34.男リーダー、タツキと、紅一点、オーちゃんことオウカは、一発退場のワンツーフィニッシュを決めている。その理由を自覚させられたタツキは?
テニス経験者っぽい男とラキちゃんが話をしているところに、もう一人、加わった。
ふーくんではない。
ふーくんは、ラキちゃんに転がされた場所で、床に転がっている。
「私も、ラキちゃんと一緒にいいかしら?」
話に加わったのは、彼女と一緒に外野にいた美人枠。
「やる気出した?」
とテニス経験者っぽい男が美人枠に聞いている。
「さあ?」
美人枠も、テニス経験者っぽい男には、素っ気ない。
「ラキちゃん、一緒でいい?」
美人枠は、ラキちゃんに聞いている。
「メグは、無理していない?」
とラキちゃん。
美人枠は、メグと言うんだ。
ラキちゃんと美人枠との会話は、和やかに始まった。
ラキちゃんが、素っ気ないのは、テニス経験者っぽい男にだけか?
「ラキちゃんは、メグたんには優しい。俺には優しくないのに。」
とテニス経験者っぽい男が茶々を入れる。
メグたん?
俺も、美人枠をメグたん、と呼ぼう。
「無理はしていないわよ。私も気になっていた。ハコの最期は。」
と美人枠、メグたん。
「ナイフが行き渡った参加者は、オーちゃんに、一刺ししていけ。
切るんじゃなくて、突き刺せよ。」
とテニス経験者っぽい男の指示が、体育館内に響き渡る。
「余計なことを言わないで。
あんた達、私のお陰で、今まで、楽に生き延びることができたくせに。
一人に唆されたくらいで、私を殺しにこないで。
ここは、私に感謝して、一丸となって私を庇いにくるところでしょ?」
と紅一点、オーちゃんが、ドッジボールのチームメンバーに訴えかけている。
一人くらい、やっぱり殺せない、と言うチームメンバーが出たりするか、と思ったけど、一人も出なかった。
空気感のせいか?
チームメンバーは、全員が、自分一人だけ突出しないように、周りをうかがっている。
紅一点、オーちゃんに対する後ろ暗い気持ちと、そうは言っても死にたくない、という相反する気持ちがせめぎ合って、横並びを意識しているのか。
ラキちゃんとメグたんは、誘い合って、サバイバルナイフを拾いにいく。
ラキちゃんとメグたんは、デスゲームの中にいる前からの仲良し?
ラキちゃんとメグたんは、仲良く並んで歩きながら、サバイバルナイフの刃を出した。
テニス経験者っぽい男は、ふーくんの元へ。
ふーくんに用かと思ったら、ふーくんの近くにいる男リーダー、タツキに声をかけた。
「見せ場を追加したんだから、早く参加しないと、オーちゃんの次のソロ出演が決まるよ。」
とテニス経験者っぽい男。
テニス経験者っぽい男が、男リーダー、タツキに声をかけたのは、忠告のためだった。
「俺の見せ場は、もうあるだろ。
俺が加わったら、他のメンバーの見せ場がなくならないか?」
男リーダー、タツキは、余裕の表情で、テニス経験者っぽい男に聞き返した。
「鼻血ごときの延命に、何を期待しているんだか。
ラキちゃんの見せ場のおこぼれで、一日保つと思っているなら、リーダーは、オーちゃんと仲良く退場しよっか?
お似合いの最期?」
とテニス経験者っぽい男は、笑った。
「誰が!」
と男リーダー、タツキは唸った。
「ラキちゃんとメグたんが、仲良くとどめをさしに行くまでに、リーダーからオーちゃんへの一刺しが済んでいなかったら、リーダーは終わり。
終わるのが嫌なら、オーちゃんを刺してこい。」
とテニス経験者っぽい男。
「なんでだ?
オウカは絶対に安全じゃなかったのか?」
と男リーダー、タツキは、納得がいかないらしく、テニス経験者っぽい男に聞き返している。
「オーちゃんとリーダーにアウト判定が出た理由は、リーダーがよく分かっているくせにー。」
とテニス経験者っぽい男はおちゃらけた。
「は?どれだっていうんだ?」
と男リーダー、タツキ。
「リーダーが自分で、今、白状したよ?
オウカは絶対に安全だって。
オウカが絶対安全だから、オウカといたって、自白しているよ。」
とテニス経験者っぽい男。
「白状?自白?したか、そんなもの。」
とテニス経験者っぽい男は怪訝そう。
「企業秘密を漏洩したオウカ。
漏洩された情報を利用しているリーダー。
どっちも、退場の優先順位、ワンツーフィニッシュを決めている。
オウカの次は、リーダーだよ。
今すぐ挽回しないなら、オウカと一緒に、仲良く退場。」
とテニス経験者っぽい男。
テニス経験者っぽい男の警告を聞いていた男リーダー、タツキは、弾かれたように立ち上がると、ナイフを拾いあげた。
「デスゲームの参加者なのに、デスゲームに参加する意思がないと見做されたら、退場するしかないよ、リーダー。」
とテニス経験者っぽい男が、男リーダー、タツキを背中から後押しする。
男リーダー、タツキは、持ち慣れないナイフを不安定に持ちながら、紅一点、オーちゃん向かって歩き出した。
テニス経験者っぽい男は、ふーくんに、ニコッと笑いかけた。
ビクッと肩をびくつかせるふーくん。
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