369.支援団体は内通者をどう使うか。警察が、ハコさんに警察内部にいる内通者と接触する役割を与えようとした理由は?
「内通者を内通者として、内通者の所属している組織へ告発し、処分させるまでが支援団体の様式美。」
とメグたん。
「内通者の所属する警察組織に恩が売れる。
内通者が死ねば、死人に口なし。
支援団体は、内通者を使った証拠を内通者ごと葬れる。」
とケンゴ。
「警察とは別の組織に内通者自身の情報を売って、内通者だけを破滅させる方法もあるわ。」
とメグたん。
「警察に内通者を作った支援団体は、警察組織に内通者を欲する別の組織の需要と供給にも関係している。」
とケンゴ。
「この国と国民を使い潰すことにためらわない支援団体は、内通者が死ぬまで使い回すことも厭わないということか。」
支援団体の標的となり、逃げ延びられなかった末路は、人としての尊厳を失うような生き方を強いられた上に、使われて疲れ果ててからの死。
ツカサの言っていた、死が救いになる、は。
生きている間の救済はない、という現状があるからか。
「支援団体の内通者になったら、支援団体の内通者として終わるか、別の組織の内通者になるか。
告発されて、警察をクビになり、内通者よりも悪い下っ端に成り下がるか。
支援団体に目をつけられた段階で逃げられなかったら、底無し沼へ引きずり込まれるんだよね。」
とツカサ。
「支援団体が警察内部に作った内通者を横流ししているのは、古い内通者を用済みにしても新しい内通者の補充がすぐに可能だからか?」
「内通者は、一つの団体に一人だけ、とは限らない。」
とメグたん。
「組織の中に内通者を複数作るのは、内通者から提供される情報の照合と、用済みになった内通者を使い捨てにするためか。」
「一人いれば二人。二人いれば、三人。
取得する情報の種類を増やすことだけが、内通者を増やす目的ではない。
内通者を増やすことで、警察組織を内側から停滞させられる。」
とメグたん。
刑事のメグたんと公安のケンゴは、どちらも、警察内部に支援団体の内通者が複数いるという確信と、そのことへの危機感を持っている。
ハコさんの迎えた結末の理由を突き止めるまで、あと少し。
ハコさんが、正義が勝たないデスゲームを脱出する前に面談した、ケンゴ、ラキちゃん、ツカサ。
ハコさんを脱出させるか否かについての意見は、カガネも出しているか。
「内通者探しの役を担う白羽の矢が、ハコさんに立ったのは。
警察が役割りを与えなかった場合。
支援団体の内通者に転ぶ可能性が高いと見なされたからか。」
「支援団体に取り込まれる前に、ハコ自身に自覚させようとはしたんだよ。」
とケンゴ。
「刑事としての能力が低くないハコは、私の捜査を始めた時点で、支援団体の内通者にしたいリストに名前があがっていた。」
とメグたん。
「メグがすんなり逮捕まで至ったのは、警察内部にいる支援団体の内通者が、支援団体に気を利かせたからだよ。」
とケンゴ。
「警察には、メグたんに協力的な人達と、ハコに協力的な人達がいた。
メグに協力的な人達は、支援団体の影響力を取り除こうとした。
ハコに協力的な人達は、支援団体のために気を利かせた。」
とツカサ。
「支援団体が手を伸ばす前に。
ハコさんは、支援団体には手が出せない場所である、正義が勝たないデスゲーム内へ隔離。
正義が勝たないデスゲーム内で、ハコさんの再教育を図ったが、再教育の成果は出なかった。」
「警察は、再教育の成果が認められない限り、正義が勝たないデスゲームからハコを出さないと決めていた。」
とメグたん。
「正義が勝たないデスゲームでの自身の待遇に不満を募らせ、正義が勝たないデスゲームの脱出がかかった自身の決断を悔やんだハコは、刑事として望ましくない自暴自棄な振る舞いを始めたんだよ。」
とケンゴ。
「警察は、刑事としての守秘義務を守れないハコさんを正義が勝たないデスゲームに置いておくことができない、と判断したか。」
「ハコは、刑事として知り得た情報を喋ることで、正義が勝たないデスゲームを脱出しようとしていたわ。」
とメグたん。
「暴露系を気取りたかったのかもね。」
とツカサ。
「知っていることを喋ったら、脱出は不可能になる。
ハコさんは、そんな風に考えなかった、ということか。」
「刑事として知り得た秘密を暴露することで、正義が勝たないデスゲーム内で注目を浴びれば。
正義の味方が現れ、正義が勝たないデスゲームからハコを助け出す、というようなことをハコは思いついた。」
とメグたん。
守秘義務違反系のユーチューバーは、生き残れているか?
「ハコは、警察内部にいる内通者の調査をしたくない理由に、同僚を疑うことへの嫌悪をあげた。」
とケンゴ。
「同僚を疑うことへの嫌悪?
メグたんを調査して逮捕したハコさんの動機になり得るか?」
「ハコの才能は、感情に左右される。
このことは、メグの件で判明している。
刑事としての辞令を拒否する理由は、ハコの変わらない気質からくる拒否感。
ハコが辞令通りに仕事を進めることへの期待値は、この時点でゼロになった。」
とケンゴ。
「辞令通りの業務がハコさんには困難だと事前に判明していたのから。
ハコさんから辞令を蹴るような展開に持っていっていないか?」
ハコさんに内通者を調べる業務の適正がないと判明した時期が、ハコさんの正義が勝たないデスゲームの脱出を左右する面談よりも前ならば。
ハコさんが辞令を受けたがらなくなるような質問をあえて選んで投げたのではないか、という疑惑をケンゴに突き付けてみる。
「正義が勝たないデスゲームの脱出目前の面談において、辞令を感情で拒否したときのハコには、どんな働きかけもしていなかったよ。
あるがままのハコの変化を見ることを最優先にしたからね。」
とケンゴ。
「私への捜査を黙って進めて、誰にも相談せずに表に出し、自分の成果としたハコの本質は、正義が勝たないデスゲームを経験しても、変わらなかったわ。」
とメグたん。
「最初から最後まで、ハコの自分の感情に正直なところは変化しなかった。
ハコは、自身の感情を粘り強さの原動力に変えていたよ。
この二つが意味することが何か、新人くんは分かるかい?」
とケンゴ。
「ハコさんの感情は、経験に左右されず、思考に左右される。
ハコさんの思考は、ハコさん自身以外の干渉を許さない、か。」
ハコさんが自分の才能を発揮するのに必要な動機付けは、ハコさん自身にしかできない。
ハコさんの強さの原動力が、ハコさんの生きる道を塞いだことになる。
ハコさんの気質は、警察組織が管理するようには生きられない。
ハコさんは、気質を矯正すると、刑事としての才能を発揮するための原動力が永久に失われる恐れがある。
才能があっても、組織の管理下からどうしても外れてしまうような者を組織に戻せるか?
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