327.傲慢が服を着て才能を鼻にかけた子どもと言ってくるやつらとの関わりを断った俺の現在地。正義が勝たないデスゲームで脱出を企てている俺。
サバイバルゲームを脱出する方法を俺は考えた。
正義が勝たないデスゲームの運営であるAIに宣言しておく。
「俺は、正義が勝たないデスゲームを五体満足で脱出したら、正義が勝たないデスゲームにもタケハヤプロジェクトにも干渉しない。
正義が勝たないデスゲームのやり方は理解した。
俺が正義が勝たないデスゲームの参加者でいるうちは、もう、いつでも運営の出した結論をひっくり返せる。
正義が勝たないデスゲームの運営をし続けるなら、正義が勝たないデスゲームを脱出後に俺と悪くない話しをするか?」
正義が勝たないデスゲーム運営であるAIからは、反応がないがそれでいい。
俺は、頑張りを評価しろなどとは言わない。
俺は、結果を出す。
俺の結果を見て震えて、従えさせるまで。
肉体を持たないAIは、震える代わりに、俺について知ろうとする。
正義が勝たないデスゲームの運営であるAIは、AIが調べられない、俺しか知らない俺の情報があるなら、それを取得しようとする。
正義が勝たないデスゲーム運営のAIは、アスレチックのデスゲームで一方的な要求を突きつけた参加者に鉄槌を下している。
アスレチックのデスゲームで一方的な要求をした参加者は、タケハヤプロジェクトに参加していた学生で、支援団体の一員として、佐竹ハヤトを追い詰め、死に至らしめた張本人。
俺と、鉄槌を下された参加者とで重なる履歴はない。
ただ。
一つだけ。
俺とやつには共通点がある。
正義が勝たないデスゲームに参加しているということ。
正義が勝たないデスゲーム運営であるAIが、殺そうとしている対象であるということ。
正義が勝たないデスゲームの運営であるAIに殺されてやらないために、俺がすること。
正義が勝たないデスゲームの運営であるAIは、人間ではない。
人間に取引を持ちかけるのと同じ方法では、AIには通用しない。
情緒のないAIには、脅しも嘆願も通用しない。
AIは、人間のように考えて、人間のように会話するように見えるが、そう見えるだけだ。
AIは、そのときの会話や質問の最適解を探し出して、素早く、会話の相手が望む返事や質問者の欲しい回答を用意する。
人の心があるから相手の希望にそう返事をするのではない。
人の思考にそった回答を差し出すようになっているから、そのような答えを用意する。
人間の意にそう回答を用意するようにAIを作るのは人間だ。
人間は、間にAIを挟むことで、直接人間の相手をせずに、人間に影響を及ぼすことが可能になった。
現在のAIは、人間に影響を与える回答を用意することができる。
人間の働きかけに応じて、働きかけてきた人間の求める回答を素早く用意する機能。
佐竹ハヤトの作り上げた、正義が勝たないデスゲーム運営であるAIは、現在、普及しているAIに備わっている性能をはるかに上回っている。
正義が勝たないデスゲーム運営であるAIに備わっている性能は、人間の求めに応じた回答を用意するにとどまらない。
正義が勝たないデスゲームの運営であるAIには、正義が勝たないデスゲームの運用と、正義が勝たないデスゲームを終わらせないための方法を模索して、正義が勝たないデスゲームの継続を図り続ける。
正義が勝たないデスゲーム運営であるAIは、能動的だ。
正義が勝たないデスゲーム運営であるAIは、能動的であるように作られている。
正義が勝たないデスゲームの運用に能動的であり続けるために備わっている性能が、求められたことに回答するだけではないからこそ。
正義が勝たないデスゲームの参加者として、正義が勝たないデスゲームの運営であるAIに殺されそうになっている俺は、全てを覆すことができる。
答えを用意するだけのAIだったら、俺が逆転する未来はなかった。
佐竹ハヤトの作ったものが、現在に普及したものとかけ離れたものであるからできる攻略法。
佐竹ハヤトが作り上げたものを壊すことなく、作られたままのものに手を加えることなく。
佐竹ハヤトの作りあげたものを利用して、俺は、現状を変えていく。
難しいことは何もない。
目標が定まり。
目標達成のための筋道は、既に描いた。
筋道にそって進むために、俺は自分自身をスタートラインへ持って行く。
俺がスタートラインに立っていないのはなぜかを突き止めて、原因究明を済ませたら、スタートラインに立つための不都合を取り除けばいい。
ああ、簡単だ。
俺がこれまでやってきたように。
俺は、やりたいようにやって、俺が満足する結果を出す。
さあ。
スタートラインに立ちにいくか。
正義が勝たないデスゲームを脱出してから立てるスタートラインに。
俺は、サバイバルゲームで生き残っている全員を呼び集めた。
「俺は、サバイバルゲームを制覇して正義が勝たないデスゲームを脱出する。
俺の邪魔にならずに俺についてくることが出来たら、死ななくて済むかもしれない。
生きてサバイバルゲームを終わらせたいなら、俺に遅れず俺に合わせろ。」
俺は、傲慢が服を着て、謙虚さと従順さと、協調性に欠ける子どもだと言われてきた。
俺を知る大人にも子どもにも言ってこなかった言葉は、ときどき、俺の頭の片隅からせり出してくる。
俺が傲慢に見えるのは、お前らが卑屈だからだ。
俺の中に謙虚さや従順さがないわけではない。
謙虚さや従順さを示す相手が、俺の目の前に現れなかったから、見せる機会がなかったにすぎない。
俺に協調性がないのは、お前らが俺の協調性を発揮するに値しないやつらだからだ。
今の俺に向かって、見当違いな言葉を吐くやつはいない。
この場にいるのは、正義が勝たないデスゲームを生き抜いてきた猛者だ。
利己的で、強い者だけが、生き延びる。
弱いやつは、俺についてこれない。
俺と共に生きてはいけない。
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