362.警察と支援団体。警察の中にいる支援団体の内通者。内通者が内通者をしているうちは?警察をハリボテ組織にしないために。
2025年6月27日から毎日投稿
タケハヤプロジェクトの参加者で公安所属のケンゴ。
タケハヤプロジェクトの参加者で刑事のメグたん。
正義が勝たないデスゲームの参加者で公安のカガネ。
ケンゴ、メグたん、カガネの立場は、三者三様。
三人はそれぞれ、独立した立ち位置でハコさんを観察し合否についての意見を出していたのではないか?
正義が勝たないデスゲームの脱出における面談において。
面談相手に、俺を脱出させるかどうかの判定者は、お前達で、お前達が基準を作っている。
こんなことを言い出すほど、俺は浅慮ではない。
ケンゴ、メグたん、ツカサが判定者だという推測を考慮しながらも、踏み込み所を誤らないのが重要だ。
「警察内部に潜む支援団体の内通者を見つけ出し、証拠集めをして、処分する準備を整えたとしても。
警察内部に潜む支援団体の内通者を突き止めて、処分するだけでは、第二、第三の内通者の発生を防げない。」
とケンゴ。
本職のケンゴが言うからには、ない話ではないのだろうとは思う。
ケンゴの話している内容については、俺では裏付けのとりようがない。
タケハヤプロジェクトの開発に関わる関係者が行き着いた先を知った今。
疑う気持ちはないが、鵜呑みにすることもしない。
「内通者が一人でも作れたなら、それは内通者作りがかなう組織だという証左。」
とメグたん。
やけに実感がこもっている、と俺は思った。
メグたんは、捜査の過程で、内通者を作る側だったのではないか。
情報提供者という名義の内通者を。
華やかで目立つメグたんは、人を惹きつける。
メグたんに近付きたいと内通者になった情報提供者がいたとしても、俺は驚かない。
「内通者の存在は、組織に隙があることの証明になる、か。」
「内通者が増えれば、組織の切り崩しが容易になる。」
とメグたん。
「所属する組織がなくなれば、内通者は、無職になり、稼ぎがなくる。
内通者は、組織がなくなるようなことはしないのではないか?」
内通者ほど、組織の切り崩しを拒否するのではないか?
「組織そのものを無くすと敵が増える。
元の組織の弱体化を図り、乗っ取ることを主眼におく方が平和的に解決できる。
内通者を足掛かりに、構成員を入れ替えていくんだよ。」
とケンゴ。
俺は合点がいった。
「タケハヤプロジェクトの関係者は、そうやって入れ替えられていったのか。
だから、佐竹ハヤトは孤立したのか。」
ケンゴも、メグたんも、ツカサも何も言わない。
三人の沈黙は、否定ではなく肯定だ。
「警察に勤務する人を支援団体の人に入れ替えていけば、警察は支援団体のための合法的な公的機関になる。」
「そうは、させないわ。」
とメグたん。
「警察に支援団体はいらないよ。」
とケンゴ。
ケンゴとメグたんの中に共通するのは、警察組織の中の一人として、この国の警察をハリボテ組織にはさせないという強い意志。
「佐竹ハヤトが、タケハヤプロジェクトを始める前に、ケンゴやメグたんと出会えていたなら。
佐竹ハヤトは、今も生きていたのではないか?
タケハヤプロジェクトが始まる前に、乗っ取り対策が完全であれば、誰も死ななかったのではないか?」
「タケハヤプロジェクトの件は、支援団体に対する警察内部の危機意識を高めた。」
とケンゴ。
「それまでは、なあなあになっていたのか。」
「タケハヤプロジェクトの進行により、警察が思うように動けなくなるほど、支援団体に入り込まれていたことが発覚した。」
とケンゴ。
「メグたんが、単独で、支援団体の関係者を殺して回るようになったのは。
警察が組織として、支援団体の摘発に動こうと内側から邪魔が入って阻止されたからか?」
「メグの手にかかった支援団体の関係者は、警察が捕まえたとしても、苦しまずにのうのうと生きていけたよ。」
とケンゴ。
「逮捕までいくことは、まずなかったわね。
支援団体の捜査しようとすると、ストップをかけてきたから。」
とメグたん。
ハコさんを矢面に立たせて、内部調査をしようと警察が考えた理由は、支援団体の捜査をしようとすると、支援団体が内通者を通じてストップをかけてくるようになったから、ということか。
「支援団体の内通者になった後、内通者である役目を終えれば、内通者は彼岸に渡らされるのか?」
元の組織に所属しながら、内通先に情報を流すのが、内通者。
支援団体が警察を乗っ取る経緯を警察の中で見ている内通者を生かすことは、支援団体の弱味になりかねない。
支援団体のやり口からして、役目を終えた内通者に謝礼を渡すことはない。
「内通者に利用価値があるうちは生かされる。
内通者が内通者をしているうちは、ということだよ。」
とケンゴ。
「内通者が自身の将来の危うさに気付けば、情報の出し惜しみをするようにならないか?」
「内通者が内通者であることに、利があると考えている間は、気前の良い情報提供者。」
とメグたん。
「内通者の利は、支援団体から利便を図られることや、金品か?」
「内通者になることで、死ななくて済むなどの命の保証だよ。
命の危機の回避は、最大の利になる。」
とケンゴ。
内通者で居続けなくては、殺されるという恐怖から内通者を続けさせ。
支援団体が警察を乗っ取ったら、速やかに内通者という存在の証拠は隠滅。
警察に対する支援団体の内通者問題で、ケンゴとメグたんが危機感を共有しているのは、現在進行形で起きていることを経験してきたから。
命の保証が、支援団体の内通者になることの利点であることは、北白川サナの例から理解できる。
北白川サナを迫害したのは、支援団体だ。
同時に、支援団体は、支援団体に引き込むことで、北白川サナに北白川サナを含む家族の安全を約束している。
内通者の捜査にあたるのに、他の刑事ではなく、警察はハコさんを選んだ。
ハコさんの刑事としての才能を評価していたからこそ。
警察は、メグたんを逮捕したことで反感を買っていたハコさんの再評価を狙って、ハコさんに内部捜査の辞令を出した。
ハコさんに白羽の矢が立った理由は、それだけか?
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