームを脱出させると決めて、行動に移した。」
「どうかしたのかい?」
とケンゴ。
「公安は、俺を生かした。
俺を生かすことは、無辜の命を失わせないという正義からではない。
公安は、生かした俺にさせたいことがある。
違うか?」
「新人くんは、穿ったものの見方をし過ぎだよ。」
とケンゴ。
「そうか?」
「ショウタは、正義が勝たないデスゲームを運用するAIの決定通りに死なせるより、生きて社会に戻ることを、ショウタを知る人から望まれたんだからね。」
とツカサ。
俺は、社会に戻ることを望まれて、正義が勝たないデスゲームを脱出する算段をたてられていた。
タケハヤプロジェクトの参加者であるツカサは、社会に戻ることを望まれていない。
タケハヤプロジェクトの参加者として正義が勝たないデスゲームに参加し、人を殺してきたツカサの口から聞くいても、返す言葉がない。
『ショウタが社会に戻ることを望む人がいた。』
というフレーズの持つ意味は、そこはかとなく重い。
タケハヤプロジェクトの参加者であるツカサの口から出た言葉だけに。
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