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354.内通者を内通者たらしめるには?ドッジボール、新人歓迎会、アスレチック、サバイバルゲームを組んだ目的は?

「正義が勝たないデスゲーム内に参加しているカガネが公安の一人であることを伏せておくため。」


「それを伏せておく理由は何だい?」

とケンゴ。


「二重スパイをしていたカガネの果たしていた役割と、カガネが接触していた面子の面が支援団体に割れることは、公安にとって望ましいことか?」


「正義が勝たないデスゲームに参加しているカガネには、支援団体も手出しができない。


カガネの安全は保証されているのに、カガネが公安であることを隠し続ける意味はあるかい?」

とケンゴ。


「カガネが二重スパイとして接触していた支援団体、支援団体の協力者、公務員の情報を支援団体につかませないため。


二重スパイであるカガネが誰から情報を集めていたかが支援団体に伝われば。


カガネがどんな情報を抜き取って公安に流していたかが支援団体に分かる。」


「カガネが接触していた人員。

カガネの抜き取った情報。


二つの保護が理由かい?」

とケンゴ。


「カガネが正義が勝たないデスゲームに参加することによって、公安と内通者との縁は、切れたか?」


「さて、どうだっただろう。」

とケンゴ。


表情も声も態度も変わらないケンゴ。


公安と内通者の繋がりの存続をケンゴが肯定しようが否定しようが、俺の話すことは変わらない。


「カガネが正義が勝たないデスゲームに参加したなら。


正義が勝たないデスゲームの外では、カガネの代わりになる人物が、カガネの役割を引き継いでいるのではないか?」


「人間関係に淡白な新人くんにも、誰かの抜けた後も人間関係が続くという発想があったんだね。」

とケンゴ。


「戦略的に必要な関係を維持しない理由があるか?」


「戦略的な人間関係の構築は否定しないが、新人くんは、公安を誤解しているよ。


人間関係を築けるかどうかは、人となりにかかっている。」

とケンゴ。


「内通者と人間関係を築いたのはカガネだ。


公安は、内通者が安心して内通者でいられるように、取り計ったのではないか?」


「新人くんは、カガネの人となりを高く評価しているようだね。」

とケンゴ。


俺は、コメントしなかった。


俺が知る、正義が勝たないデスゲームの中のカガネは。


正義が勝たないデスゲームの中で、キノを頼らせ、メグたんやツカサに一目置かれ、北白川サナに敬遠されながらも存在を認められている。


カガネの俺に対する言動を含めて、カガネを低く評価する理由が俺にはない。


だが。


俺がカガネを高く評価しているということを、カガネと同じ公安のケンゴに伝えることはしない。


「支援団体との決着がついていない以上、内通者が内通者でいることを止めさせないために、必要なのは、カガネを死なせないこと。


正義が勝たないデスゲームに参加しているカガネは、生きて正義が勝たないデスゲームの外に脱出する必要があった。」


「正義が勝たないデスゲーム内で、ラキが刑事として耳目を集めている隙に、カガネが死体として脱出というのが、新人くんの描いた図かい?」

とケンゴ。


「ドッジボール、新人歓迎会、アスレチック、サバイバルゲーム。


この四つの正義が勝たないデスゲームは。


正義が勝たないデスゲームからカガネを生きて脱出させるという目的で組まれたのではないか?」


「カガネが怪しまれる前に正義が勝たないデスゲームを脱出することを最終目標に。


明らかに刑事だと分かるようにした状態のラキを正義が勝たないデスゲームに滞在させた、と新人くんは考えたのかい?」

とケンゴ。


俺の推測を転がすだけで断定しないケンゴ。


「ラキちゃんの正義が勝たないデスゲーム参加時期。


北白川サナの正義が勝たないデスゲームへの参加時期。


タケハヤプロジェクトの参加者の元刑事メグたんが、ラキちゃんの誘導に一役買ったこと。


カガネとキノが、顔から首にかけて同じ箇所に火傷を負い、カガネ役の死体の役をキノの死体が一体二役できる状況にカガネが持ち込んでいたこと。


条件は揃っている。」


ケンゴと話しながら、俺はラキちゃんのことを思った。


ケンゴが俺の推測を肯定しないで曖昧にしていても。


俺は、俺の推測を話すことを躊躇しない。


ラキちゃんは、どうだったか?


「条件が揃っているのは、結果的にだよ、新人くん。」

とケンゴ。


結果だけを見て結論を急ぐなという諭しは、結果を出すように練られて遂行された計画を誤魔化すために使える、と考えるのは、うがちすぎか?


「ラキちゃんは、正義が勝たないデスゲームに参加した刑事。


メグたんは、タケハヤプロジェクトに参加している元刑事。」


「今さら、ラキとメグの所属の確認かい?」

とケンゴ。


ラキちゃんと会うときに入れていたという、青いカラコンの入った目を細めるケンゴ。


「ラキちゃんが正義が勝たないデスゲームに参加すること自体が、警察の目的だったとするなら。


正義が勝たないデスゲームの待機期間中のラキちゃんが、ケンゴとどう過ごしたかについての説明がつく。」


「新人くんは、ラキと俺の何を説明したい?」

とケンゴ。


「ケンゴがラキちゃんをあんな風にした理由だ。」


「あんな風に、とは抽象的すぎないかい?」

とケンゴ。


「正義が勝たないデスゲームには、警察が噛んでいる。


正義が勝たないデスゲームの参加待機期間中に、刑事であることを投げ出すような人間を警察が選んで参加させるか?」


ケンゴは、俺の話が切り替わっても、面白い話を聞けることを喜んでいるように見えた。


「俺がラキをコントロールしていた。


そう、新人くんは思うのかい?」

とケンゴ。

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