37.血肉が刃に絡まると、切れ味が落ちる。『肉が刃に絡んで引き抜きにくいから、刺したままにしておくわ。次の人、どうぞ。後がつかえているわ。』
美人枠、メグたんが、紅一点、オーちゃんの開いた口にナイフは、口から喉の奥へと押し込まれていくとき、紅一点、オーちゃんの口の端を裂いた。
切ったんじゃなく、裂いた。
サバイバルナイフだからか?
引き攣れるように引っ張られた皮膚が裂けた。
ビリっと。
皮膚が裂けて、血肉が見えて、血が溢れた。
美人枠、メグたんは、手に持っているナイフを、紅一点、オーちゃんの喉に押し込んだ後、グリグリとナイフを揺らしている。
オーちゃんは、喉奥までナイフを押し込まれ、喉を塞がれて、かすかに空気が漏れるような音を出し、目から涙と鼻からは鼻水を出している。
紅一点、オーちゃんを押さえ込んでいた男リーダーチームのメンバー達の手元は、震えている。
チームメンバーの顔は、全員強張っていた。
口が半開きになってよだれがこぼれているのに気づかないメンバーもいる。
目の前の光景が、衝撃的過ぎて、口を閉じ忘れているんだろう。
紅一点、オーちゃんは、ナイフが喉奥に突き刺さる前までは、チームメンバーに押さえ込まれた状態から抜け出そうともがいていた。
今のオーちゃんは、痛みから逃れようとして、痛みの原因のナイフを握る美人枠、メグたんの手をどけようと、手を動かしている。
オーちゃんの手を押えていたうちの一人が、手を離して地面に屈んでいる。
えずいているようだ。
「押さえる力を緩めていいとは言っていないわよ。
デスゲームに使えないままの自分でいたいなら、与えられたチャンスを活かさなくてもいいわ。
最後まで、そうしていたら?」
と美人枠、メグたんからの、紅一点、オーちゃんを押さえる手を離したチームメンバーに対する戦力外通告が。
えずいているチームメンバー以外は、紅一点、オーちゃんを掴む手に力が戻っている。
最初よりも、力が入って、指が食い込んでいる場所がある。
えずいているチームメンバーが押えていた手と反対側の手を押えているチームメンバーは、青ざめながら、両手で、オーちゃんの腕を握りしめていた。
えずいているチームメンバーは、まだ立ち上がれないようだ。
立ち上がろうとして、ふらふらと足元が定まらない。
「今は、今だけは、待ってもらえないか?」
と男リーダー、タツキが、美人枠、メグたんにお願いしている。
「チャンスは既に与えられているわ。
デスゲームに待つなんて、ないのよ。
デスゲームに参加しておきながら、この有り様。
今が無理なら、この先は、ないわね。」
と美人枠、メグたん。
「立たなかったら、どうなる?」
と男リーダー、タツキ。
「見せ場を作るチャンスに、立てないからできませんと言って、あの人が見せ場を作らなくても、私は構わない。
私の命とは違うから。
見せ場がない結果、どうなるかは、言うまでもないわね?」
と美人枠、メグたん。
男リーダー、タツキは、えずいているチームメンバーに、立てるか?と声をかけている。
「オウカは、まだ抵抗する力があるみたいだから、私はもう一踏ん張りしておくわ。」
と美人枠、メグたんは、紅一点、オーちゃんの喉奥に刺さっているナイフを引き抜こうとしている。
紅一点、オーちゃんは、刺されるときより、引き抜かれるとき、声が出ない代わりに、血を出しながら、痛みから逃れようと暴れた。
美人枠、メグたんが、引き抜いてきている刃先には、新鮮な血と粘液と肉片が絡まっている。
オーちゃんの喉の肉片!
えずきながらも、ようやく立ち上がったチームメンバーは、ナイフに絡む肉片と血と粘液の三重奏に耐えられず、白目をむいて、昏倒した。
「粘りがあって、狭くて、引っかかるから、ナイフを抜くときの方が、力がいるわね。
ナイフを勢いよく抜くのは危ないから、刺したままにしておくわ。
私だけ、一刺し半ね。」
と美人枠、メグたんは言うと。
抜きかけたナイフを、再び、紅一点、オーちゃんの喉奥へ押し込んだ。
オーちゃんは、口から血を流し、痛みに苦しんでいるけれど、意識を失ってはいない。
オーちゃんは、痛みから逃れようと、自由になった手で、ナイフを抜こうとして、抜けずにいる。
美人枠、メグたんは、男リーダータツキの背中を押した。
「次は、リーダーの番ね。手を押さえる人数は、一人欠けても、オウカを押さえている人がいるから、刺しにくいことはないわよ。
リーダーは、早くオウカを刺して、次の人に回して。
オウカが生きている内に、刺し終わらないとね。」
と美人枠、メグたん。
美人枠、メグたんは、人殺しとは、どういうものか、を目の前でレクチャーしているのかもしれない。
楽しんでいただけましたら、ブックマークや下の☆で応援してくださると嬉しいです。